![Dsc_0805 Dsc_0805](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/ab/cc3068ca9fb8dccdb67e695937c79cb5.jpg)
今日のお昼に、大ニュースが入った。コダックがニューヨーク証券取引所から株式価格低迷のために一定期間1ドルを割り込むと上場廃止すると警告を受けた。これを受けてコダックは一部特許を売却して延命しようとしているが、うまく行かなかった場合のために、破産申請する準備に入るというものだ。
あの大コダックが破産だと!この衝撃は余りにも大きい。
ただ報道で出ているデジタル対応の遅れで業績が悪化したというのは、実はちょっと違う。この会社のデジタル部門はとても強い。ただ単にコンシューマー向けが人気がないだけだ。他の映画用フィルムや印刷関連部門、文章管理部門なども軒並み業績が悪いのだ。
もしもデジタル対応で遅れをとったとすれば、日本のメーカーの対応が余りにも早かったのが原因だっただろう。特にカシオの対応が、異常に早かった。当時はデジタル化はもう少し遅くなると思われていた。
一部特許を売るとなればどの部門を切り離すのかだが、やはりフィルムだろうか。普通はそう考える。
しかしそれでは、現在カラーフィルムを生産している会社がフジフィルムのみになるのだ。あのドイツのアグファゲバルトが倒産し、日本ではコニカがフィルムから撤退してしまった。モノクロフィルムは小さい企業がいくつかあるが、現在のレベルの製品を作れるのはフジとイギリスのイルフォードのみになる。そのイルフォードも一度倒産している。
写真の表現で、フィルムが選べないというのはもの凄い大きな事だ。ニュアンスを変えたりするときよくフィルムを変えたり現像法を変えたりしていた。こういった事はもう出来なくなるのかもしれない。
コダックは世界で最初に、現像プリントサービスを実現させた。今で言う所のフィルム付きカメラを売って、お客さんは撮影が終わったらコダックのサービスに送って現像・プリントして貰い、カメラにフィルムを再装填してお客さんに送り返す、そんなサービスだ。
これを考えたのは、アメリカ人マネージャーだった。しかしこの頃のコダックを支えていたのはドイツ系の移民たちだったようだ。この頃にドイツから技術を持った移民が、なぜかロチェスター周辺に集まっていたようだ。
第2次世界大戦後アグファゲバルトから接収された金増感法を使って生まれたのがトライX。いろいろとドイツと関係のある会社でもあった。
さて今後コダックはどうなるのだろうか。フイルムが売れない時代だ。これは当然だが、人が撮影したものを印画紙にプリントしなくなった。この理由は、みんな携帯で写真を撮るようになったからだ。その方が人に見せるのが早いからだ。おかげでコンシューマー向けのデジカメも売れなくなっている。
そしてそれだけではない。映画用フィルムはどうなるのかだ。このジャンルでは、コダックは圧倒的に強い。ハリウッドはどうするのだろうか。映画館はすべてデジタルになるのだろうか。スーパー8もコダックが細々と出しているだけだ。アマチュアの映画製作がこれでどうなるのか。
ちょっとマニアックだが、航空写真用のフィルムも作っている。これもどうなるのだろうか。
ポラロイドの倒産のときには、子会社の日本ポラロイドが救済した。コダックはどうなるのだろうか。日本コダックのホームページに行くとアンセル・アダムスの弟子のジョン・サクストンの写真が出ている。アンセル・アダムス財団も倒産して幾久しい。
多分誰も予想していないと思うが、コダックは破産法を使って任意整理をしようとしているのではないのかと考えている。その中で、フィルム部門を残して他を売却するのではないのか。イルフォードもそうだった。フィルム部門は誰も買ってくれないからだ。しかしこのフィルム部門が無くなると、文化の一つがスッポリ消える事になるのだ。
この意味は余りにも大きい。