細太郎です。
仮面ライダーの格好をした副住職さんが、明後日の方角に吹っ飛び、バイクはかろうじて倒れる寸前に俺たちが駆け寄って抱きとめた。
「てっめえ、俺の大事なバイクをへこましやがって」
転がっているライダーを容赦なく蹴飛ばし、
「おめえが一生かかっても返せねえだけの修理代を要求すっからな!いや、てめえの家は取り潰しだ!」
と、次の殿様である藤川先生が、菩提寺の副住職でありまたいとこを蹴り飛ばすは、胸倉つかんで引き寄せてタコ殴り。元ゾクの頭である副住職さんは最初に蹴飛ばされた段階で必死の反撃を試みようにも、ライダーのコスプレの重みで戦意喪失状態。
「お手打ちだこの野郎」
げっ。
日本刀を取り出した時にはさすがに止めないと、というわけで後ろから悠樹が羽交い絞めして、
「殿、殿中でござる、おとどまり召され、殿中でござる」
と、わけわかんないことを叫びだした。
あまりの騒ぎに、阿久里は卒倒、片岡源吾は震えだし、大石はかろうじて気絶するのをとどまっている。
「かーつ!!」
ご隠居のシャッターも震えるような一喝で、ようやくバカ殿も日本刀を下げる。
「鎮まれ、鎮まれ~」
「この紋所が目に入りませぬか」
北別府さんのもの柔らかいいいように、ようやく落ち着きを取り戻す。
でもさあ、どう考えたって、やりすぎというか、作りものすぎるというか、芝居がかってるというか。
いくらなんでも、なあ。
というわけで、本気でけんかだったりらしいことを、あとから聞いて、やっぱり尋常じゃない人たちなんだと、しみじみと思ったのであった。
つづきは、最後になる予定。あくまでも…