「週刊ダイヤモンド」9月2日号の特集1は、「定年後の歩き方 お金・仕事・人脈」。その「Part 1】役職定年の天国と地獄/55歳で降格、出向、転籍」は次のようにいう。
(1)大手企業の約半数が導入・運用している役職定年(管理職定年)は、社員たちにとって想像以上に過酷だ。
ある部長代理(48歳)は、今春会社が実施した「キャリアプラン研修(たそがれ研修)」を受け、その後は、人事部と定期的に面談しながら、グループ会社への出向を軸にして処遇が決まっていく。
役職定年をめぐるこうした光景は、中小企業よりも大手でよく見受けられるのはなぜか。60歳よりもはるか手前の段階で、役職定年を迫るのはなぜか。
それは、これまでの日本型の雇用システム(終身雇用、年功賃金)が、国際競争力の低下や景気循環の大きな波にのみ込まれ、「機能不全」を起こしてしまったからだ。
日本の人口ピラミッドと、ある大手企業の社員数の構成図(人口ピラミッド)を比較すると、形状が全く異なっている。企業の構成図は変形したスペードのような、極めていびつな構成になっている。
最少の年に比べて、バブル世代は少なくとも社員数が3~4倍に上っており、この世代が今まさに50歳前後で管理職の中心になっている。
(a)そのため、特に40代前半の社員が割を食っており、1980年代後半に6割近かった管理職比率は、3割台にまで下がってしまっている。
(b)さらに、バブル世代の社員数が多過ぎるため、ポストが極端に不足しており、新設では間に合わず、役職定年によってグループ会社に出したり、また一部は実質的に降格させたりして、何とか帳尻を合わせている。
(2)(1)の状況はあと数年は続くと目される。企業によってはこれから本格化するところもある。
「週刊ダイヤモンド」誌は、各業界の主要企業を対象に役職定年の実態調査を実施した。その集計結果から、サラリーマンにとって過酷な現実が透けて見えてくる。
(a)役職定年を制度や慣行として実施している企業の割合は、48%でほぼ半分だった。
(b)基準となる年齢では、55歳が最多の46%を占めている。57~59歳が25%、52歳が13%で続いている。
(c)役職定年後の賃金水準は、21~30%減が最多の26%だった。2割前後賃金が減ってしまうのが、主要企業における実態らしい。
(d)現在50歳前後の人が、年金を受け取れるのは65歳から。役職定年で多くの企業が55歳を基準にしているとなると、向こう10年間は収入減少に耐える必要がある。社員にとっては、かなり厳しい現実だ。
(e)本来は60歳定年にもかかわらず、会社都合で処遇を変えている側面があるため、役職定年前に収入が減少する分を、一時金として数年分渡すという配慮をしている企業もある。ただ、そうした厚遇を受けられるのはやはり一部。実態調査でも、75%が補填措置はないと回答している。
(f)さらに、グループ会社や取引先などに出向・転籍する際の対応を見ると、実に46%が出向・転籍に対して紹介やあっせんをしていないと回答している。要するに、「自分で探せ」ということだ。個別に呼ばれ、再就職支援会社のパンフレットをポンと上司に渡されて、「しっかり考えておけよ」とだけ言われる企業さえある。
(3)早期退職を明確に迫られたり、「追い出し部屋」へ配置転換されたりするわけではない。
ただ、一定の年齢になると、先輩社員たちは皆そうしてきたんだ、というプレッシャーを感じざるを得ない。
入社以来、会社にどっぷりと漬かり、社外での「居場所」を探していなかった人たちは、新天地を見つけるまでに相当苦労するだろう。
一方、会社が仲介してグループ会社に出向したり、親密な取引先に転籍できても、その後が安泰なわけではない。
行った先で、本社からの天下りだと言われ、ろくな仕事を与えてもらえなかったり、外様扱いされてやたら距離を置かれたりということはザラにある。【大手金融機関のOB】
ただでさえ収入減少に苦しんでいるときに、仕事でも追い打ちをかけられるわけだ。
出世できなくなるだけならまだしも、定年よりはるか前に、実質的に平社員に戻るような現実とどう向き合っていくか。
役職定年はサラリーマンに対し、仕事に対する価値観、向き合い方を根本的に変えよ、と迫っている。
□記事「55歳で降格、出向、転籍/収入減「10年縛り」の過酷」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月2日号)
