花の四日市スワマエ商店街

四日市の水谷仏具店です 譚

夜の街

2005年06月18日 | レモン色の町
和31年8月30日の夜。諏訪駅の跡地で江田町主催「歌のびっくり箱」というイベントが行われた。江田町は(えんだ)と読む。諏訪駅周辺から南の地域の町名だ。この催しは、残念ながら記憶にない。舞台のかぶりつきに子供たちが群がっている。キャラメルでもくれたのか。とにかく大勢の人だかりだ。
から遊んで帰って、晩御飯を食べて、お風呂までは時間がある。店は午後9時まで営業。当時はほとんどのお店が住居を兼ねていた。近所の人が話をしにくる。娯楽はラジオくらいだ。月刊雑誌「少年」の付録はその日、製作に失敗してぐちゃぐちゃにしてしまった。退屈だ。近所に楽団が来る?何かくれそうだ?よし、行ってみよう。そんなところだったのだろう。
人たちは昼、仕事があったから、夜になって涼みがてらに町へ繰り出す。大人にまぎれて子供も繰り出す。諏訪公園に移動遊園地が来たことがある。夜の諏訪公園は昼と違って、別世界へと変貌を遂げていた。ネオンにきらめく乗り物がぐるぐる回っていた。お金がなかったのか、街っこの気負いか、あまり乗り物に乗った覚えがない。
ストリップショーが来た。お袋はわしをおんぶして見に出かけた。なぜ子供を負ぶってお袋がストリップショーに出かけたのか?それは謎だ。今もって武兵衛家七不思議のひとつだ。遠くの舞台で、おばはんが、水を入れたタライの横で下手な踊りを披露していた。
の町は、時には妖しく、また時には楽しかった。チャルメラの悲しげな音色を聞きながら、子供たちは眠りについた。