アヤシイおっさんとの遭遇

用があって５、６日浜には行けませんでした。
久しぶりに行ってみると、何と先客がいます。
この浜に来るようになってから浜で人を見たのは初めてです。
う～～ん、ちょっと、恐いなあ
帰ろうかなあ
でも急にきびすを返して帰るってのも不自然だし。
よ～し、知らんふりしよっと。
ゴミを拾い始めました。
すると、しばらくしてから、おっさんがこっちに向かって来るではありませんか！
げっ、来るなっちゅーに。
「ゴミを拾ってるんですか
いや～～、感心感心、なかなか出来ることじゃないよ～」
とか、何とか言います。
「いや、その、ナニ、私は自分の健康のためにやっていますです」
そして、このおっさんは、何と意外な事にゴミ拾いを手伝ってくれようとしたのです。
おっさんはゴミ袋一袋くらいペットボトルや発砲スチロールなどを拾ってくれました。
この人はこの町の出身でいまは大阪にいるんだそうです。
帰省で帰ってきたのだそうです。
子供の頃、この浜によく遊びに来たんだそうです。
昔はこの浜は海亀の産卵で有名な浜で
５０年（！！！）ほど前は海亀がじゃんじゃん来てたんだそうです。
「おれなんかさー、夜中に来て上陸してきた亀を苛めて遊んでた」と言いました。
（５０年前の話）
あ、じゃあ、海亀のこと知ってるんだな
海亀が産卵した跡らしい所を見てもらうと
「あー、あー、こりゃ、亀だよ」
と言いました。
やっぱり、海亀が来てるのは間違いないようです。
卵を産んでるんでしょうか？と聞いたけど
「わかんないなー」だそうです。
そして「感心、感心」
と言いながら（褒美に？）町内にあるお好み焼き屋が親戚でそこにいるから
来たらおごってやるから是非来なさい
と言います。
何だか、小さい子になった気分です。
昔、子供の頃、大人にほめられてご褒美をあげると言われた時の気持ちを
思い出しました。
それに、このおっさん
「これは地球を救うことになるよ～」
とか大げさな事を真面目に言うし、
「あんたがゴミ掃除してるから亀が帰ってきたんだよ～」
とか言うし
なかなか、面白いおっさんでした。
そんで、
私も私で、え～、本当にゴミ片付けたから亀が来たのかなあ
とか、思うようになっていたのでした。
結局、このおっさんに励まされちゃったんですね。
感謝、感謝。
このおっさんは、きっとこの浜に思い出がたくさんあるんでしょうね。

町民気質

私の住んでいる町の人たちは皆、すごい働き者です。
女の人で仕事を持っていない人は少ないと思います。
４０代で子供も手を離れて暇もあるのに仕事に出ないなんて
恥ずかしいことかなあと思います。
漁師の奥さんたちはとても生き生きしていて
ちゃきちゃきしていて、逞しくて、光り輝いて見えます。
ゴミの袋を持って彼女たちのそばを通る時うつむいて目が合わないように
それこそ、コソコソと逃げるようにして行きます。
だって、ゴミ拾い自体も恥ずかしいけど
「銭にもならんことをしている暇な奴」な私が恥ずかしいのです。
町民気質として、「銭にもならんことする奴はアホ」
ってあると思う。
あ～～、また落ち込んできていたようです。
友人にゴミ拾いをしていると話したら
えー、そんな人が行かないような浜のゴミ拾ってどうするの
ほっとけばいいじゃん
みたく言われたし。
そーー言えばそうかも。
私って何をしてるの？
何でゴミなんか拾ってるの？
何の意味もない事してるんかな？
友達からメールが来た。
一人で旅行に行ったと思われて頭にきたと言っていました。
一人で行くなんて帰省じゃあるまいし有り得ないと言っていました。
そうか、普通の女性は一人では旅行しないんだな。
（私は行くけど）
つー事は
一人で浜のゴミ拾いしてる私は・・・・・有り得ないんだぁ。
た、確かに、普通の女性は一人で浜のゴミ拾いなんてしないよね
絶対しないわなぁ・・・・
私って変わってる人間なんだわ。

でもでもでも
浜にゴミ拾いに行くようになってから
キツかったジーンズがすっとはけるようになったのだ！
そうだ、そうだった、
私は自分の健康のためにゴミ拾いしてるんでした。

海亀が上陸！！

6月19日
いつもの様に浜に行くと不思議な足跡を発見しました。
これって、これって、もしかして海亀では？？
海亀はゴミだらけのこの浜にまだ来てたんです。
足跡の先には穴が掘ってあります。
産卵の跡でしょうか？？
産卵の跡らしき穴は２つあって、それぞれ足跡が海から続いていました。
二頭上陸したと言うことでしょうか？
それとも同じ亀が二回来たのでしょうか？
足跡の幅とかは同じくらいでした。
ゴミを拾って帰りに、農家のおじさんに聞いてみると
産卵跡は穴をちゃんと埋め戻して分からなくしていくのだそうです。
ですから、今日見つけた穴は途中で産卵をやめたのではないかとのことでした。
な～～～んだ、がっかり。
でも、でも、亀が来たのは確かなことのように思います。

農家のおじさん

ある日、拾ったゴミを持って歩いていると農家のおじさんに声をかけられました。
私としては声なんてかけられたくない、だってゴミ拾いってやっぱり恥ずかしい。
何て言われたかはよく覚えてませんが
「社会奉仕でゴミ拾ってるんですか？なかなかできる事ではない、エライなあ」
みたいな事を言ってくれたような気がします。
一応、ほめられちゃった・・・のかな？
不審な奴とは思われてないのは確かです、良かった。

このおじさんは数年前までボランティアで海亀の調査をしていたのだそうです。
そうです！！！！
この浜には海亀が産卵に来るのだそうです。
おじさんが調査をしていた頃は１７回も上陸産卵したそうです。
そう言えば、息子が中学の時、海亀がどうのこうのと言っていたことがありました。
この浜だったんです。
今も海亀は来ているのでしょうか？？

環境レンジャー

町の広報に、ボランティアで拾ったゴミは環境レンジャーが収集します、
と書いてあった気がしました。
だから、拾ったゴミは町役場に持っていけばいいんだなとオキラクに思っていました。
しか～～し！！
そんな甘くはありませんでした。
拾ったゴミは月一回の燃えないゴミの収集日まで自分で保管しなければなりません。
今まで拾ったゴミはほとんどプラスチック、発砲スチロールですから、燃えないゴミになります。
それか、ゴミ収集場所に自分で搬入しなくてはいけません。
とりあえず、自分の家の車庫に置くことにしました。
ゴミ袋はボランティアでゴミ拾いしてる人に町役場がくれることになっていました。
最初に１０袋、その後２０袋、全部で３０袋もらいました。
・・・・・甘えるようだけど、環境レンジャーに収集に来て欲しいどす。

集めたゴミ

これがペットボトルの袋です。
これくらいは、あっという間に拾えます。
本当に、ここはゴミ捨て場？？
誰かが捨てに来てるのかなと思うほどです。
でも、こんなところにわざわざ捨てに来る人はいないでしょう。
海から押し寄せてきたのだと思います。
海流の関係でしょうか？
この浜ほどゴミが打ちあがっているところは見たことがありません。
人々にうち捨てられた浜です。
ゴミだらけだろうが何だろうが気にする人もない浜です。
こんな浜があったことさえ忘れられているのでしょうか？？