呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

訳アリで山暮らしから都会に戻ったオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

読書感想文「希望荘」宮部みゆき著 文春文庫⭐️⭐️⭐️⭐️✨

2019-07-28 | 本の話
杉村三郎シリーズ第4弾。中編4作がまとめられている。
前作「ペテロの葬列」で、妻の不倫が原因で離婚し、今田コンツェルンの広報室も辞めた杉村が、本格的に探偵として独立した。離婚から独立開業に至るまでの出来事が、4つの話にまとめられている。
「聖域」⭐️⭐️⭐️
近所のおばあちゃんが「私は死にます」と連絡を寄越して失踪。でも元気にしているところを見かけた人が現れる…イマイチ、ストーリーの仕立てに納得がいかなかった。
「希望荘」⭐️⭐️⭐️✨
病没した父親が殺人を仄めかしていた…これも謎解きとしてはそれなりに面白いが、イマイチ心に響くものがなかった。
「砂男」⭐️⭐️⭐️⭐️✨
群馬の田舎で評判の良い蕎麦屋を営む若夫婦。その夫が駆け落ちをしてしまう。一体なぜ?杉村は夫の行方を追い、その理由を探る…うーむ、そういう展開か⁉︎切ないなぁ。4作の中で一番心に響いた話。
「二重身」⭐️⭐️⭐️⭐️✨
アンティークショップの店主が、東北地方に仕入れに行くと行って出掛け、その後東日本大震災が発生、店主は行方不明に。店主の交際相手の高校生の娘が杉村に捜索を依頼してくる…この話も、なかなか重い結末だった。
 
宮部みゆきらしいといえば、まさに「らしい」重厚な人間模様が散りばめられた中編集だ。
話が短い分中身が濃く、凝縮された展開で読み応えがあった。おススメです。ぜひお読みください!
 
 
 
 
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映画「凪待ち」⭐️⭐️⭐️⭐️✨

2019-07-22 | 映画(DVD)の話
ギャンブル漬けのダメ男が、恋人とその娘と人生をやり直すために恋人の故郷石巻に移住する。しかし、やはりギャンブルは止められず、ますます自堕落な借金生活に。
そのうち、恋人が通り魔?に殺害され、男は深く後悔するが、それでもノミ行為の深みに嵌っていく。
香取慎吾が、ギャンブル依存症のどうしようもない男を好演している。そして、何かと世話を焼いてくれる近所の男(リリー・フランキー)や末期がんの恋人の父親、恋人、その娘、みんな良い味を出している。
男は恋人を殺した犯人捜しをするわけでもなく、ミステリーというよりはダメ男を取り囲む様々な人間模様を描いたヒューマンドラマだなぁと思って観ていたが、ちゃんと最後に謎解きもあった。
慎吾くん演じる主人公は最初からずーっと浮かばれず陰鬱としていて、観ている方も気が滅入ってくるが、最後にちょっとだけ光明が差し、少し救われた。
全編石巻市内や南浜、雄勝でのロケ(*)だったらしく、先月末の劇場公開初日には、慎吾くんが石巻のイオンシネマで舞台挨拶をしたとか。石巻市は「ロケ地マップ」を作成したりで、結構盛り上がっていたようだけど、こういう映画を撮っていること自体知らなかった。
県内では今週の木曜日までしか上演しないらしい。結構お勧めの作品ですよ。 
*石巻駅のシーンは、別の場所で撮ったのでは?どう見ても石巻駅ではなかった… 
 
 
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映画「新聞記者」⭐️⭐️⭐️⭐️✨

2019-07-17 | 映画(DVD)の話
結構Heavyな作品だった。
内閣情報調査室の世論やマスコミ操作、首相の公私混同、官邸の報道への政治介入…暴く側の新聞記者と、守る側の官僚の丁々発止のやり取り…ジャーナリストとしての矜持、国家と国民の公僕である官僚の矜持はどこにあるのか⁉︎
なかなか見応えのある作品だった。しかし内閣府とかって、他の省庁と違い、何をやっているところなのかよく分からず、ある意味不気味だ。そこに所属する内閣情報調査室(内調)もまた、どんな役目のセクションなのか。
映画の中のフィクションとは思えない、官邸、役所、役人の暴挙を、ジャーナリズムは断罪できるのか。結構スリルで手に汗握る。でも、ラストは衝撃的で、最後の最後にどうなるのかは、観る者のイマジネーションに委ねるエンディングだった。
 
とても面白かったが、主人公である女性新聞記者が、日本人と韓国人のハーフで、やはり記者だった父親の影響を受けて日本の新聞社で記者をやっているという設定の必然性がよく分からなかった。普通に日本人記者で良いと思うんだけど。原作も同様の設定なんだろうか。
でも記者吉岡エリカ役のシム・ウンギョンの存在感はすごかった。もちろん松坂桃李くんも!
 
 
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演劇「土神ときつね」

2019-07-15 | コンサート・LIVE・演劇などの話
東鳴子の帰りにYONEZAWA GYU OFFICE の「土神ときつね」を観に行ってきた。仙台公園の楽。
宮沢賢治の童話をモチーフに、途中に賢治の書簡集からの手紙の朗読や他の童話の一節を盛り込んだりした3人芝居(+楽師=チェロの山本さん)。
うーむ、正直言って、普通の起承転結のストーリーがある芝居ではなく、かなり前衛的(ゴメンなさい、表現が違うかも)な作品なので、なかなか難解だった。でも50席程度の客席が、舞台を挟む形で配置され、俳優が数メートル先で演じる芝居は、若かりし頃に観に行った黒テントとか小劇場の芝居を思い出し、懐かしくもあった。まさに役者の息遣いや表情が手に取るように分かる。
音楽は、仙フィルのチェロ奏者山本純さん。作曲から関わったそうで、宮沢賢治の世界にピッタリの音楽だった。これまたBravo!
Gyuさん、山本さん、楽しい時間をありがとうございました。
 
 
 
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映画「泣くな赤鬼」⭐️⭐️⭐️⭐️✨

2019-07-14 | 映画(DVD)の話
重松清の短編の映画化。予告編を観て見逃すまいと思っていたが、大型館ではあまりやっていなかった。フォーラム仙台にて。
野球の才能がありながら熱血指導の監督に斜に構えて盾突き、挫折して結局退学してしまった斉藤。赤鬼と呼ばれたモーレツ監督が斉藤に10年ぶりに会ったのは病院で、斉藤は余命半年の病に侵されていた…
いやぁー、さすがに重松清の原作、泣かせてくれます!赤鬼の堤真一も上手いけど、柳楽優弥は良い役者になったなぁ〜。「おんな城主直虎」で、存在感あるお頭役が良かったけど、これから大役者になる予感を感じさせる。
でも、できればもう少し赤鬼や斉藤の内面の掘り下げ方はあったのかなという思いが残った。泣ける映画ではあるけど、ちょっと中途半端さが気になった。なので星4つ半。
 
 
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