おやすみラフマニノフ (宝島社文庫) | |
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宝島社 |
♪「おやすみラフマニノフ」中山七里著 宝島社文庫
「さよならドビュッシー」を読んで、その素人離れしたクラシック音楽の知識と曲目解説力、そしてミステリーとしてのトリックの奇抜さと面白さに度肝を抜かれた。こりゃ、2作目の本作を読まない理由はない!
音大でヴァイオリンを学ぶ晶は、ガールフレンドで、音大の学長にして日本のピアノ界の大御所である柘植彰良の孫娘の初音と学園祭の目玉である学内オケのメンバーとして練習に励む。
そんな中、演奏会で初音が使うストラディバリウスのチェロが密室から忽然と消える。その後もラフマニノフのコンチェルトでピアノを弾く予定の柘植学長の愛用のピアノが水浸しにされ、更に学長を狙うようなメールまで届いた…。
前作で類い稀なピアノ演奏と、卓越した推理力を披露してくれた岬洋介は、今回も音大の講師として登場し、ピアノばかりか指揮者としての才能も発揮し、もちろん名探偵として事件を解決する。
うーん、面白いねー。ミステリーとしてのストーリー仕立ては健在。多少無理があったり、前作と較べると意外性が少ないなど、ちょっと物足りないところもあるけど、結構良く出来たトリックだ。今回は音楽大学を舞台にした話なので、まさに「のだめ」チックな音楽小説の趣きも濃い。でもこれが面白い!
まさに今までにない「音楽+ミステリー」のジャンルを確立しつつある。
巻末の解説を書いているピアニストの仲道郁代が「CD付きで本を販売して、演奏を聴きながら読んだら最高」と言っていた。うーん、仰る通り!ぜひともCDで実際の音楽を聴いてみてほしい。まさに著者の曲解説が的を射て、胸に迫ってくる。
音楽関連のミステリーは当分おやすみ?のようだ。ぜひとも音楽関連の次回作を期待しています!f