高島市長は、1月6日の記者会見で、自衛官募集で必要となる対象者(18歳前後の高卒予定者と22歳前後の大卒予定者)の名簿を防衛省に一括提供すると正式表明した。これを受けて、9日と10日、福岡市議会から緑と市民ネットワークの会と共産党福岡市議団が高島市長に名簿提供を撤回するよう申し入れた。また、福岡市の7つの市民団体が撤回を申し入れるなど、反対の声が相次いでいる。(下参照)
<これまでの経緯はこちら>
高島市長は記者会見で、個人情報保護審議会の諮問を4月までに行い、目的外利用が認められれば(特例を認めさせ)、新年度(4月)、防衛省へ紙ベースと電子データの両方の形で個人情報を提供すると明言した。自治体には防衛省に個人情報を提出するような義務はなく、殆どの自治体が個人情報保護の観点から本人の同意なしでの情報提供は行っていない。そうした中、高島市長は本人の同意を得ないまま、ご丁寧に紙ベースと電子データのどちらも提供するという。「提供」というのは、これまでの「閲覧」とは全く次元が違うもの。しかし、この問題はまだ市民(というか当事者になりうる人たち)に広く伝わっていない。
そもそも、この問題が公になったのは昨年末(29日)、高島市長が好意にしている産経新聞のスクープ報道によるものだった。それまでは知る由もなかった。もしかすると、高島市長はぎりぎりまで情報を出さないようにしていたのでは。というのも、新しい住民記録システム(生年月日などを指定して対象者を抽出する機能)は1月6日から稼働しているからである。何はともあれ、個人情報の提供を望まない若者もいるだろう。そうした人たちに同意を得ることもなく、情報を提供することは人権侵害にあたり、「福岡市個人情報程条例」の第10条に違反する。審議会で適正な判断をしてほしいのだが、これまで審議会が市長の諮問内容に反対したことは殆どないらしい。こうなると、あとは市民が声を上げるしかない。ちなみに、京都市は市民の反対をうけて、同意をしない人の情報は提供していない。
というわけで、高島市長へ提出された申し入れ書と福岡市の連絡先を掲載しておきます。
《高島市長、審議会が反対しても断行 2020.1.14更新》
今日、地元情報誌に、高島市長は審議会に反対されても、間違いなく4月から情報を提供をするという記事を目にした。記事は、現市役所職員によるもので、わざとおちゃらけて書かれているが、話はおそらく間違いないだろう。やはり、結果ありき。というわけで、ますます市民の力でどうにかしないといけなくなった。
・【福岡市政インサイダー】防衛省への個人情報提供、だいじょうぶかぁ?(NETIB-NEWS 2020.1.14)
1月6日の記者会見 防衛省への個人情報提供を論点をすりかえて説明する高島市長(写真:福岡チャンネルより)
「福岡市議会・緑とネットワークの会」申し入れ書
「共産党福岡市議団」申し入れ書
市民団体共同申し入れ書
回答を求める市民の声に高島市長はどう答えるのか、、いつもの無視?
回答期限を過ぎたけれど、まだ返答はない模様(1.17更新)
《福岡市連絡先/FAX番号》※意見はこちらへ。
福岡市市長室秘書課 092-733-5862
市長室広聴課 092-733-5580
市民局区政課 092-733-5595
総務企画局情報公開室 092-733-5619
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・自衛隊への名簿提供方針示した福岡市に 共産党市議団が撤回申し入れ 2019年度中に判断(テレビ西日本 2020.1.10)
・自衛官募集協力で対象除外も 京都市、若年者の宛名シール提供で(京都新聞 2019.2.21)