昨年岩手県の銘柄米として「銀河の雫」というお米が出た。炊き上がりが純白で味が強いお米だった。そして今年ついに「金色の風」が出た。岩手県としてはこちらが大本命なようで、満を辞しての登場です。
なおネーミングですが、「銀河の雫」の際にはまた宮沢賢治かと思いましたが、平泉の黄金文化にちなんだネーミングということで、金と銀になったそうです。ポケモンではございません。大切なことは繰り返して話します。決してポケモンではありません。
今年の岩手県のお米はどうもできがよくなさそう。それでもこんなに立派に出来上がりました。若干白いところがありますが、ちょっと仕方がないのか。水沢とか県中央部の一番いい米どころで、えらく力の入った営農指導と農家の努力で出来上がりました。
色彩選別かけているのかなぁ。
さて炊いてみました。私にしてはマジメに炊いたのですが、柔らかく炊き上がりました。理由ですが、多分収穫期が若干早かったのではないのかなと。今年は冷害で収穫が遅れに遅れました。そして刈り取ってももみの水分量が多かったようです。まだ未熟なうちに刈り取らざるを得ないところが多かったようです。
「金色の風」だと発表が決まっていたので、若干早く刈ることになったのではないのでしょうか。機械乾燥にしても丁寧に行ったのでしょうから、ちょっとコメの水分量が多かったかもしれません。まあ新米って大抵そんなものですが、にしても柔らかい。
そして気になるお味です。モチです。あっさりとしたモチです。香りもいいのですが強すぎず、炊き上がりが柔らかすぎるかなと思いますが、もうちょっと芯がある感じの方が好きですね。ミルキークイーンのような餅を超えた個性ではないですし、つや姫のような芳醇な香りではないですが、モチっぽいという以外では美味しいお米です。
ただ、なんですが、各地にこういった銘柄米が登場していますが、一体この味を誰が喜んで食べるのかなというのが気になります。最近思うのは、確かに美味しい。だが毎日食べるとなればどうなのかという品種が多いように感じています。オカズとともに腹一杯食べても飽きない品種が本当は一番売れるのではないのでしょうか。
ただこのための条件が実は厳しい。まずジャーで保温して4時間経っても黄変しない。炊きたてならいいというだけではないんですね。次が耐病性が高く多収であるということ。一等米比率が放っておいても高いこと。これは農家にとって重要です。そしてなんですけど、香りがいいいけど強すぎないこと。多分これだと思う。表面の硬いちょっと柔らかい質も重要だろう。噛み応えとか、のどごしとかも大切になる。あんまり粘るのは洋食には少し合わないし、和食でも寿司とか牛丼とかには合わない。今後稲作は粗放栽培に進むと考えているので、低温期の成長とかそういったのも大きくなるだろう。あとね、おべんとうで冷えた時に色が変わらなくて、香りがあんまり変わらない品種って今でもそう無い。
個人的に今まで一番美味しいと思ったお米は。やっぱり南魚沼産のコシヒカリ、ミツカンの懸賞で当てたやつでしたね。次が3年前の熊本県の「森のくまさん」ですが、この品種、出来不出来が激しい。ただこのあたりは今の品種と違って美味しくても食べ飽きるということはなかったですね。
「金色の風」はまだできたばっかりで、今年の冷害で実力を出し切っていないと思いますが、大変美味しいお米なのは確かです。ただ私だったら1キロ400円台のひとめぼれで十分かなと。紫波のひとめぼれで十分、太田のあたりのあきたこまちでもいいですね。
流通が気に入らない。ウチの近所の米屋なんて信用あると思うのだが玄米を下ろさない。理由はブランド管理だと思うのだが、どう考えても精米したての方が美味しいのだ。それを管理工場でないとダメというのはどうなんだろう。個人商店の方が信用や信頼で成り立っているから、混ぜ物とかしないと思うのだが。キチンとした米屋に玄米で卸したほうが絶対美味しい。「銀河の雫」もその意味では入荷するタイミングで買うのに苦労した。つまり精米時から日が経っていないものはなかなかなかったのだ。スーパーやデパートの棚を占領する快感はわかるが、お客さんの声を拾うというのはできないのだ。
このコメのジャンルをデザートライスと命名したい。懐石料理のコースでは最後にご飯と汁が出てくる。まあそのあとに果物が出るのだが、本当の締めはご飯だ。そのご飯がとてつもなくうまいものであってほしい。ものすごい満足度の高いのものが欲しい。その意味での今のラインはとてもよくわかる。小さなお茶碗にこそっと盛ったその一口で満足させるコメであればいい。それを目指してしまったというのはあんまりいいことではない。
そしてデザートライスというのは小ロットでないと成立しない。例えばだ、今日は和牛ビーフステーキだ。ご飯は味の強いミルキークイーンだ。納豆だ、それじゃあコメの匂いが強いつや姫か。赤魚の味噌漬けに黄金の風かな?白身の刺身にあえてササニシキかな、汁は赤味噌でとかそういった世界になる。ご家庭で一気に10キロ買うには躊躇することになる。ふだん使いのコメではない。
その意味ではアイリスオーヤマの酸素遮断袋と酸素吸収剤を入れた3合入りの袋は極めて割高なのだが、売れている意味は正しいのだ。
そしてコメを一番食うのは若い者だ。なので男向けにマッチョライスというのは提案したい。高たんぱく質のマズイ米だ。ただ今の所マズイと思われているだけで品種改良できる可能性はある。そしてここまで美味しい米があるなら、ブレンドで改良可能だろうと思う。レジスタントスターチという訳のわからない概念が流行っているようなので、そういった意味でマッチョライスはあり得ると思う。
なんでタイトルが「金色の」で止まっているかといえば、ほとんどディスっているから。ハイ。
追記。
15日の2時あたりに本文をさらに書き直しをしました。で、ディスっています。美味しい米であることは間違いがありませんのでその辺は、ご了承ください。ただこんな美味しい米を食べていると食が細るんですね。どんなおかずを用意しようが全然食べられないのですね。その意味ではおいしさもほどほどにという意味合いで書いています。
まあその意味ではお正月に用意するお米は「銀河の雫」の方が良さそうですね。モチっぽい「金色の風」はお餅だらけのお正月には向かないと思います。大家族だったら、金と銀を1対2でブレンドするというのもありかと思います。さらにおめでたくなります。
10/19
「黄金の風」となぜか品種名を間違って記載していました。正しくは「金色の風」です。全文訂正しました。