残暑お見舞い申し上げます…へちま細太郎です。
部活も引退したぼくらの夏休みのたまり場は、図書館ではなくなぜか須庭寺。
本堂で夜遅くまでこわ~い話で盛り上がる…わけないだろ。
でも、住職さまやなぜかいついてしまった百合絵さまや京さんたちと、茶のみがてら怪談話をきくのは楽しいんだな、これが。
「…それでな、電車で轢かれた上半身は…」
「てけてけだよな、それって」
「テレビでもやっていた、さっちゃん都市伝説~」
「まったく、おまえらに怪談話をしてもちっともこわがらんからおもしろくもない」
住職さまは、お供えからお菓子をとってむしゃむしゃ。
「げっ、そんなことしていいの?」
「これか?これはな、仏様のお下がりものといってな、ありがたく頂戴していいものだ」
「それだって…」
みきおが表情をゆがめたけど、物おじしないたかのりは遠慮なくむしゃむしゃ。
「こんなうまいもん、食べないと罰があたっと」
「ほんとですわ」
と、百合絵さまは遠慮しない。
「せっかくのいただきものです。感謝しなくてはいけませんわ」
「まあ、そうだね、食べ物を粗末にしてはいかん」
京尼さんも麦茶をずすり。
本堂のまわりからは蝉しぐれ。
中には、僧侶1名、尼僧1名、シスター1名、不良中学生4名。
副住職は、元ゾクだけど、殿さまの家系。
こんな光景ほど、都市伝説っていわねえか?
ああ、田舎だから、田舎伝説か…。
夏の日のけだるい午後だった。