震災後、小林よしのりから、際立った原発への論評は聞かれなかった。4カ月を経て月刊誌『Will』9月号の「本家ゴーマニズム宣言」で明確な彼のメッセージを確認することができた。
「原発即時停止は理性的要求である」「わしは故郷を喪失させる国策を支持するナショナリズムは歪んでいると思っている」「まずはただちに原発は停止し、火力発電に切り替えなければならない。これ以上の核廃棄物の増産を防ぐのだ」・・
7月末に開かれた、右からの脱原発デモでは “非常時にイデオロギーは要らない”の主張。私も反原発への人々の思い、行動は、この事態は国破れて山河なし、にならんとする危機を憂うものでイデオロギーを超えるものと感じる。それは日本に住むものであるなら、ごく自然に発する郷土愛、愛国心=パトリオティズム(patriotism)からの情念に因るものと思われるからだ。
早々と脱原発を掲げている民族派文化人に西尾幹二がいる。同氏も小林よしのりも共に脱原発の立場ではあるが、核武装の必要性も唱えている。「脱原発」と「核武装」、この二つの整合性は難しい。なかなか理解しにくいものだ。これは課題として置いておくとしても、まずは小林よしのり氏の“脱原発宣言”は、歓迎したい。
【写真】田中龍作氏 民族派ナショナリストの脱原発デモ
WiLL (ウィル) 2011年 09月号 | |
総力大特集「日本の難題12」 | |
ワック出版 |