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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【読書余滴】錯視 ~ものの見え方の不思議~

2010年05月30日 | 心理
 人は感覚器を通じて感覚し、感覚は人の心のはたらきによって知覚となる。
 知覚の一種に錯覚がある。本書は目の錯覚、すなわち錯視をやさしく概説する。
 たとえば、同じ長さの2本の線分をT字形に組み合わせると、同じ長さであるにもかかわらず、垂直方向の線分のほうが長く見える。この現象は、垂直水平錯視と呼ばれる。本書で報告された図形は、T字形をひっくり返した図形だが、T字形と効果は同じだ。
 ちなみに、大学生を被験者として垂直方向の線分をだんだんと短くしていく実験をしたところ、垂直方向の線分が水平方向の線分の20から25%短くなるあたりで水平方向の線分と同じ長さに見える、というのが平均的な回答であったよし。
 このほか、ミューラー=リヤー錯視、ポンゾ錯視、ツェルナー錯視、ポッゲンドルフ錯視から、図地反転、多義図形、騙し絵、そして3Dビジョンにヴァーチャル・レアリティまでふれている。図版豊富だから、眺めて楽しい。楽しんで読み進めるうちに、人間の心の不思議さに打たれるだろう。

 本書は、いまでは入手しがたいが、幸いネットでいくらでも錯視の実例に接することができる。たとえば「錯視のカタログ」だ。

【参考】椎名健『錯覚の心理学』(講談社現代新書、1995)
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