【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。
<大串章選>
①シャガールの恋人達や天の川 (大分県日出町)松鷹久子
⑥写真の裏父の遺筆や終戦日 (益田市)井下みね子
⑦巨船めく病院の灯や夏終る (伊勢崎市)小暮駿一郎
⑧昼寝にも初心達人ありにけり (川西市)上村敏夫
【評】第一句。ロシアで生まれフランスに永住したシャガール。「天の川」が幻想的な絵を想(おも)わせる。(後略)
<稲畑汀子選>
③幽谷の一瀑のこし暮れにけり(西宮市)黒田國義
⑦あつけなく逝きたる母や髪洗ふ (徳島県松茂町)奥村里
⑧雲海に孤高の山の姿あり (川西市)日塔脩
⑨引き返す道消えて無き出水かな (旭川市)大塚信太
【評】(前略)三句目。深山幽谷の水音だけが暮れた闇に残っている詩情。
<金子兜太選>
①蟻地獄あなたの帰り待つてます (長岡市)内山秀隆
③考へる人の片手の渋団扇(うちわ)(神戸市)高橋寛
⑤風といふ大敵来たる竿灯(かんとう)祭(多摩市)吉野佳一
【評】内山さん。真っ黒なジョークは軽みの真骨頂。むしろ爽やか。(中略)高橋さん。団扇は動いているのか、止まっているのか。(後略)
<長谷川櫂選>
②野球部と書かれし西瓜(すいか)合宿所 (神戸市)藤井啓子
③老いといふ泉に耳を澄しけり (三郷市)岡崎正宏
⑥無花果(いちじく)の畑又消え全部消ゆ (福岡市)藤掛博子
⑨億年の一と日八月十五日 (みよし市)稲垣長
【評】(前略)二席。練習が終わったら全員でかぶりつくのだ。三席。泉のたとえが新鮮。老いが果して泉であるか、地獄になるか、その人次第。
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年8月28日)
「朝日俳壇」
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【参考】
「【朝日俳壇抄】八月や骨で還れの骨さへも ~8月21日~」
「【朝日俳壇抄】戦争の滴り落つる日本かな ~8月14日~」
「【朝日俳壇抄】渾渾と泉湧きくる日野原忌 ~8月7日~」
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」
<大串章選>
①シャガールの恋人達や天の川 (大分県日出町)松鷹久子
⑥写真の裏父の遺筆や終戦日 (益田市)井下みね子
⑦巨船めく病院の灯や夏終る (伊勢崎市)小暮駿一郎
⑧昼寝にも初心達人ありにけり (川西市)上村敏夫
【評】第一句。ロシアで生まれフランスに永住したシャガール。「天の川」が幻想的な絵を想(おも)わせる。(後略)
<稲畑汀子選>
③幽谷の一瀑のこし暮れにけり(西宮市)黒田國義
⑦あつけなく逝きたる母や髪洗ふ (徳島県松茂町)奥村里
⑧雲海に孤高の山の姿あり (川西市)日塔脩
⑨引き返す道消えて無き出水かな (旭川市)大塚信太
【評】(前略)三句目。深山幽谷の水音だけが暮れた闇に残っている詩情。
<金子兜太選>
①蟻地獄あなたの帰り待つてます (長岡市)内山秀隆
③考へる人の片手の渋団扇(うちわ)(神戸市)高橋寛
⑤風といふ大敵来たる竿灯(かんとう)祭(多摩市)吉野佳一
【評】内山さん。真っ黒なジョークは軽みの真骨頂。むしろ爽やか。(中略)高橋さん。団扇は動いているのか、止まっているのか。(後略)
<長谷川櫂選>
②野球部と書かれし西瓜(すいか)合宿所 (神戸市)藤井啓子
③老いといふ泉に耳を澄しけり (三郷市)岡崎正宏
⑥無花果(いちじく)の畑又消え全部消ゆ (福岡市)藤掛博子
⑨億年の一と日八月十五日 (みよし市)稲垣長
【評】(前略)二席。練習が終わったら全員でかぶりつくのだ。三席。泉のたとえが新鮮。老いが果して泉であるか、地獄になるか、その人次第。
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年8月28日)
「朝日俳壇」
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【参考】
「【朝日俳壇抄】八月や骨で還れの骨さへも ~8月21日~」
「【朝日俳壇抄】戦争の滴り落つる日本かな ~8月14日~」
「【朝日俳壇抄】渾渾と泉湧きくる日野原忌 ~8月7日~」
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」