姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

保健室でバイタルサインを確認することの脳科学的な意味/その2

2022年10月10日 | 保健室コーチング

(一社)ハートマッスルトレーニングジム代表
主体的人生を構築する人材育成トレーナー 桑原朱美です。


今日のテーマは
「保健室でバイタルサインを確認することの脳科学的な意味/その2」です。

 

その1の記事はこちら


前回の記事では、

●子どもたちにとって保健室の敷居が低いのは、「体」を理由に来室できること。

●養護養護教諭は、心の悩みであっても、バイタルサインなどを取り
体から入ることができる

●さらに、バイタルサインは単に生命兆候を見るだけでなく
内面の状態を示すものであり、ラポール形成に活用することができる

というお話をしました。

今回はその続きです。バイタルサインとペーシング、ラポール形成について
もう少し詳しくお伝えします。
 

 

 形だけのペーシングは違和感を持たせる
 

人間の内的な状態は、必ず無意識に外側に現れます。
本来のペーシングとは、相手の非言語の表現に合わせることで
深いラポール(信頼関係)を築くことをいいます。

ペーシングとは、相手に合わせることですが、
それは、単に相手の動きを合わせることだけではありません。

もちろん、相手が話している時の動きは無意識にやっていて
それも、一つのペーシングの方法であることには、間違いありません。

しかし、本質的な意味を理解せずに、
知識やスキルとして、動きをまねるだけでは
かえって、相手に違和感を持たせることがあります。

以前、桑原もある方とお話をしている時、
私の動きの一挙一動をまねされたことがあり、
話に集中できないことがありました。

たぶん、「形だけ」のスキルや方法として
ペーシングを学ばれたのでしょう。

もう、二度と、その方と話をしたいとは
思いませんでした。

 

 バイタルサインは、自律神経の反応

ペーシング(合わせること)の本質的な意味は
相手の内的世界に合わせることで、相手の世界を尊重し、
安心安全を生み出すこと。


脳科学的視点からペーシングをとらえる時
単に、見えるものだけに表面的に合わせるだけでは不十分です
(先ほどの例のように違和感さえ与えることも)

本質をとらえたペーシングをするための
大切な観察ポイントが「バイタルサイン」です。


バイタルサイン(脈拍・血圧・呼吸・体温)をつかさどるのは、自律神経です。
自律神経ということは、意識とは別のところで動いていますよね。(つまり無意識の領域での反応とも言えます)

呼吸や体温、血圧、呼吸は、内面の状態で
上がったり、下がったり、速くなったり、浅くなったり、深くなったりします。

つまり、自律神経の反応というのは
そのまま、相手の内的世界のサインでもあるのです。


緊張すると、心拍数が早くなる、呼吸が浅くなる
怒りで顔が赤くなる、怖くて冷や汗が出る
など、誰もが体験しています。

では、これをどのようにペーシング⇒ラポール形成に
つないでいくのでしょうか

 

 自律神経の反応の中でも「呼吸」だけは、コントロールできる

ペーシングのポイントは、「呼吸」です。
バイタルサインの中でも、心拍数や血圧や体温は、
自分で自由自在に上げたり下げたりというのは、基本的にはできません。

しかし呼吸は自律神経の働きがあるので「1分間に16回しなきゃ死んじゃう」
と意識しなくても、呼吸は無意識にしています。

ですが、同時に、意図的にちょっと止めてみたり、深呼吸したり、呼吸するペースを変えたりということができます。
 
焦っている子どもに、深呼吸させたりすることで
落ち着かせるというのは、呼吸が「無意識」と「意識」の両方で
動いているから。

 

まさに、無意識で起きている反応を、意図的にコントロールすることで
心の状態を変えているということです。

コミュニケーションにおける「意識」「無意識」という点からも

呼吸は、安心安全のペーシング
のためにとても威力を発揮します。

保健室コーチングでは、ラポール形成の大切な要素として
「呼吸」へのペーシングを、ワークを通してお伝えしています。


呼吸ペーシングを体感された方は、
「今まで いかに ペーシングもせずに、
いきなり子どもたちの世界にズカズカはいっていっていたか、反省した。」


「子どもを観察し、もっと彼らの世界を尊重して 
呼吸を合わせながら、声をかけるようにしてみます」


「電車の中で呼吸ペーシングの練習をしてみたら
3人くらい眠ってしまってその効果に驚いた」

「子どもの寝つきや起床がスムーズになった」

「保健指導の前に、全員で深呼吸したら、教室の空気が変わった」

などの感想をいただいています。

相手の呼吸を観察し、まずはそこに合わせる。
合わせることで、無意識のレベルで、安心感が生まれます。

そこから、初めてアプローチが始まります。
スキルの投入は、やっとそこから行うのです。

 

多くの方が、アプローチの手法ばかりを知りたがり、使いたがりますが
コミュニケーションの基本である「ラポール」をないがしろにしていることは
とても残念に思います。

 

 呼吸は、日本の教育でもずっと大切にされてきた

 

日本では、昔から、呼吸を大切にしてきました。
「息を合わせる」ということも、よく言われます。

武道でも、相撲でも、スポーツでも、呼吸が大切です。

チームやペアで行うスポーツは、「息が合わない」状態では
ボールもつながっていかないし、美しい演技もできません。


音楽でも同じ。
中学校で行われている合唱コンクールでは、
呼吸を合わせて歌うことで、無意識レベルでの一体感を作り
学級集団のつながりを強くすることに効果を発揮します。

 

小学校の大縄跳びも、呼吸とリズムを合わせます。

これも、お互いの「息を合わせる」「ペースを合わせる」という
ペーシングです。

スポーツで 同じリズムで声を出しあうのも、「呼吸」を合わせるため 
そして、息を吐くことで、リラックスの効果もあります。

80年代アイドルに親衛隊と称するファンが、同じタイミングで
同じ声かけ、同じポーズをすることで一体感を生み出します。(古っ!)

学級崩壊させる担任は、子どもへのペーシングのミスが
根底にあります。


わが子とのコミュニケーションがうまくいかないのも
相手の呼吸ペースを無視していることがあったりします。



この呼吸ペーシングが、実はVAK理論と大きくつながっています。
VAK理論は、タイプ分けが目的ではなく、
これも、本来の目的はペーシングです。


あなたの周りの人は、どんな呼吸をしていますか?
あなたの五感を使って、観察し、それに合わせてみてください。

呼吸を合わせて ともにいるだけで、
ことばさえもいらない時があります。
その時こそ、深いラポールができているのです。


保健室コーチングベーシックコースでは
ペーシングとラポール形成を体感ワークでしっかりと身に着けていきます。

そのうえで、脳科学に基づいたアプローチ(言語アプローチ・体感アプローチ・教育相談ツール・フィジカルアプローチ)を学びます。

ぜひ、一度お越しください。

 

 

それでは、今日も
素敵な1日を!

 

 

この記事は、メルマガ「可能性をあきらめたくない女性のための時間と思考の使い方」
 2022年8月31日号で紹介した内容に加筆修正した内容です。

 

 

 お願い 公式LINEアカウントでつながると、ブログの更新情報や講座の情報が最速で届きます

↓ ↓ ↓

友だち追加

https://lin.ee/q86Z8lO

 

 

講座のご紹介

 

 

先日、関西のとある地区の人権教育研修会で講演しました。

その感想が届きました。人権を意識した傾聴についてお話しました!

 

 

保健室コーチング関係の講座の感想はこちらです。

 

 



最新の画像もっと見る