①「サッポロプラス」(サッポロビール)・・・・トクホ
②「ドライゼロ」(アサヒビール)・・・・非トクホ
③「オールフリー」(サントリービール)・・・・非トクホ
④「キリンフリー」(麒麟麦酒)・・・・非トクホ
(1)①は、日本初のノンアルコールビールの特定保健用食品(トクホ)だ。5月26日から全国発売された。
なぜトクホなのか。1缶(350ml)に4gの難消化性デキストリンを含んでいるからだ。これは食物繊維の一種で、糖の吸収を抑制する。そのため、「糖の吸収を穏やかにする」トクホとして、消費者庁から許可され、「食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています」という表示ができることになった。
(2)デキストリンは、ぶどう糖がいくつも結合したもので、炭水化物の一種。トウモロコシでん粉などを酵素または酸で分解することによって製造されている。その中で、消化・吸収されにくいものが難消化性デキストリンだ。
消化されにくい炭水化物を食物繊維というから、難消化性デキストリンも食物繊維の一種だ。
(3)①をめぐって、トクホを許可する消費者庁と、内閣府消費者委員会(消費者庁の諮問機関)との間に対立が起きた。
トクホは、企業から許可申請を受けた消費者庁が消費者委員会に諮問し、その答申を参考にして最終的な判断が下される。
消費者委員会は、ノンアルコールビールについてはトクホとして「不適切」という答申をしていた。未成年がアルコールを摂取する引き金になる可能性があるから、という理由からだ。
通常なら、この答申を受けて不許可の判断を消費者庁は下すのだが、今回は答申を無視し、「未成年者に悪影響が出ない配慮が必要」という条件付きで許可した。
ちなみに、花王からもノンアルコールビール「ヘルシアモルトスタイル」も許可申請が出て、許可された(未発売)。
(4)消費者庁には、①を許可せざるを得ない事情があった。
(a)一般のトクホ・・・・許可を受けたい企業が、効果や安全性を示すデータを消費者庁に提出し、それに基づいて審査され、安全性と効果が認められたら許可される。
(b)規格基準型のトクホ・・・・すでにトクホとしての許可実績が十分にあって、科学的根拠が蓄積されている成分について規格基準を定め、それに合致していればトクホとして許可される。
難消化性デキストリンは、(b)の成分だ。同様な成分としては、ほかにデキストロース(食物繊維)や大豆オリゴ糖などがある。つまり、製品に難消化性デキストリンを4~6g含んでいれば、「糖の吸収を穏やかにする」トクホとして、自動的に許可される仕組みなのだ。
この制度に基づいて、これまでお茶飲料、炭酸飲料などが許可されている。
そのため、消費者庁としては前例にならって①を許可せざるを得なかった。
(5)①は、従来のノンアルコールビールよりも1缶(350ml)当たり40円ほど割高だが、中身にそれほど違いはない。この点、②の原料と比較すれば一目瞭然だ。
①と②の違いは、①には添加物(苦味料と安定剤(大豆多糖類))が加わり、食物繊維が難消化性デキストリンと明記されているくらい。
もし、②の食物繊維が難消化性デキストリンで、4~6g含んでいればトクホとして許可が下りるはずだ。
③は原材料が多少違っているが、やはり難消化性デキストリンを加えればトクホとして許可が下りるはずだ。
(6)①、②、③の3製品は、合成甘味料のアセスルファムKとカラメル色素を含む点でも共通する。
アセスルファムK・・・・イヌを使った実験で、肝臓に対するダメージや免疫力を低下させる。
カラメル色素・・・・4種類あり、そのうち2種類には発癌性のある4-メチルイミダゾールが含まれている。
要するに、3製品は飲まないほうがよい。
(7)ノンアルコールビールの中で、④にはアセスルファムKもカラメル色素も含んでいない。原材料は「麦芽、糖類(果糖ぶどう糖液糖、水あめ)、ホップ、酸味料、香料」。
ノンアルコールビールをぜひ飲みたい人は、④を選ぶほうが無難だ。
□渡辺雄二「「トクホのノンアル」ってどういうこと? ~新買ってはいけない209~」(「週刊金曜日」2015年6月19日号)
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【参考】
「【食】こんなに危ない豚肉&内臓の生食 ~規制やむなし~」
「【保健】大企業の「販売促進手段」に化したトクホ ~不当表示~」
「【保健】大企業の「販売促進手段」に化したトクホ ~ノンアルコール飲料~」
「【食】機能性表示食品の安全性 ~茶カテキン過剰摂取の危険性~」
「【食】健康食品の七つの大罪 ~2兆円規模の成長産業~」
「【食】復活した「魚肉ソーセージ」 ~添加物満載~」
「【食】2年ぶりに食品安全委員会の評価再開 ~花王「エコナ」が復活か?~」
「【食】消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示」
「【食】効能表示をしたい健康食品業界と歯止めをしたい消費者庁」
「【保健】2兆円市場の「真実」 ~健康食品・サプリ~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/95/ecbe61a9db922b5bcf3b8fd50b41e7a2.jpg)
②「ドライゼロ」(アサヒビール)・・・・非トクホ
