1995年刊の『1940年体制 -さらば戦時経済-』は、2002年に新版を出し、第11章を追加した。
この第11章を、このたび新しい内容に差し替えた。
95年から15年が経るうちに、日本社会は大きく変化した。経済体制もしかり。
例・・・・95年版で戦時経済体制の象徴とした日本銀行法は改正され、旧法にあった戦時経済的規定は姿を消した。また、長期信用銀行は消滅し、都市銀行も合併と再編によって大きく姿を変えた。さらに、戦時経済体制の中核である経済官庁も大きく変貌した。大蔵省は財務省と名称を変え、大蔵省金融関連部局(銀行局・証券局)は別組織である金融庁に再編された。
制度面の変化以上に、実体面の日本経済の変化は大きい。95年当時、日本の一人当たりGDPは、世界のトップクラスにあった。
しかし、その後日本の順位は継続的に低下した。世界経済における日本の相対的地位は低下した。
この背後に日本型経済制度の問題があることは、疑いない。現在の日本における最大の問題は、民間企業、とくに大企業にある。金融制度や経済官庁の面では戦時経済体制的性格が消滅ないし薄れゆくなかで、日本企業がもつ戦時経済的な体質は、むしろ強化されている。
今の日本経済の中核的企業は、何らかの意味で戦時経済と結びついている。
例・・・・トヨタ自動車や日産自動車は、軍需企業として政府軍部の強い保護を受けて成長した。また、電力会社は、戦時経済改革の結果誕生した。
問題なのは、誕生の経緯だけではない。企業経営理念の基本に、市場経済を否定する考えがあることだ。
かかる理念は、高度成長の実現や石油ショックへの対応に当たっては、プラスに働いた。しかし、それ以降の発展にとっては、ネガティブな意味をもった。かかる理念こそ、90年代以降の世界経済の大変化に日本が適応することを困難にした基本的理由なのだ。
最後に残った戦時経済体制の克服こそ、日本経済の再活性化のために不可欠の条件だ。
このたびの第11章では、企業の戦時経済的体質について論じる。
*
以上、参考文献のまえがきに拠る。
【参考】『増補版 1940年体制 -さらば戦時経済-』(東洋経済新報社、2010)
↓クリック、プリーズ。↓
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この第11章を、このたび新しい内容に差し替えた。
95年から15年が経るうちに、日本社会は大きく変化した。経済体制もしかり。
例・・・・95年版で戦時経済体制の象徴とした日本銀行法は改正され、旧法にあった戦時経済的規定は姿を消した。また、長期信用銀行は消滅し、都市銀行も合併と再編によって大きく姿を変えた。さらに、戦時経済体制の中核である経済官庁も大きく変貌した。大蔵省は財務省と名称を変え、大蔵省金融関連部局(銀行局・証券局)は別組織である金融庁に再編された。
制度面の変化以上に、実体面の日本経済の変化は大きい。95年当時、日本の一人当たりGDPは、世界のトップクラスにあった。
しかし、その後日本の順位は継続的に低下した。世界経済における日本の相対的地位は低下した。
この背後に日本型経済制度の問題があることは、疑いない。現在の日本における最大の問題は、民間企業、とくに大企業にある。金融制度や経済官庁の面では戦時経済体制的性格が消滅ないし薄れゆくなかで、日本企業がもつ戦時経済的な体質は、むしろ強化されている。
今の日本経済の中核的企業は、何らかの意味で戦時経済と結びついている。
例・・・・トヨタ自動車や日産自動車は、軍需企業として政府軍部の強い保護を受けて成長した。また、電力会社は、戦時経済改革の結果誕生した。
問題なのは、誕生の経緯だけではない。企業経営理念の基本に、市場経済を否定する考えがあることだ。
かかる理念は、高度成長の実現や石油ショックへの対応に当たっては、プラスに働いた。しかし、それ以降の発展にとっては、ネガティブな意味をもった。かかる理念こそ、90年代以降の世界経済の大変化に日本が適応することを困難にした基本的理由なのだ。
最後に残った戦時経済体制の克服こそ、日本経済の再活性化のために不可欠の条件だ。
このたびの第11章では、企業の戦時経済的体質について論じる。
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以上、参考文献のまえがきに拠る。
【参考】『増補版 1940年体制 -さらば戦時経済-』(東洋経済新報社、2010)
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