![]() | 第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話 (幻冬舎新書) |
中川 右介 | |
幻冬舎 |
♪「第九・ベートーヴェン最大の交響曲の神話」中川右介著(幻冬舎)
大好きな第九だけど、初演の様子こそ伝記に書かれたり、映画になったりで有名だが、その後の演奏はどんなふうだったのか、いつからこんなにしょっちゅう演奏されるようになったのか、などはよく知らなかった。
ベートーヴェンの交響曲第九番の初演から現在までの演奏の歴史と、どの指揮者がどんなふうに振ったのかを記録的に綴ったノンフィクション。
今でこそアマチュアのオケでも演奏するけど、初演からしばらくは、あまりにも難曲で、オケも合唱団も相当人数を揃えなくてはならないし、ソロも4人必要だしで、そう簡単には演奏されなかったようだ。
ベートーヴェンの楽曲は当時から人気があり、交響曲もヨーロッパ各国の演奏会で取り上げられていたようだが、第九番は1楽章だけとか、2楽章だけなど、今じゃ考えられない「ぶつ切り演奏」だったという。
それにまだレコードもない時代だから、スコアだけでこの大曲、難曲をきっちり理解して振れる指揮者も多くはなかった。
でもびっくりしたのは、ワーグナーやリスト、メンデルスゾーン、ベルリオーズなどの錚錚たる大作曲家たちが指揮者として第九を振っているということ。その当時(200年近く前)は作曲家=優秀な演奏家だったんだね。
近代になってからの演奏の歴史も興味深い。第一次世界大戦後とナチス台頭時代の第九、フルトヴェングラーとトスカニーニの第九、カラヤンとバースタインの第九、そして日本初演の第九の話、etc。
日本で初めて第九を演奏したのは、第一次世界大戦後の捕虜収容所のドイツ人だった話(これは有名な話で、映画にもなった。我がブログでも紹介済み)や、日本人による初演は九大か芸大か?などの話も、第九ファンとしては改めて読むことが出来て面白かった。
第九を歌っているあなた、4楽章しか興味がないとか3楽章は退屈だなどとほざいているあなた(我がブログの訪問者にはいないでしょうが)、こういう本も読んで、ちゃんと曲の背景とか演奏の歴史も勉強しましょう。少しは、自らの演奏(歌)が奥深くなるかもしれません。
再来年の我が社のオケの定演で、第九を演奏する計画がある。合唱も基本的に社内から募集するとか。
僕は当然出ますよ。練習にはなかなか出れないと思うけど、2~3回合わせれば大丈夫です(^^)/