姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

聴いてもらうことで安心する

2007年11月30日 | 保健室コーチング



 男子生徒が、保健室にはいってくるなり、ソファにころがり、顔を伏せてしまいました。

 いつもの冗談かと思っていたのですが、どうも、今日は、様子が違う。

 声をかけてみると、「おれ、否定的なんだ。だめなんだ・・・」

 よくよく話を聴いてみました。


 
 彼は、典型的な「体感覚」・・・体で感じていることもなかなか「ことば」としてうまくでてきません。

 そこは、私もNLPer。彼の状態にも優先感覚にもペーシングして、ずっと話を聴いていました。


 ゆっくりだけど、ことばを押し出すように、時折、ことばを含むようにして、体で感じている何かをことばにしようとしていました。



 周りが、自分のことをどう思っているか、気になるんだって話してくれました。


 
「そうかぁ、気になるんだ。なんだか、中学生ってみんなおんなじなやみ持ってるんだね。」って言ったら、

 

「えっ。そんなこと考える人、ほかにもいるの?」

 

「うん、考えてない人を探すのが、大変なくらい」


「へぇぇぇ。俺だけじゃないんだ」



 「周りの人が、どんなふうに見ているって思っているの?」ってきいたら、


 「やさしいことばをかけていても、本当にそう思ってくれているのかって思う」


 さらに「どんなときにそう思うの?」という質問には、


「話聴いてもらってないって思うとき」って答えが返ってきた。



 「だって、話をしているのに、軽く流されたりすることがある。そしたら、すごく不安になる」


 
  いろいろな話をしていたら、


 「しっかり話を聴いてもらっていることで、自分が受け入れられている。安心していていい。ここにいてもいい。って思える」と感じていることがわかった。



 体感覚の彼の話は、ゆっくりで、体に感じているものを、一度、脳の言語中枢につれてきて、そこから、ことばにしている・・ってそんな感じ。

 

だから、聴覚が強い友達(理論的に段階を追って話す) 視覚を優先的に使う友達(頭の回転が速く、話のテンポも速い) にとっては、

 

ちょっとスローなペースに感じてしまうのかもしれません。



 だからこそ、彼のように、体の感覚を優先的に情報キャッチに使う子たちは、時折悩んでしまうんですね。

 そんなNLP的な講釈もあるのですが、どんな場合にせよ

 「話を聴くことは、相手の存在を承認すること」なのです。



 このことは、私のセミナーでもいつも伝えていることです。


 それを実感してもらうワークなどもまじえながら・・・・。

 聞く=耳で聞く 言葉を聞く


 聴く=心で聴く 五感で感じて聴くこと その人の人間を感じること

 そんなことも伝えています。

 今日は、ほんの30分くらいでしたが、じっくりとこの少年の話を聴きました。


 いつもの彼とは違っていました。


 でも、このとき、思いました。


 「いつもの彼」っていうことばそのものが、私が十分に時間をかけて話したことがなかったから、表面的なイメージで私が勝手に作っていた「いつもの彼」というイメージでした。

 時折、目に涙を浮かべそうになりながら、胸の内を語ってくれた少年。


 
 「完璧な人なんていないよね」って、私が言ったら、


 この少年は、「うちの親父もお母さんも、ふたりで支えあって完璧なんだ。」って笑っていました。


 彼は、素敵な両親のもとで、育っているんですね。


 中学生の息子から「うちの親はすごい両親だ」って思ってもらえるご両親。



 きっと彼のそのことばを聴いたら、どんなに喜ばれることでしょう。



 保健室を出て行くその大きな背中を見送りながら、「がんばれ」って声をかけたくなりました。


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2 コメント

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初めまして (かついち)
2007-12-01 10:09:36
初めて記事を読ませていただきました。感心すること、納得することばかりです。確かに、人の話を聞く姿勢はすごく大事だと思います。話を聞くことは相手の存在を認めているということ、その通りだと思います。人によって受け取り方は違うし、程度の違いはあります。ですが、話を真剣に聞くことでその人にとってどれだけプラスになることか。逆に聞いている側としても思わぬところから新しい発見やきっかけが生まれるかもしれません。
勝手ながらTBさせていただきました。
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かついち先生へ (姫先生)
2007-12-24 23:38:23
コメントありがとうございます。
かついち先生のブログも拝見しております。

学校の中のいろいろなこと、考えれば考えるほど、なんとかしなきゃと思ってしまいます。

たくさんの素敵な先生方とつながっていくこと、これが大きな力になると思っています。
先生のブログ、これからも楽しみです。

今後ともよろしくお願いいたします。
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