さっきのつづきの細太郎です。
俺たちは軽トラキャンピングカーの中で、ゲーラゲラ笑った。
護送車と北別府さんの恭しい態度のギャップにも戸惑う連中を眺めつつ、
「赤穂浪士の討ち入りにかかわった話なんて聞いたことないぞ」
と、俺は食い物と女にしか興味がない藤川家に、そんな硬派な話なんかあるわけない、と思い返した。思い返したんだが、
「あ」
と、数年前のある出来事を思い出した。
「思い当たることあるんですか?」
キャンピングカーの中の会話は、マイクを通して運転席にも聞こえる。スピーカーから荒波の声が聞こえた。
「あるもないも、いまだに続く、藤川家武道派と事務方の争い」
「なんだそれ」
「孟宗学園ってさ、藤川家の藩校だったんだよね、江戸の昔は。で、団部が藤川家の武道派のつながりなんだ」
「近藤家は?」
「事務方」
「あ、な~るほど」
俺のあのくそ親父を見れば、想像がついただろうが、しかし、
「母方は武道派。またいとこの秀兄ちゃんが団長だった」
「ひええ」
「今、防衛大」
「わお、なんてこったい」
なんだそのリアクションは、ゴメスよ~。
「でも、あれっすよね、女狂いが始まったのは、将軍家から御簾中さまがきてからだって、実孝さんがいってましたよ、まあ、あのご兄弟みればそうだろうなあぐらいは想像つきますけど」
「しかしなあ、ご隠居なんの話をする気なんだろうね」
剣と女の達人のご隠居がどんな話をするやらだな。
てか、食い物に意地汚い藤川家が赤穂浪士の事件にかかわるとしたら、塩ぐらいだろうね、と思うぞ。
また、つづいちゃうけど。。。