遭難船のダイヤを追え!下 (ソフトバンク文庫 カ 2-2) (ソフトバンク文庫 カ 2-2)クライブ・カッスラー,ジャック・ダブラル,黒原 敏行ソフトバンククリエイティブこのアイテムの詳細を見る |
♪「遭難船のダイヤを追え」カッスラー、ダブラル共著 ソフトバンク文庫
僕の大好きなクライブ・カッスラーの新刊だ。
正確には、僕が好きなのはカッスラーの「ダーク・ピット」シリーズである。
この小説は、カッスラーとジャック・ダブラルという人の共著で
主人公もダークではなく、ファン・カブリーヨという元CIAの局員だ。
だから買う前にちょっと躊躇したが、思わず買ってしまった。
結論から言えば、面白かった!
元CIA局員のカブリーヨが興した「コーポレーション」という会社組織は、一見老朽貨物船の「オレゴン号」、実は最先端の技術を結集して建造した最新鋭の船を中心に、世界中の企業や要人の保安業務を請け負う。
オレゴン号は、元々ピットシリーズの第14作「暴虐の奔流を止めろ」に登場する。
そこからスピンアウトした形で新シリーズが始まったものだ。
カブリーヨ始めコーポレーションのメンバーは、狂信的な環境保護団体の身勝手な陰謀を、寸でのところで食い止める。
その過程で、1世紀前にダイヤの原石を積んで行方不明となった船舶を探し出し、地域紛争の解決資金として活用する・・・。
基本的なストーリーの進行は、ピットシリーズと酷似している。
主人公と個性的な脇役の係わり合いや、主人公が女性にモテモテなのも同じ。
だからピットシリーズを読んでいるような気持ちになる。
ただ会話のウイットや、ストーリーの緻密性などは、ピットシリーズに1歩も2歩も譲ると思う。
その辺が「二番煎じ」的で、イマイチだ。
第一、あまりにもピットシリーズを(出版社が?)意識しすぎて、新潮文庫の「ピットシリーズ」に、何もかも似せてしまったのは、如何なものか。
“Skeleton Coast,2006”という原題を「遭難船のダイヤを追え」と訳したり、文庫の表紙がどう見ても新潮文庫のピットシリーズのパクリだったり、カッスラーの名前を前面に出し共著者のダブラルには一切触れなかったり・・・。
翻訳も新潮文庫の中山善之にそっくりだし、ピットシリーズからのスピンオフを強調し過ぎ!
訳者の後書きを読むと、如何にもピットやジョルディーノが登場するような勘違いをさせられる。
しかしピットの名前が2~3度出てくるのみ。
これはサギだよ!ここまであからさまに新潮文庫をパクらなくたって!!
ソフトバンク文庫には、プライドというものがないのだろうか。
せっかく面白い内容なのに、残念!