こんちは、へちま細太郎です。
昨日やってきた子犬を囲んで全員が腕組みしては首をひねる。
「やっぱ、田吾作だろ」
「いや、ここは一発“犬”」
「なんの芸もねえな」
「芸は、お手とお座りさえできればいいの」
「若干ずれてね?」
「社会」
「はい?」
「リカだから次は社会」
「ああ、それ悪くないね」
「英語もなんだし、国語もなんだし、算数・数学もちょっとねえ」
「社会かあ」
「美術や家庭科っていうのも…」
「体育がねえじゃねえか」
「社会はごろがいい」
ぼくは、須庭寺の本堂の縁側に転がって、惰眠中。
子犬は、リカや須庭寺に集まってきた(仮)山下軍団さん、(仮)有岡軍団さんたちに囲まれて尻尾を振って愛想を振りまいている。
「しかしよ~、ここのヤンキー副住職、いつまでこき使うわけ?」
「しょうがねえよな、あいつの族仲間は、いまだ震災の建て直しやらで忙しいみてえで」
孝太郎さんは、全員から一万円を徴収して、
「おまえらわりいな」
「いいって、奥八慈温泉は世話になっている」
「1泊2食付きで2泊で1万円は、安すぎだよ」
「昼は、魚でバーベキューなあ」
と、ここで僕は孝太郎さんに思いっきり蹴飛ばされ、
「ただで泊まらしてやるから、おめえらも来い」
と、有無を言わさず命令された。
「え~!!」
リカと子犬は大喜びだ。何なんだ。