どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

測量用ポケットコンパス

2012-10-18 03:03:34 | インポート
Photo


ちょっと面白い測量機器があった。ポケットコンパスと言うものだ。
この原理は、方位磁石で北を0度として方向を出す。あと高さなどの角度を、円筒についた十字にあわせたりして出す。距離は巻き尺で測って調べる。
それぞれの記録から、三角関数を使って計算し、土地を測量するものだ。
何を言っているのか解らないと思いますが、江戸時代に日本の測量地図を作った、伊能忠敬が使っていた測量器具だと思ってください。なにか大きな半円と望遠鏡らしき筒のついた器具があったと思いますが、それがいまでも使われて販売されています。
私は隣の大学の学生が実習で使う所を見る事があるのですが、フツーの人は一生に一度でも見る事の無い機械でしょう。
特に凄いのが、この写真に載っているこのコンパスです。望遠鏡に見える円筒は、ただの筒です。原理的には江戸時代から変わっていない商品です。もちろん望遠鏡のついているものもあるのですが、望遠鏡付きの一番安い商品よりこちらが少し高いのです。
さてなぜこの商品が生き残っているのかと言えば、とてもニッチな領域があるからです。それは林業。100?の急勾配の山地を調べようとすれば、フツーの測量機器だと重くてたまりません。出来るだけ軽い方がいい。そして電気を使うものは出来るだけ避けたいです。電池の問題もありますし、雨の心配もあります。またこの望遠鏡のついていないタイプも、レンズが湿度変化で曇らないのがウリです。まあレンズがないのですから曇り様がないのですが、山地での過酷な使用状況がこの製品を必要とさせているのです。
また面積がデカイので、精密も限界があります。とはいってもこのコンパスで1/1000の精度は出せます。そこがこの単純な器機の面白い所です。とはいっても単位がキロメートルなので、高層建築に対しては1/1000倍低い測量精度にもなります。これをどう考えるかは人次第ですが、私は凄い事だと思います。
あと重要なのは、山は土地としては安い事でしょう。上に生えている樹木の値段の方が問題になります。土地の区画より、その上の樹を誰が所有しているかの方が大きいとなります。その上、直径60センチ以上の杉の木だったら値段がつきますが、それ以下だったら値がつかない事もあります。なのでちょっとアバウトな所もあるようです。
実はちょっと欲しいものの一つなのです。気になっていたのですが、たまたまちょっと情報を仕入れまして、作っている会社がある、と言う事です。牛方商会さんです。
なお巻き尺のいらないレーザー測距系の入ったポケットコンパスも作っています。時代遅れの器機とかだけではありません。使う現場があるのです。