(1)はじめに
「国民健康・栄養調査(2014年)」は、2015年末に発表された。これによれば、世帯所得で生活習慣や歯の本数に違いがある。
前記の調査は、厚生労働省が毎年実施している。
今回は、重点調査として世帯の所得を3階層に分け、所得と生活習慣との関係を調べた。
(2)階層
(Ⅰ)200万円未満
(Ⅱ)200万円以上、600万円未満
(Ⅲ)600万円以上
(3)結果
(a)(Ⅲ)の男女に比べ、(Ⅰ)の男女は、次の点で有意差があることが判明した。
①穀物摂取量(ご飯やパン)が多い。
②野菜や肉類の摂取量が少ない。
(b)食品を選択する際に重視するポイントを質問したところ、(Ⅰ)や(Ⅱ)には次のような特徴があり、手っ取り早く「量」で満腹感を得るため、主食をファストフードのみで食事を済ませていると推定される。
①「おいしさ」「好み」「季節感」「栄養価」への関心が低い。
②全体に食に無頓着な傾向がある。
(c)(Ⅰ)の世帯の男女は、
①習慣的に喫煙している割合が高い。
②肥満の割合が高い。
③1日の平均歩数が少ない。
④健康受診の未受診率が高い。
(d)(Ⅰ)の世帯の男女は、歯の本数が20本未満の割合が高い。
(e)(Ⅲ)の男性は、(Ⅰ)や(Ⅱ)より、健康リスクが増加するほど飲酒量が多い人の割合が有意に高い。
(f)(Ⅲ)の男性は、(Ⅰ)の男性より、甘味料、砂糖類、肉類など嗜好性が高い飲食物を摂る割合が高い。
(4)所見
(a)低所得層が陥りやすいリスク、不健康な生活習慣は、
2型糖尿病
脂質異常症
などの発症リスクであり、将来は
脳血管疾患
心疾患
を引き起こす。
(b)高所得層の、特に男性が陥りやすい健康リスクは、
過度な飲酒
であり、次の病気は飲酒との関連が明らかなので、注意が必要だ。
大腸癌
食道癌
所得はすぐには変えようがない。
しかし、日々の習慣を身体を「維持する」ものとするか、「壊す」ものとするか、どちらにするかは自分で変えることはできる。
□井出ゆきえ(医学ライター)「世帯所得で違いがはっきり 不健康な食習慣と飲酒習慣 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.285~」(週刊ダイヤモンド」2016年1月30日号)
↓クリック、プリーズ。↓
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【参考】
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」
「国民健康・栄養調査(2014年)」は、2015年末に発表された。これによれば、世帯所得で生活習慣や歯の本数に違いがある。
前記の調査は、厚生労働省が毎年実施している。
今回は、重点調査として世帯の所得を3階層に分け、所得と生活習慣との関係を調べた。
(2)階層
(Ⅰ)200万円未満
(Ⅱ)200万円以上、600万円未満
(Ⅲ)600万円以上
(3)結果
(a)(Ⅲ)の男女に比べ、(Ⅰ)の男女は、次の点で有意差があることが判明した。
①穀物摂取量(ご飯やパン)が多い。
②野菜や肉類の摂取量が少ない。
(b)食品を選択する際に重視するポイントを質問したところ、(Ⅰ)や(Ⅱ)には次のような特徴があり、手っ取り早く「量」で満腹感を得るため、主食をファストフードのみで食事を済ませていると推定される。
①「おいしさ」「好み」「季節感」「栄養価」への関心が低い。
②全体に食に無頓着な傾向がある。
(c)(Ⅰ)の世帯の男女は、
①習慣的に喫煙している割合が高い。
②肥満の割合が高い。
③1日の平均歩数が少ない。
④健康受診の未受診率が高い。
(d)(Ⅰ)の世帯の男女は、歯の本数が20本未満の割合が高い。
(e)(Ⅲ)の男性は、(Ⅰ)や(Ⅱ)より、健康リスクが増加するほど飲酒量が多い人の割合が有意に高い。
(f)(Ⅲ)の男性は、(Ⅰ)の男性より、甘味料、砂糖類、肉類など嗜好性が高い飲食物を摂る割合が高い。
(4)所見
(a)低所得層が陥りやすいリスク、不健康な生活習慣は、
2型糖尿病
脂質異常症
などの発症リスクであり、将来は
脳血管疾患
心疾患
を引き起こす。
(b)高所得層の、特に男性が陥りやすい健康リスクは、
過度な飲酒
であり、次の病気は飲酒との関連が明らかなので、注意が必要だ。
大腸癌
食道癌
所得はすぐには変えようがない。
しかし、日々の習慣を身体を「維持する」ものとするか、「壊す」ものとするか、どちらにするかは自分で変えることはできる。
□井出ゆきえ(医学ライター)「世帯所得で違いがはっきり 不健康な食習慣と飲酒習慣 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.285~」(週刊ダイヤモンド」2016年1月30日号)
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【参考】
「【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~」
「【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~」
「【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~」
「【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~」
「【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~」
「【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~」
「【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~」
「【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~」
「【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~」
「【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・」
「【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~」
「【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~」
「【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~」
「【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~」
「【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~」
「【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?」
「【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~」
「【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~」
「【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~」
「【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~」