ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

電子書籍の抵抗勢力?

2010年12月04日 | IT関連
『我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す』中西秀彦著 を読みました。
著者は、印刷会社を経営。電子書籍の出現は印刷業界にとってその対応は死活問題です。

デジタルカメラが市場に現れた時は、しばらく成功しなかった。しかし今では、フィルムは駆逐されデジタルが写真業界を一変させました。

書籍の世界は、CD-ROMが早々と登場したものの、それは本と同じく単体の完結物で、付録にこそなっても対立するまでの脅威ではありませんでした。しかし電子書籍はちがう。インターネットとの連動でガラッと変わる。人々は電車内で小説を読むばかりでなく、小説を書き上げることさえ可能。PC環境はハードディスクがSSDに置き換わることで軽量、省電力化が数段と進む。クラウドを利用すれば、どこでも読み書き保存のアップ&ダウンロードが手軽に使える「ネットブック」が近い将来、席巻することは十分に予想される。こうなるとネットブックを相手に、本の立場は実に苦しい。

すでに分厚い百科事典を購入する人は激減。楽曲の選び方もCD盤からサイト入手へ移行。図書館司書の仕事の中でもスキルを求められた「検索」業務は、ネットが代行。大口の企業の社内報もPDFに替わってきています。

「戦争を知らない子供たち」から今や「活版を知らない子供たち」に。印刷の形は、活字→オフセット→インクジェット→電子化、へと変わる、変わる・・

著者は、本の「趣向品」「こだわり」としての魅力は残っても大きな流れはペーパーレスに向かうことは止められないだろうと予測する。著者個人としては、こうした未来を望んではいたものの印刷経営者としては別、その胸のうちはなんとも複雑です。

“抵抗勢力”は、これから如何に生きるべきか、ここでも大変な時代を迎えています。

我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す
中西 秀彦
印刷学会出版部

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