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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

「足尾」の歴史遺産と富岡製糸場の世界遺産登録

2013年08月07日 | 気になる本

「かみつけの国 本のテーマ館」

 第3テーマ館 群馬の山と渓谷 

    「足尾」関連 書籍ガイド  を更新しました。

       http://kamituke.web.fc2.com/page162.html

 

 

これまで、足尾関連図書ガイドとしていましたが、「図書」を「書籍」に変えるだけで、検索にかかる確率が随分あがるようです。

 

書籍を整理しなおしていてつくづく感じたのですが、

足尾という土地は、鉱毒問題というマイナスのイメージを抱えているにもかかわらず、実に多くの人々に愛されています。

 

このところ、世界遺産登録で盛り上がっている富岡製糸場の話題が目立つだけに、わたしは足尾の魅力の独自な際立ちを感じてしまいます。

 

 

どちらも近代産業遺産として同時代に繁栄した特徴があります。

また、戦後、急速に衰退していったことも同じです。

 

ところが、

足尾という町については、実に多くのその土地に暮らした人々が、本を出し、語りつぎ、今も研究され続けています。

他方、富岡製糸場となると、街の人々によって研究され出版された本は、足尾に比べると圧倒的に少ないのです。

どちらかというと、富岡製糸場の場合は、行政サイドにたった歴史や沿革をまとめた書籍ばかりが目につきます。

それどころか、出版された書籍の量そのものに、どうしてこれほどの差が生まれるのか、驚かずにはいられません。

 

テーマを広げて、絹遺産という視点でとらえれば、研究書の数であれば、富岡製糸場もかなり増えることと思います。

しかし、その場合でも、養蚕や機織りなどで暮らした人々が、自ら語ったような本は少なく、産業史の流れでの研究書ばかりが数にあがってきます。

いったいこの違いは、何なのでしょう。

 

現状では、世界遺産登録の可能性や注目度では、勝負にならないほど足尾よりも富岡製糸場のほうが勝っているのに。

 

個人的には、世界遺産登録を地域再建の切り札のように考える見方に賛同しがたい思いが強いのですが、何事もきっかけを活かし、より多くの人々が参加し地域のあり方を考えるようになるのは悪いことではありません。

だからといって足尾も、富岡製糸場に負けじと、世界遺産登録もどき振興に無理に力を入れる必要もないと思います。

でも、富岡製糸場の側は、ただ観光客誘致のための世界遺産登録ではなく、地域に暮らす人々が、自ら住んでる町の歴史に誇りと愛着をもつために、足尾町から学ぶことは、とても多いのではないでしょうか。

 

現実には、足尾町は古河鉱業に代わる産業もなく、かなり厳しい過疎の町であることにかわりありません。

ただですらこの厳しい経済環境下のことです。

他の山村とも異なり、産業が衰退したからといって農業に戻れるささやかな耕作地もままならないような谷あいの土地柄です。

足尾を訪れると、いったいこの町の人々は、どうやって食べているのだろうかといつも心配になるほどです。

 

それでも、

「魅力」を語るとなると、

圧倒的なパワーが、この廃れた小さな町の内外から集まってくるのです。

それは、町を通過するだけでは、決して見えないものです。

わたしも、それが何なのか、うまく説明することもできませんが、富岡製糸場世界遺産登録を目指してがんばっている人たちも、この「見えないもの」のパワーを是非、学んで育ててもらいたいものです。

 

何にもない山奥の村や町。

いつも、とても多くのものを私たちに見せてくれます。

何なんでしょうね。

ま、行けば誰もが何となくわかります。

 

 

 

 

 

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