③「オールフリー」(サントリービール)・・・・非トクホ
④「キリンフリー」(麒麟麦酒)・・・・非トクホ
(1)①は、日本初のノンアルコールビールの特定保健用食品(トクホ)だ。5月26日から全国発売された。
なぜトクホなのか。1缶(350ml)に4gの難消化性デキストリンを含んでいるからだ。これは食物繊維の一種で、糖の吸収を抑制する。そのため、「糖の吸収を穏やかにする」トクホとして、消費者庁から許可され、「食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています」という表示ができることになった。
(2)デキストリンは、ぶどう糖がいくつも結合したもので、炭水化物の一種。トウモロコシでん粉などを酵素または酸で分解することによって製造されている。その中で、消化・吸収されにくいものが難消化性デキストリンだ。
消化されにくい炭水化物を食物繊維というから、難消化性デキストリンも食物繊維の一種だ。
(3)①をめぐって、トクホを許可する消費者庁と、内閣府消費者委員会(消費者庁の諮問機関)との間に対立が起きた。
トクホは、企業から許可申請を受けた消費者庁が消費者委員会に諮問し、その答申を参考にして最終的な判断が下される。
消費者委員会は、ノンアルコールビールについてはトクホとして「不適切」という答申をしていた。未成年がアルコールを摂取する引き金になる可能性があるから、という理由からだ。
通常なら、この答申を受けて不許可の判断を消費者庁は下すのだが、今回は答申を無視し、「未成年者に悪影響が出ない配慮が必要」という条件付きで許可した。
ちなみに、花王からもノンアルコールビール「ヘルシアモルトスタイル」も許可申請が出て、許可された(未発売)。
(4)消費者庁には、①を許可せざるを得ない事情があった。
(a)一般のトクホ・・・・許可を受けたい企業が、効果や安全性を示すデータを消費者庁に提出し、それに基づいて審査され、安全性と効果が認められたら許可される。
(b)規格基準型のトクホ・・・・すでにトクホとしての許可実績が十分にあって、科学的根拠が蓄積されている成分について規格基準を定め、それに合致していればトクホとして許可される。
難消化性デキストリンは、(b)の成分だ。同様な成分としては、ほかにデキストロース(食物繊維)や大豆オリゴ糖などがある。つまり、製品に難消化性デキストリンを4~6g含んでいれば、「糖の吸収を穏やかにする」トクホとして、自動的に許可される仕組みなのだ。
この制度に基づいて、これまでお茶飲料、炭酸飲料などが許可されている。
そのため、消費者庁としては前例にならって①を許可せざるを得なかった。
(5)①は、従来のノンアルコールビールよりも1缶(350ml)当たり40円ほど割高だが、中身にそれほど違いはない。この点、②の原料と比較すれば一目瞭然だ。
①と②の違いは、①には添加物(苦味料と安定剤(大豆多糖類))が加わり、食物繊維が難消化性デキストリンと明記されているくらい。
もし、②の食物繊維が難消化性デキストリンで、4~6g含んでいればトクホとして許可が下りるはずだ。
③は原材料が多少違っているが、やはり難消化性デキストリンを加えればトクホとして許可が下りるはずだ。
(6)①、②、③の3製品は、合成甘味料のアセスルファムKとカラメル色素を含む点でも共通する。
アセスルファムK・・・・イヌを使った実験で、肝臓に対するダメージや免疫力を低下させる。
カラメル色素・・・・4種類あり、そのうち2種類には発癌性のある4-メチルイミダゾールが含まれている。
要するに、3製品は飲まないほうがよい。
(7)ノンアルコールビールの中で、④にはアセスルファムKもカラメル色素も含んでいない。原材料は「麦芽、糖類(果糖ぶどう糖液糖、水あめ)、ホップ、酸味料、香料」。
ノンアルコールビールをぜひ飲みたい人は、④を選ぶほうが無難だ。
□渡辺雄二「「トクホのノンアル」ってどういうこと? ~新買ってはいけない209~」(「週刊金曜日」2015年6月19日号)
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【参考】
「【食】こんなに危ない豚肉&内臓の生食 ~規制やむなし~」
「【保健】大企業の「販売促進手段」に化したトクホ ~不当表示~」
「【保健】大企業の「販売促進手段」に化したトクホ ~ノンアルコール飲料~」
「【食】機能性表示食品の安全性 ~茶カテキン過剰摂取の危険性~」
「【食】健康食品の七つの大罪 ~2兆円規模の成長産業~」
「【食】復活した「魚肉ソーセージ」 ~添加物満載~」
「【食】2年ぶりに食品安全委員会の評価再開 ~花王「エコナ」が復活か?~」
「【食】消費者庁が健康食品の機能性表示案を提示」
「【食】効能表示をしたい健康食品業界と歯止めをしたい消費者庁」
「【保健】2兆円市場の「真実」 ~健康食品・サプリ~」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/95/ecbe61a9db922b5bcf3b8fd50b41e7a2.jpg)
毎日三食3~4週間同じ物を摂取しなけりゃ、効果が現れないモノ(それも人によって違います。)なんていい加減で出来っこない摂取方法の物を、健康にイイかも~??
てお墨付きを与える事自体インチキ。