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アイヌ民族遺骨 20日に浦幌の団体へ返還 東大と和解

2020-08-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 08/07 20:50

 【釧路】十勝管内浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会)が東大を相手取り、大学が保管するアイヌ民族の遺骨6体の返還を求めた訴訟は7日、釧路地裁(新谷祐子裁判長)で和解が成立した。遺骨は20日に同団体へ返還され、町営浦幌墓園に22日、埋葬される予定。
 団体側によると、大学側が遺骨のほか、太刀やキセルなどの副葬品も返還し、埋葬する墓地の造成費も負担する。団体側は、慰霊行為が妨害されたとして求めていた50万円の損害賠償請求を放棄する。
 和解後に釧路市内で記者会見したラポロアイヌネイション名誉会長の差間正樹さん(69)は「遺骨が手元に戻ることになり感無量。アイヌ民族も先祖を慰霊し、私たちの生活をお守りいただくことが当たり前のことと認められた」と喜んだ。大学側は「当事者間の合意に基づき和解した」とコメントした。
 団体は同様に、北大と札幌医大に対しても遺骨返還を求めて提訴し和解。一連の訴訟は終結し、計102体が戻ることになった。
 訴状などによると、遺骨6体のうち、5体は1888年(明治21年)、東大教授が研究目的で浦幌町ウツナイの墓地から掘り出し、残る1体は1965年に東大の別の教授が同町十勝太の墓地から持ち去った。大学側は遺骨の所有権は個人の相続人にあると主張。団体側は、自ら管理権があるとして返還を求めていた。(熊谷知喜)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/448558

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東大アイヌ遺骨訴訟で和解成立

2020-08-08 | アイヌ民族関連
NHK 08月07日 17時41分

十勝の浦幌町のアイヌの団体が東京大学に遺骨の返還などを求めた裁判で、7日和解が成立し、今月中にもすべての遺骨が返還される見通しになりました。
十勝の浦幌町にあるアイヌの団体は、明治21年と昭和40年に東京大学の研究者が町内の墓から掘り出したアイヌの遺骨6体を大学が保管しているため先祖を慰霊する行為が妨げられているとして遺骨などの返還を求めていました。
7日、釧路地方裁判所で行われた非公開の手続きのあと、原告側が記者会見して、和解が成立したことを明らかにしました。
原告側の代理人の弁護士によりますと、▼東京大学が遺骨6体と副葬品のすべてを返還することや墓地の造成費用などを負担すること、▼原告が損害賠償の請求を放棄することで和解が成立したということです。
原告側が今月14日にも東京大学を訪れて保管状況を確認したうえで、今月20日をめどにすべての遺骨と副葬品が返還される見通しになりました。
記者会見で浦幌町のアイヌの団体の差間正樹名誉会長は「今回、和解になり大変うれしく思ってます。先祖を自分たちの手で慰霊することができ本当に感無量です」と話していました。
東京大学は「当事者間の合意に基づき和解するに至りました」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200807/7000023674.html?fbclid=IwAR296si_1hM9T0uKhAYqS27MViQgp4FSGn-wxCI1KWCl2lRNcXJpg9-rX9k

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東大と和解、アイヌ遺骨返還へ 北海道浦幌町の団体、釧路地裁

2020-08-08 | アイヌ民族関連
共同通信 8/7(金) 16:38配信

 東京大の解剖学者らが北海道浦幌町のアイヌ民族の墓地から研究目的で持ち去った6体の遺骨を巡り、地元のアイヌ民族団体が返還を求めた訴訟は7日、釧路地裁(新谷祐子裁判長)で和解が成立した。東大側が遺骨や刀などの副葬品を返還し、団体側が慰霊行為を妨げられたとして求めていた50万円の損害賠償請求を取り下げる。
 原告側によると、遺骨は8月20日に浦幌町のアイヌ団体「ラポロアイヌネイション」(旧・浦幌アイヌ協会)に返還される予定。
 これまでにも同団体は北海道大、札幌医科大を提訴。その後和解し、遺骨計96体を取り戻した。今回の和解で一連の返還請求訴訟は終結する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/69edb04f9abd62a7193dadfc86991b586b7bac62

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遺骨返還訴訟 浦幌町のアイヌ団体が東大と和解 北海道釧路市(動画)

