へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

寝連休初日

2007-04-28 22:44:15 | へちま細太郎
細太郎の父のピカイチです。
せっかくの連休なのに、疲れが取れず午前中起きられなかった。寂しいことに、誰も起こしにきてくれない。せっかく細太郎とテニスにでも行こうと思っていたのに、全く残念だ。
細太郎は友だちと遊びに出かけたようで、最近は俺に近寄りもしない。
時々、何かもの問いたげな視線を向けてくるが、それ以上何もきいてこない。いったい、何が聞きたいんだ細太郎。
午後になり、俺はパジャマ姿でゴロゴロしていた。電気カーペットには、おやじとリカも転がっていた。ぽかぽか暖かいせいでどちらも高いびきだ。
外は雷雨になってきた。4月だってえのになんて天気だ。
と、ぼ~っとしていると、突如頭上から雷が落ちてきた。
「光一
見上げるとおふくろが、仁王立ちしている。
「いつまでそんなかっこしてる気
おふくろの大剣幕にリカは起き出し、おやじは一瞬いびきをとめたが目がさめることはなかった。どうせ、狸寝入りだろ~がっ
「まだ若いのに情けないっ
あ~、そういうなって。俺は疲れているんだよ。ほんとに…。
「こんなんじゃ、婿のもらい手がないわよ」
余計なお世話…、あ~
「ちょ、ちょっと~、なんで婿なんだよっ
「嫁の来てがないんなら婿に行くしかないでしょ」
「ば、バカやろう、俺はこれでもモテるんだからね」
「へえ」
細太郎とそっくりな目が俺をバカにする。
「まあ、連休初日からパジャマでゴロゴロしてる30男が、とてもモテるとは思えないけど、父親の自覚ぐらいは持ちなさいよ。ふだんを知っている細太郎はともかく、もう1人はあんたを知らないんだからね」
おふくろ、そりゃ禁句だろ。
俺は、細太郎が離れていけばいくほど、もう一人の赤ん坊を思い出すようになってきた。 どんな子に育っているんだろうか。と、思いをはせたのもつかのま、俺は眠気に耐えきれなかった。
「こら!光一
おふくろの怒鳴り声も、今は遠い雷と化した。
だめだあ、ねむ…
コメント
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