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九州北部記録的大雨~九州北部豪雨から6年

2023-07-16 10:36:30 | 災害

ふたたび九州北部が大雨に見舞われた。気象庁は、先週、7日から活発な梅雨前線が九州を北上し、10日にかけて九州付近に停滞するため、警報級の大雨になる恐れがあると警告していた。結果はそのとおりとなった。いや、それ以上。雨量は気象庁の予想を遥かに超えていた。特に、福岡県筑後地方は被害が大きく、6年前の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた東峰村や朝倉もやられてしまった。

 

〈7月9日〉

大雨で高速が通行止めになる可能性があったので、予定を1日早め、8日、山口へ移動した。山口では、9日朝から大雨になり、午前9時頃、土砂災害警戒情報が出た。その直後、中国道と山陽道の一部が通行止めになった。一方、福岡では、この日、殆ど雨が降っていなかった。予想は外れたかと思っていた。ところが、日付が変わって事態は急変した。

〈7月10日〉

10日午前3時頃、雷の激しい音で目が覚めた。レーダーを見ると×が凄かった。この時、うっかり九州地方のレーダーを見ていなかったが、福岡県で線状降水帯が発生していた。午前6時40分に福岡県筑後地方(久留米、八女、うきは、朝倉、東峰村)に大雨特別警報が発令され、午前8時に筑豊地方と大分県が追加された。中津市を流れる山国川では、午前7時前に氾濫がはじまっていた。(ようこそ九重連山の永松さんのツイートで確認)その後、日田市花月川や久留米市巨瀬川など筑後川水系が次々氾濫した。九州地方整備局の資料を見ると、九州20の一級水系のうち、4水系で氾濫が発生、6観測所で観測史上1位の水位を記録している。2級河川を含めると氾濫は30河川に上る。半端ない。福岡市内でも那珂川や御笠川などが氾濫危険水位を超え、那珂川上流で氾濫が発生している。(福岡市については次項で詳しく)

10日午前9時半頃、久留米市田主丸竹野で土石流が発生し、1人が亡くなっている。耳納山では、6時間で300ミリを超える大雨となっていた。耳納山地の麓は扇状地で、いくつも沢がある。これほどの雨量になると、いつ土石流が起きてもおかしくないと九大塚原教授(工学部)。こういう地形のところは避難が生き残る唯一の方法だと、13日のNHK福岡緊急番組で訴えておられた。このメッセ―ジは重要だ。

10日午前9時50分、ダム流入量が増えて決壊のおそれがあるとして、寺内ダム(朝倉市)が緊急放流をはじめた。緊急放流は1978年以来。放流量は248㌧/sで上限の2倍超。これで大雨が続けば、筑後川下流域が大変なことになる。情報はSNSで承知していたので、どうなることかと思っていたが、幸い、午前10時以降、雨は弱まって、さらなる被害は免れた。結局、線状降水帯は7時間にわたり九州北部を覆い続けた。これほど長い時間は、過去に例がない。

朝倉市と東峰村でも被害が出ている。東峰村では大肥川が氾濫し、道路が崩壊するなど大きな被害が出ている。ただ人的被害はなかった。九州北部豪雨後、九大三谷教授の支援のもと、住民自らが防災マップやタイムラインを作成するなど、防災意識は高い。今回、それが生かされのではないだろうか。朝倉市杷木町では、5月に赤谷川の砂防ダムが完成したばかりのところに土砂が流れ込んでいた。現地調査をした九州地方整備局の担当者は効果があったと述べている。しかし、復旧途中の場所では、土砂が崩れたり、浸水被害が出ている。自然は容赦ない。6年前の豪雨で多くの人が亡くなった場所で人的被害がなかったのは、せめてもの救いである。

高速道路もやられてしまった。長崎道は応急措置が完了し、通行止めは解除されているが、大分道は通行止めが続いている。杷木IC手前、高山トンネル上部の山(堂所の尾根)が崩落し、トンネル坑口に大量の土砂が流入している。高速道は災害支援に欠かせないこともあり、作業は急ピッチに進んでいる。(15日22時02分、通行止めは解除されました)

 

当日、入院中の姉を別の病院に連れていったり、介護に追われたりで、ほとんどテレビを見る余裕がなかった。それで詳しいことはわからなかったが、13日帰福後、被害状況を見て驚いた。筑後桜めぐりで見慣れた風景が一変していた。6年前の九州北部豪雨は局所的だったが、今回は被害が広範囲に及んでいる。おそらく、報道されていないところもあるに違いない。うきは市や田主丸町はフルーツの里。耳納山麓ではぶどう畑やもも畑が広がっている。そこがごっそりやられてしまった。今朝、落胆されている農家の方の姿を目をして、やりきれない気持ちになった。何かできることがあれば、、と思っている。

 

久留米市田主丸竹野土石流現場(NHK緊急報告  令和5年7月記録的大雨より)※NHK+で7月20日まで配信中

いつも通っているところが、、

 

 

九州北部豪雨と比較してみると

今回は雨雲が広範囲だった

 

 

7月10日午前3時前

雷の凄まじい音で目が覚めた

 

 

10日午前6時前

福岡県に線状降水帯が発生していた、この頃、耳納山地で大量の雨が降っていた

 

 

 

10日、キャプチャーできた画像(川の防災情報及び福岡県河川防災情報より)

【山国川】

 

【花月川】

 

【巨瀬川】

この時、氾濫はしていなかった(誰?危険すぎる)

 

 

2時間後、すでに氾濫していた

 

 

【大肥川】

瞬間、声を上げた 「東峰村が、、」

 

 

九州地方整備局資料より

浸水面積は約4700ha(ペイペイドーム590個分)、想像を絶する

 

 

 

 

九州北部豪雨を抜いてしまっている

 

 

 

国土地理院資料より

久留米市善導寺町島で浸水深最大約3.8m(一番青い部分)

洪水対策のため河川工事が完了しているところは浸水が少ないように見える

 

 

高速道路被害(NHKニュースより)

 

 

 

 

7月10日6時05分通行止め(NEXCO西日本より)

西坑口で推定約3000㎥、東坑口で約4000㎥の土砂が流入 

 

 

7月15日午後10時02分通行止め解除

作業された方々に感謝(それにしても早かったな)

 

 

《関連記事》

コーナー「福岡記録的大雨」(西日本新聞 2023.7.15)

九州地方の気象予報士のポイント解説記事(随時更新)

筑後川 中・下流域の広範囲で浸水被害か 国土地理院が分析(NHKニュース 2023.7.12)

“東西5000キロ余にわたる大量の水蒸気”が九州北部大雨の要因(NHKニュース 2023.7.11)

九州 7日~10日にかけて繰り返し激しい雨 災害級の大雨のおそれ 早めの避難を(tenki.jp 2023.7.7)

 

《参考資料》

国交省九州地方整備局。令和5年7月9日から7月10日の梅雨前線に伴う 出水概要・速報版(2023.7.24)※7月25日更新

アジア航測。九州での記録的大雨被害状況(2023.7.11更新)※航空写真多数(複写不可)

国土地理院。6月29日からの大雨に関する情報

気象庁・過去の気象データ検索