明日は仕事だというのに、困ったもんだ。
でも、気になる。
2人の関係は、恋人同士か、ただの知り合いか、はたまた…。
男が最初に、
「仕事でさあ、こんな時間ぐらいでしかデートできないんだよ~」
と言ったのでデートだとは思うんだけど、でも2人の間にはそんな雰囲気は感じられ
ない。
あ~、夜も更けて今後の予定はどうなるんだろう。 って私は、こんな時間にCOCO'S
で1人で何やってんだろ…。
う~、バカじゃん、と思いつつも、デバ亀根性は消えてくれない。
聞き耳も立てたまんまじゃあ。
とほほ。
こんばんは、へちま細太郎です。
今日授業中に、ボケっと窓の外をみていたら、ベランダをふわふわ歩いている近衛少将さんを見た。
「げっ」
ぼくは、驚いたけど他人のフリをするという卑怯な手段をとってしまったけど、少将さんはあんまり気にしていないみたいだった。
それから少将さんの存在を忘れてコケ吉のところにエサをあげにいったら、さらだ先生が血相を変えてすっとんできて、
「平安時代のかっこうをした人が校内を歩き回っているんだけど、細太郎、まさか、鎧兜のおっさんのお迎えの近衛少将さんとやらじゃないだろうな」
と、肩をつかんできいてきた。
「あ、じゃあ、やっぱりそうか…。近衛少将さんだったんだ」
「やっぱりじゃないよ。まずいだろ、歩きまわってちゃ…」
「なんで?」
「だって、一応幽霊だろ?」
「幽霊じゃないよ、近衛少将さんだよ。仮にもご先祖さまだろ?」
ぼくは、ここが学校だってことを忘れてさらだ先生に話しかけるというより、親戚の広之おにいちゃんに話しかけてしまっていた。
「何いってんだよ、近衛少将さんは、近藤家のご先祖さまだろ?おれは、佐良田家だぞ」
と、その時、
「近藤家も佐良田家も、実はまろが子孫じゃ」
と、少将さんがぬっと顔を出した。
「まろは平安時代のものゆえ、この当たりには子孫がごっちゃりとおるゆえな」
「そ、そうなのか…」
広之おにいちゃんは、がっくり。
「じゃあ、見えているってことは、ぼくたちも子孫?」
ふいに声がしたら、しんいち君とたかのり君と、みきお君、たかひろ君がまっさおな顔をして立っていた。
「そうじゃ、そうじゃ、まろがそちらの大本であるぞよ」
「げええ」
とんでもない事実に、ぼくらは6人はなすすべもなく立ちすくんでいた。
まじかよ…。