花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

笑顔の似合うお二人さん

2005年07月04日 | わたくしごと、つまり個人的なこと
日、配達先で、とても笑顔のいいお二人にお会いできた。人の配達の話など、聞きたくもないでしょうが、まあチョット聞いてください。
ナセさんのお宅は、まちなかの古い日本家屋。奥さんの初盆だ。玄関に入るとあれっと思うものが目に付いた。小さな本箱に、何百冊という文庫本がぎっしり。古本屋さんのように紐で縛って並んでいる。
藤雅美の本が10冊ほどある。よく見ると、宇江佐真理、早乙女貢などの本。「時代小説が好きなんですよ。引っ張り出しては何度も読んでいます。始末に困っているので、どなたかに貰っていただこうとまとめたんです」古本屋へ持っていくと二束三文だ。居酒屋の奥さんが店へ置いておきたいと話してみえたが、酒を飲み飲み時代小説も読むまい。老人ホームにでも寄付しようかと思案中のようす。お好きでしたら、お持ちくださいとおっしゃる。
沢周平と池波正太郎の本がない。お聞きすると、それは大切に残してあるとのこと。「司馬遼太郎の目線は上からですが、藤沢周平は、人と同じ位置で書いていると聞いたことがある。藤沢周平は好きです」
っかり話が弾んでしまった。時間があれば、物色して数冊、おことばに甘えていこうとも思ったが、家で、又、ゴミを増やしてと叱られそうだ。「後日また」と失礼した。
モダさんは80過ぎのおばあさんで、郊外のマンション住まい。転勤で、ご主人と四日市に住み着いた。いずれ故郷の秋田へ二人で帰ろうと話していたが、ご主人はすでに他界。娘さんも四日市の方と結婚され、叶わぬ夢となった。お話にはっきり秋田なまりが聞ける。「この歳で、抜けないんですよ、なまりが」とおっしゃる。少し耳が遠い様子だ。お話のトーンが心地よい。
「秋田のことば、大切にしてください」と大きな声で言って、帰った。
二人とも、とても笑顔の似合う方だった。
このお二人を夫婦にするには、無茶すぎる。何よりも女性が年上過ぎる。とんでもないことを思いつく、武兵衛でした。