2020-08-08 | アイヌ民族関連
HBC 2020/08/07 21:57
遺骨返還訴訟 浦幌町のアイヌ団体が東大と和解 北海道釧路市
 十勝の浦幌町のアイヌ民族団体が、東京大学を相手取り、研究目的で墓地から持ち出された遺骨の返還を求めた訴訟で、和解が成立しました。
 釧路地裁で行われた和解協議で、東大側は、明治から昭和にかけて、浦幌町のアイヌの墓地から持ち去り、研究目的で保管していた遺骨6体と副葬品を返還し、その搬送費や埋葬費用を負担するとしました。
 これに対し、アイヌ民族団体は、先祖の供養が妨げられたことによる50万円の損害賠償請求を放棄することで、和解しました。
 「東大の遺骨が私たちの手元に戻ってくることになり、感無量です。謝罪がないということで、その点が不満と言えば不満ですけれども」(ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)差間正樹名誉会長)
 返還される遺骨は、22日に浦幌町で再び埋葬されます。これで、各地の大学や博物館が持ち出したことがわかっている遺骨、103体すべてが返還されることになります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4bddd7af8c7c2aec729f5a8b297898dd3d05418b

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東大の謝罪はなく・・・浦幌町のアイヌ民族遺骨返還訴訟で和解(動画)

2020-08-08 | アイヌ民族関連
HTB 8/7(金) 19:29配信
 十勝の浦幌町のアイヌ民族の団体が、東京大学が保管している遺骨の返還などを求めていた裁判で、7日に和解が成立しました。
 この裁判は、浦幌町のアイヌ民族の団体ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)が、東京大学を相手取り東大の研究者がかつて浦幌町の墓から掘り起こし、今も保管するアイヌの遺骨6体などを返還するよう訴えていたものです。原告側は遺骨の所有権が「アイヌ民族の集団(コタン)にある」と訴え、東大はこの主張を否定していました。7日の和解で原告側は損害賠償を求めず、東大は遺骨と副葬品を返還します。ラポロアイヌネイションの差間正樹名誉会長は「私たちの先祖は私たちの手で慰霊をするという本来の目的にやっと沿うことができる。(東大に)謝罪してほしい気持ちがあったので、その点は少し不満」と話しました。浦幌町のアイヌ民族の団体に各地の大学などから返還された遺骨は、これで103体となり、分かっている限りすべての遺骨が返還されたことになります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad30b57e1958ae05fbcea9f3206ea87419f90299

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国の責任で遺骨返還を アイヌ民族2団体が要請 萩生田文科相の発言に抗議

2020-08-08 | アイヌ民族関連
北海道新聞 08/07 21:30
 道内外のアイヌ民族らでつくる2団体は7日、研究者らによって収集されたアイヌ民族の遺骨を国が責任を持って出土地に返還するよう求める申し入れ書を文部科学省などに提出した。アイヌ民族への差別を「価値観の違い」と発言した萩生田光一文科相の謝罪も要求している。
 提出したのは「先住民族アイヌの声実現!実行委員会」と「日本人類学会のアイヌ遺骨研究を考える会」の2団体。申し入れ書は6日に国土交通省、7日には内閣官房にも出した。
 遺骨返還を巡っては、国は地域にアイヌ民族の団体があり、「確実な慰霊」ができることを条件としている。申し入れ書では、出土地にアイヌ民族団体がない場合もあるとし、国の責任による返還と収集の経緯の調査などを要求。「考える会」の出原昌志事務局長は「先祖の遺骨が盗まれ、研究に利用された問題は差別の象徴。国はきちんと取り組んでほしい」と述べた。
 萩生田氏の発言について出原事務局長は、差別による被害者と加害者の関係を否定し、ヘイトスピーチを助長すると指摘。申し入れ書の提出に同席した都内在住のアイヌ民族宇佐照代さん(48)は「子どもたちには堂々とアイヌ民族であると言って育ってほしいが、ヘイトする人が増えれば(民族の)誇りが失われる」と危惧した。(鈴木誠、酒井聡平)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/448576

