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阿蘇山噴火、5年ぶり火砕流発生(10月28日更新)

2021-10-25 21:15:15 | 山・火山

20日午前11時43分、阿蘇山が噴火した。(山口で介護中)お昼のニュースを見ていた母が「阿蘇山が噴火している」と言うので、見ると、火口から真っ黒な噴煙が勢いよく火口縁を下っていた。火砕流だった。13日、火山性微動の振幅が大きくなり、レベル2に引き上げられていたので火口付近に人はいないと思ったが、山上広場が心配だった。後に、報道で登山者を含め被害に遭った人はいなかったことを知り、安堵した。

今回の噴火では、火砕流は火口から北方向に1.6km、西方向に1.0km確認されている。山上広場のある南側で発生していなかったのが幸いだった。阿蘇山で火砕流が発生したのは、2016年10月8日の爆発的噴火以来、5年ぶり。この時は、火口から北西側に1.6km、南東側に1.0kmに変色域が確認されている。山上広場あたりでは大きな被害はなかった。噴火が深夜だったので人的被害もなかった。産総研・防災研の火山灰分析からマグマ成分が確認された。マグマ水蒸気噴火だった。天候不良だったので噴火の写真はないが、気象衛星ひまわり8号が噴煙をとらえていた。噴煙の高さは海抜1万1千km(中岳標高1506m)、火山ガス15000㌧、噴出物50万~60万㌧と桁違いに大きい。今回の噴火はこれ以降で最大ということになる。

20日、産総研地質調査総合センターが火山灰を分析した結果、新たなマグマは含まれておらず、ほとんどが火口底に堆積した過去のマグマ噴火の粒子が再噴出したものだった。京大火山研究センターの大倉教授によると、最近は水蒸気排出に伴う小規模な土砂噴出が確認されていたという。地中へのガスの供給に対し、何らかの理由で排出が追い付かなくなって地中の圧力が高まり、水蒸気噴火につながったのではと仰っている。また、産総研活断層・火山研究部門の山元副研究部門長は「過去の活動では水蒸気噴火から徐々にマグマ噴火へと変わっていることから、今後、マグマ物質の比率が増えていくかどうか見ていく必要がある」とも。

現在、阿蘇山系では、根子岳の箱石釣井尾根ルート、前原牧場ルート、大戸尾根ルートを除き、すべて登山禁止となっている。通行可能な場所でも火山ガスには十分注意が必要。くれぐれもご用心を。

 

火砕流について。報道では5年ぶりとありましたが、気象庁の解説資料を調べてみると、2016年10月8日の噴火では「灰色の変色域が認められた」とあり、火砕流発生とは書かれていません。一方、2015年9月14日の噴火では「小規模な火砕流が発生」と明記されています。よって、阿蘇山の火砕流は5年ぶりではなく6年ぶりということになるかもしれません。下に資料を添付していますのでご参照下さい。  (10月28日更新)

 

10月20日午前11時43分噴火の様子 

母の呼びかけで噴火を知った直後、急いで気象庁の火山監視カメラをダウンロードしたものです。

 

噴煙の高さ火口上3500m、火山ガス4400㌧、噴出物3万㌧~5万㌧ ※噴出物は火山学者早川教授の試算

 

 

 

 

カメラがアップに切り替わった 画像右下に山上広場の建物が見える 

 

 

 

 

噴火から8分後、北側火砕流跡が見える

 

 

 

 

噴火直前、白い噴煙の勢いが増していた

 

 

 

 

噴火前日(19日)明け方、振幅が大きくなっていたのでどうなるのかと思って見ていた

 

 

 

 

こちらは火山性微動の振幅(砂千里観測点・京大火山研究センター)

噴火後、落ち着いていたが、23日午前3時頃ふたたび増大、現在は落ち着いている(24日午後10時現在)

 

 

 

 

こちらは、噴火の様子をとらえたRKK熊本のライブカメラ

噴火後、多くの人が火山博物館へ避難している中、一台の白い車が猛スピードで山上へ向かっている。命知らずな、、

 

 

今回の噴火で阿蘇火山博物館が中岳第一火口に設置している火口カメラAがダウン。第二火口に気象庁が設置している可視熱映像カメラの生存は不明。ちなみに2016年10月8日の噴火では京大火山研究センターのカメラがダウンしている。数年前、その時の状況を大倉教授から直接お聞きする機会があったが、カメラは火山岩などの下敷きになっていたとのことだった。

 

 

《ふたたび噴火するか? 2021.10.25.21:00更新》

気象庁は、25日13時10分17時10分の2回解説情報を出した。それによると、11時頃から中岳第一火口浅部を震源とする振幅の小さな火山性地震が増加。京都大学本堂トンネル観測点の伸縮計で、中岳火口の浅部の膨張とみられる変動が観測されているという。中岳火口浅部での増圧が示唆され、20日の噴火と同程度の規模の噴火が発生する可能性があるという。

阿蘇山 振幅小さな火山性地震増加 20日と同程度の噴火注意|NHK 熊本県のニュース

 

 

《2016年10月8日の噴火資料と2015年9月14日の噴火資料》

 2016年10月8日の噴火資料

 

  2015年9月14日の噴火資料

 

 

《関連記事》

熊本 阿蘇山で噴火発生 気象庁 噴火警戒レベル3に引き上げ(NHKニュース 2021.10.20)

「阿蘇中岳、現時点で水蒸気噴火」京大火山研究センター・大倉教授(熊本日日新聞 2021.10.21)

阿蘇山 新たなマグマ見られず「水蒸気噴火」か今後も活動注視(NHK熊本ニュース 2021.10.22)

 

 

《関連資料》

阿蘇山の火山活動解説資料(2021.10.20 21時発表)

阿蘇山の火山活動解説資料(2016.10月)

 

《参考資料》

阿蘇山登山情報(2021.10.20)