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(1)大手企業の約半数が導入・運用している役職定年(管理職定年)は、社員たちにとって想像以上に過酷だ。
ある部長代理(48歳)は、今春会社が実施した「キャリアプラン研修(たそがれ研修)」を受け、その後は、人事部と定期的に面談しながら、グループ会社への出向を軸にして処遇が決まっていく。
役職定年をめぐるこうした光景は、中小企業よりも大手でよく見受けられるのはなぜか。60歳よりもはるか手前の段階で、役職定年を迫るのはなぜか。
それは、これまでの日本型の雇用システム(終身雇用、年功賃金)が、国際競争力の低下や景気循環の大きな波にのみ込まれ、「機能不全」を起こしてしまったからだ。
日本の人口ピラミッドと、ある大手企業の社員数の構成図(人口ピラミッド)を比較すると、形状が全く異なっている。企業の構成図は変形したスペードのような、極めていびつな構成になっている。
最少の年に比べて、バブル世代は少なくとも社員数が3~4倍に上っており、この世代が今まさに50歳前後で管理職の中心になっている。
(a)そのため、特に40代前半の社員が割を食っており、1980年代後半に6割近かった管理職比率は、3割台にまで下がってしまっている。
(b)さらに、バブル世代の社員数が多過ぎるため、ポストが極端に不足しており、新設では間に合わず、役職定年によってグループ会社に出したり、また一部は実質的に降格させたりして、何とか帳尻を合わせている。
(2)(1)の状況はあと数年は続くと目される。企業によってはこれから本格化するところもある。
「週刊ダイヤモンド」誌は、各業界の主要企業を対象に役職定年の実態調査を実施した。その集計結果から、サラリーマンにとって過酷な現実が透けて見えてくる。
(a)役職定年を制度や慣行として実施している企業の割合は、48%でほぼ半分だった。
(b)基準となる年齢では、55歳が最多の46%を占めている。57~59歳が25%、52歳が13%で続いている。
(c)役職定年後の賃金水準は、21~30%減が最多の26%だった。2割前後賃金が減ってしまうのが、主要企業における実態らしい。
(d)現在50歳前後の人が、年金を受け取れるのは65歳から。役職定年で多くの企業が55歳を基準にしているとなると、向こう10年間は収入減少に耐える必要がある。社員にとっては、かなり厳しい現実だ。
(e)本来は60歳定年にもかかわらず、会社都合で処遇を変えている側面があるため、役職定年前に収入が減少する分を、一時金として数年分渡すという配慮をしている企業もある。ただ、そうした厚遇を受けられるのはやはり一部。実態調査でも、75%が補填措置はないと回答している。
(f)さらに、グループ会社や取引先などに出向・転籍する際の対応を見ると、実に46%が出向・転籍に対して紹介やあっせんをしていないと回答している。要するに、「自分で探せ」ということだ。個別に呼ばれ、再就職支援会社のパンフレットをポンと上司に渡されて、「しっかり考えておけよ」とだけ言われる企業さえある。
(3)早期退職を明確に迫られたり、「追い出し部屋」へ配置転換されたりするわけではない。
ただ、一定の年齢になると、先輩社員たちは皆そうしてきたんだ、というプレッシャーを感じざるを得ない。
入社以来、会社にどっぷりと漬かり、社外での「居場所」を探していなかった人たちは、新天地を見つけるまでに相当苦労するだろう。
一方、会社が仲介してグループ会社に出向したり、親密な取引先に転籍できても、その後が安泰なわけではない。
行った先で、本社からの天下りだと言われ、ろくな仕事を与えてもらえなかったり、外様扱いされてやたら距離を置かれたりということはザラにある。【大手金融機関のOB】
ただでさえ収入減少に苦しんでいるときに、仕事でも追い打ちをかけられるわけだ。
出世できなくなるだけならまだしも、定年よりはるか前に、実質的に平社員に戻るような現実とどう向き合っていくか。
役職定年はサラリーマンに対し、仕事に対する価値観、向き合い方を根本的に変えよ、と迫っている。
□記事「55歳で降格、出向、転籍/収入減「10年縛り」の過酷」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月2日号)
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