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ピーター・バラカン氏「ルーツ」先住民族の音楽語る

2020-08-08 | 先住民族関連
日刊スポーツ [2020年8月7日23時6分]
映画「ランブル」初日イベントに登壇した野口久美子明治学院大准教授とピーター・バラカン氏(撮影・村上幸将)
音楽評論家のピーター・バラカン氏(68)が7日、東京・渋谷ホワイト シネクイントで行われたカナダ映画「ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち」(キャサリン・ベインブリッジ、アルフォンソ・マイオラナ監督)初日イベントで、米国先住民研究家の野口久美子明治学院大准教授と先住民族について語り合った。
「ランブル-」は、先住民族の血を引く米国のギタリスト、リンク・レイが1958年にリリースした「ランブル-」が、歌詞がないインストゥルメンタルにもかかわらず、攻撃的なギターサウンドが少年犯罪を助長するという理由で放送禁止となったことを紹介。先住民族をルーツに持つミュージシャンが、レッド・ツェッペリンやザ・フーらのアーティストをはじめ、米国のポピュラー音楽に影響を与えながら、栄光の歴史から抹殺されたことを明らかにしたドキュメンタリーだ。字幕を監修したバラカン氏は「彼らの音楽が、いかにして米国の音楽、特にブラックミュージックの大きなルーツになっているかを知って、何十年も音楽の仕事をしている自分も本当に感激した」と語った。
バラカン氏は野口氏に、先住民について質問を次々、投げかけた。その中で、英国から米国に入植した白人が入植地を広げていく中で、先住民から土地を奪ったり安価で購入したこと、先住民に白人と接触せず自由に生きることを保証すると言って、保留地に住まわせた米国建国からの歴史が紹介された。
その上で、保留地で先住民がカジノを経営することに話が及んだ。バラカン氏は「米国は、ネバダ州では許されているが、基本的に賭博が出来ない国。特例として先住民が保留地でカジノの運営が許されることになった時、驚いた。成り立ちを説明してもらえませんか?」と投げかけた。
野口氏は19年に著書「インディアンとカジノ アメリカの光と影」を出版している。同氏は、まず米国におけるカジノについて「大きな収益が上がる産業の1つ。非常に盛んで、大衆文化と言ってもいい。米国ではカジノがいいか、悪いかは問題じゃない。必要なんだと」と、統合型リゾートの誘致にあたりカジノの是非が議論されている日本とは、次元が違う議論をしていると説明。その上で「日本と全く違うのは、ものすごい厳しい規制の下に置かれている。金の流れも70年代以降、かなりクリアになってきた。ギャングとの癒着はもちろんあるが、それも含めて連邦政府は把握している。普通の一般の人、地方が参入するなんて出来ない」と強調した。
その上で、野口氏は先住民保留地におけるカジノについて「20年前から設営されている。保留地に入れば、どんなに好きなことをやってもいいよ? というのが(先住民が)保留地に入る条件。そこで、これだけ、もうかるんだったら、保留地でカジノをやったら? と考えた先住民がいた」と説明。法律の問題や裁判所との間で葬儀があったとした上で「(保留地に入れば、どんなに好きなことをやってもいいと)確かに約束したよね、だったらいいんじゃないの? と考えるのが米国の面白いところで、保留地にカジノができ、爆発的な人気を誇った。そこから20年…今では200以上の部族が500軒くらいのカジノを経営しています」と現状を語った。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202008070001253.html

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ブルース、ジャズ、フォーク、ロック、ヘヴィメタル……すべてアメリカ先住民族の貢献あり!『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』

