燃えよケーン！57【乱その２】

睡眠とは安心の上に成り立つものだ。また電話が鳴るかもしれない。乱入されるかもしれない。と思ったら眠ることなんでできはしないのだ。出勤前に電話をすると少しは落ち着いたようだったが、いまだに理由はわからないままだ。出勤後、自らの記憶を振り返り、証拠を隠蔽し「アトはなるようになれ」と開き直ると急に睡魔が襲ってきた。シルバーシートで眠りこけ、満を持してお店に向かう。
「昨日は本当にゴメンナサイ」
「何があったの？話さないとわからないから」
「ゴメンナサイ、ただ哀しくて」
「だから、何が哀しいのか？教えてごらん」
「哀しくて、涙が止まらなくなって・・」
「だからぁ！」オイオイここで泣き出さないでくれよ。他のタレントが一斉にこちらを向く。見回せば客は私一人だ。しかもステージの上だ。辛い。何でいつもこんな目に会うんだ！いまや被害者と加害者の立場は完全に入れ替わっている。
「ごめんね。もう泣かないで。」
シクシクシクシク・・・・・・
「後で迎えに来るから、私の部屋でね。わかったから泣かないで、愛してるよ」
イカン、イカン何を言っているんだ俺は！どうするんだ、明日は朝から別の娘とＴＤＳに行く約束しているんだぁ～