商売熱心な小姐は何度も何度も私に電話をしたらしいが、生憎、こちらは
大童烤鴨店で北京ダックに夢中になっていて、そんな
「おいでコール」は耳に入らなかった。そのうちフリーのお客さんの場内指名が彼女に入ってしまった頃に食事を終えた私達はやっと「銀座の夜」に到着した。
彼女は「店長に私たちの席につかしてくれるように交渉してくれ」と私にせがむ。・・・きっとフリーの客はしょぼかったのだろうがそう言われて悪い気はしない。しかし、そんな交渉を中国語でできるわけないので連れ合いに無理やり頼むが、そこは信用第一の店なので、そんなわがままが通るわけもない。少し考えた彼女は「それでは、今の客が帰るまで、私の友達を指名して待っていてほしい」と要望を変更。
ところがその彼女の私達というのは、昨夜うちらの一人についていた娘だから話はややこしい。さらに問題をややこしくしたのは、昨日指名した本人が今日は指名換えをしていたことだ。
彼女への義理から、しぶしぶ私の席に来た娘はふてくされる、ふてくされる。私の仲間は仲間で、とてもバツが悪そうに酒を飲んでいる。なんだか気を使う私・・・
状況が分かっていない彼女だけが、トイレに行く振りをして何度も様子を見に来ては愛想を振りまいている。
そのうちに客を早く帰した小姐は走るように私たちの席に来る。同時に蹴るように席を立つ彼女の友人!人間模様だなぁ・・