語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】「とけるチーズ」 ~食品添加物満載のチーズもどき~

2016年01月22日 | 生活
 (1)ピザ、チーズトースト、グラタン。熱々のとろけるチーズを使った食品は、外食でも家庭でも老若男女を問わず人気メニューだ。

 (2)市販のとろけるチーズ(シュレッドタイプ)を見ると、(a)、(b)の両方ともピザ生地やグラタンに使用すると熱々のチーズ料理になる。ただし、種類別・名称を見ると(a)は「ナチュラルチーズ」、(b)は「乳等を主要原料とする食品」だ。そして、その原材料は、
  (a)エヌ・シー・エル「とろけるミックスチーズ」・・・・ナチュラルチーズ(生乳・食塩)、セルロース
  (b)マリンフード「とろ~り やわらかミックス」・・・・食用植物油脂、ナチュラルチーズ、乳たん白、食塩、チーズパウダー、加工でん粉、セルロース、ph調整剤、リン酸Na、増粘多糖類、調味料(アミノ酸)、香料、着色料(カロテン)

 (3)「乳等を主要原料とする食品」とは何か。
 チーズは、牛乳などに含まれる蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどが凝縮された発酵食品で、「乳等省令」では①ナチュラルチーズと②プロセスチーズをチーズと定義している。
 ①は、その種類ごとに特有の製法で作られるため、種類は1,000以上あるといわれ、「生乳と食塩」を原料とする個性ある風味を持っている。
 ②は、複数の①をいったん溶解して発酵を止めた後、「乳化剤や安定剤」などを添加して作られるため、安定した食感と高い保存性を持つ。
 一方、「乳等を主要原料とする食品」とは、換言すれば「乳や乳製品を主要な原料として作った食品」で、「公正競争規約」により、「食品衛生法で認められている添加物」「味、香り、栄養成分、機能性及び物性を付与する目的の食品」「乳に由来しない脂肪、蛋白質又は炭水化物(添加量は製品重量の10%以内とする)」の使用が認められている食品だ。
 急性毒以外は何でもしようしてOK。
 みたいな、まったく節度のない規約に基づいて作られる食品だ。
 チーズの定義(厚生労働省令「乳等省令」)からほど遠い食品だ。

 (4)「乳等を主要原料とする食品」の原材料(使用料の多い順に表記)を見ると、「とろ~り やわらかミックス」に最も多く使用されている食品は食用植物油脂で、最も多く使用されている食品添加物は加工でん粉だ。
 チーズなのに、食用植物油脂や加工でん粉が一番?
 さらに、その後に続く乳たん白、食塩、チーズパウダー。
 添加物のセルロース、ph調整剤、リン酸Na、増粘多糖類、調味料(アミノ酸)、香料、着色料(カロテン)。

 (5)チーズは、脂分が多いほど溶けやすくなるので、食用植物油はチーズをとろりとさせるために使用されている。油脂で溶けやすくし、加工でん粉で増量、そして一括表示の添加物(増粘多糖類、調味料(アミノ酸)、香料)や着色料を駆使して「チーズもどき」を作りあげる。
 チーズの使用量が少なくても法的には差し支えないので、当然値段は安くなり、ファミレスやファストフードなどのチーズ料理に多く使用されている。
 本来チーズは生乳と食塩のみで作られる。しかし、現実は、この添加物満載の「もどき商品」もチーズのカテゴリーに含まれている。
 恐るべき食品行政だ。

□沢木みずほ「熱々とろりの「とけるチーズ」 なかにはチーズとほど遠いものも」(「週刊金曜日」2016年1月15日号)
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