台風だあ、剛です。
俺は、不気味な蘭を横目で見つつ、
「鑑識呼べったあ、穏やかじゃねえな、だけど、所轄呼んだら?」
「だったら、最初からおまえを呼ぶはずがなかろうが」
とにかく横柄な匿名希望の東山に、呆れながらも逆らうことをやめた。
「で、何を調べて欲しいの」
「侵入した形跡があるかどうか、確認して欲しい」
「は?」
「中島教授が、私の留守中に忍びこんでいたようだ」
「中島教授?ああ、この蘭の持ち主ね」
俺は、別にいいじゃんそんなこと、と心の中でつぶやきながら何気なく保健室内をぐるりと見渡せば、あるわあるわ阪神グッズのオンパレード。圧巻は、応援バット…俗にカンフーバッドというやつだ。ズラリのれん代わりにぶら下がっていた。
と、その中に、
「ん?」
かきわけると、
「ジャイアンツ小僧じゃねえか、こりゃ」
と、オレンジと黒を取り出した。
「なんじゃあ、こりゃあっ」
匿名希望東山は、昔懐かしいジャイアンツ小僧をひったくると、
「ああっ、ムカつくっ」
と、思いっきり床にたたきつけた。
「保健室がかびるっ」
そこまで言うか、虎ファン。