へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

たわけもの

2009-02-08 21:05:04 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

藤川先生が大河ドラマの“天地人”を見ながら、
「“たわけ”って、まだこの時代にはないぞ」
と、ポツリとつぶやいた。
「なんで?」
「なんでって、江戸時代になると所有する田畑を売買するのは禁止だし、先祖伝来の田畑を手放す行為は大バカ者のすることなんだな」
「そうか、だから“田分け者”なのか」
慶子おねえちゃんは、辞書をパラパラめくりながらうなづいている。
「藤川家と美都藩にはそんな“たわけもの”はいないぞ」
「そりゃそうだね、あんに食い地がはってりゃ」
と、おばあちゃんが笑いながら藤川先生の言葉に対して返した。
テレビの前に陣取っている、なぜかまだいる鎧甲のおじさんが、やっぱりうなづいている。
「う~ん、言葉って難しいねえ」
ぼくは、菜々子をだっこしながら、その柔らかい感触に満足していた。

コメント
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