おばんです、さらだです。
疲れてます。
だから、愛する慶子ちゃんとは、4月に入ってからこっち、お風呂すら一緒に入っていません。
ガキんちょの相手が、こんなにしんどいとは思いませんでした、はい。
毎日毎日、
「おなかすいたあ」
と言っては泣き、
「おしっこ~」
といっては右往左往し、
「なつみちゃんがいじめたあ」
と叫んでは泣き、たまらねえ。
このなつみちゃんっていうのが、去年担任した“あの”はるみの妹で、姉妹そろって性悪ときたもんだ。どうすんだ、こんなガキのころから性格悪くて…。
さらに、こんな疲れた心と体に追い討ちをかけるように、学年主任の加齢臭が俺を襲う。
このオヤジは50をゆうに超えているが、教頭試験には合格しているものの空きがなくていまだに学年主任のまんまだ。だから、オヤジ独特の僻み根性も手伝って、俺たちに無茶を言いまくる。
おまけに学年会議は、もっと地獄だ。
あいつの口臭と体臭が、狭い教室に漂ってたまらない。口には出さないが、全員が息を止めているのがよくわかる。上手にハンカチで鼻を押さえる女性教師もいるが、たいがいは息継ぎに苦労していた。
どうやったら、あんな臭いがかもしだせるんだ?かんべんしてくれよ。
会議が終了し解散したあと、教室にぷ~んとあの臭いが残ってしまい、窓を開けるのが日課になってしまった。だから、みんな自分の教室を会議に使わせたくないのだが、ほかに部屋がないからしょうがない。
「持ち回りでしませんか」
と、1の1の担任が理由も言わずに提案したが、俺も含めてみんなだんまりを決め込んでしまった。いつも1組の教室が使われているから気持ちはわかるが、誰だって臭いが翌日までこもってしまったら、たまらないもんな。
あ~、俺もオヤジになったら、あんな臭いになってしまうんだろうか。
そうなったら、俺、男として生きていけねえ。