2020-08-08 | 先住民族関連

バンガ― 2020.08.06

ブルースやジャズ、そしてロックはアフリカン・アメリカンがルーツだと思い込んでいたが、その根っこにインディアン=ネイティブ・アメリカン、つまりアメリカ先住民たちが歌い継いできた音楽があったとは!『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』は、先住民族~アフリカ系の奴隷たちが紡いできた誇り高き文化を時代別に学べる貴重な記録映像であり、その影響がヒップホップにまで至ることを証明するドキュメンタリー映画だ。
本作の鑑賞後にレッドボーンの「Come and Get Your Love」(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』[2014年]のOPタイトルでお馴染み!)を聴けば、自然と涙があふれてくるはず!!
インスト曲が放送禁止に!? 多くのミュージシャンに影響を与えたリンク・レイ
本作のタイトルはネイティブ・アメリカンのミュージシャン、リンク・レイ(2005年死去)の代表曲「ランブル」から取られている。カントリーバンドの一員としてキャリアをスタートし、現代ロック~パンクへと繋がる新たなエレキ・サウンドを次々と生み出した伝説のギタリストだ。そしてタイトルどおり、映画はリンク・レイの紹介から始まる。
リンク・レイはショーニー族の一家に生まれた。彼の親族が語るエピソードの中には、かつてKKKの襲撃を逃れるためにベッドの下に隠れたという衝撃的なものもある。当時はネイティブ・アメリカンだと知られると、アフリカン・アメリカンと同じ扱いを受けたそうだ。そして「ランブル」が生まれた経緯を本人が語る貴重な映像から、それをラジオで聴き衝撃を受けたと語るのは、様々なルーツ音楽をブルースに採り入れたことで知られる大御所タージ・マハールである。
「ランブル」はインスト曲にもかかわらず放送禁止になったというから、当時の若者への影響力が伺い知れる。しかし“ケンカする”という意味のタイトルではあるものの、その音からは不思議とネガティブなイメージは湧かない。その出自によって世間から虐げられてきたリンク・レイには怒りの感情もあったはずだが、彼の音楽にはポジティブなバイブスが漲っていて、イギー・ポップが「よし、俺もバンドをやるぞ!」と背中を押されたという言葉に無条件で納得してしまうほど陽のエネルギーにあふれている。
黒人の魂・ブルースのルーツにも先住民たちの影響があった!
先住民族のヴォーカル・グループ、ウラリがパフォーマンスを披露し、踊りや音楽をも禁じた当時のアメリカ政府による迫害の歴史が語られる。詩人/ミュージシャンのジョン・トルーデルによる「文化の剥奪は虐殺に等しい」という言葉は非常に重いが、実際に政府は数百人規模の虐殺によって彼らの文化を排除しようとした(1890年:ウンデット・ニーの虐殺)。そのとき、政府の弾圧=米兵の撃つ弾丸を跳ね返すために踊ったという“ゴースト・ダンス”は必死の抵抗のひとつであり、それは後のブルースの誕生とも無関係とは言えないだろう。
かつてはアフリカ系の奴隷よりも酷かったという迫害から逃れるため、黒人として暮らす先住民族もいた。男性が奴隷として他国へ送られ、その後に連れられてきたアフリカ系の奴隷との間に生まれた子どもたちは、双方のアイデンティティーを受け継いでいる。南北戦争以前のアフリカ系アメリカ人は母方の曾祖母が先住民族という人が大半だという。そしてブルース好きならば、続いてフィーチャーされるチャーリー・パットンのシークエンスに身を乗り出すはずだ。
チョクトー族でありデルタ・ブルースの祖であるパットンからギターを学んだというハウリン・ウルフも先住民族で、その影響を受けたザ・ローリング・ストーンズやザ・ビートルズを経由し、逆輸入の形でブルースはアメリカに浸透していった。さらに、禁酒法時代に人気を博したジャズシンガー、ミルドレッド・ベイリーも先住民族の血を引いていて(アイダホの保留地出身)、あのフランク・シナトラやトニー・ベネットも「彼女から歌い方を学んだ」と多大な影響を公言している。
フォーク、メタル、そしてヒップホップ……誇り高き現役アーティストたち!
先住民族がロック、ブルース、ジャズに与えた影響が明かされたが、もちろんフォーク・シーンにも先住民たちがいた。1960~70年代に日本でもレコードがリリースされたバフィー・セントメリー、先住民の苦難を想うジョニー・キャッシュがカヴァーしたピーター・ラ・ファージらが注目を浴びるも、彼/彼女たちの歌は、またしてもアメリカ政府(白人)による放送禁止という弾圧の対象となる。
……時を同じくして先住民に憧れるヒッピーたちが現れ、時代は再びロックンロールのエネルギーを求める。奴隷だった曽祖父とチェロキー族の血を引く曾祖母を持つ、ジミ・ヘンドリックスの登場だ。多様なルーツを持ち革命の音を鳴らす彼は、まさしくアメリカの象徴だった。そんな彼の後押しもあって、レッドボーンもルーツを意識しつつポップなサウンドで人気を博す。
そのほか日本人にはINABA/SALASでおなじみ(多分)のギタリスト、スティーヴィー・サラスや、オジー・バンド~モトリー・クルーのドラマーとして知られる故ランディ・カスティージョなどヘヴィーメタル界のネイティブ・アメリカンにもスポットを当て、さらにメタリカのロバート・トゥルージロやブラック・アイド・ピーズのタブーなど、ジャンルを問わず様々なアーティストが先住民としての誇りを語る本作。ブラック・ライブズ・マター運動によって世界中の人々が有色人種への制度的な差別・弾圧について理解を深めているいま、単なる音楽ドキュメンタリーを超えた学びを与えてくれるはずだ。
日本でも若者を中心に“邦ロック”と呼ばれるジャンル(?)が人気を博しているが、演者もリスナーも自身が鳴らしている/聴いているモノの根源を知らなければ、そこにリスペクトがなければ、それは“文化の盗用”と言われても否定できないだろう。あのジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンが日本公演でリンク・レイの曲をカバーし、最近でもWILCOのジェフ・トゥイーディーが彼のカバー曲をSNSで配信するなど、我々が享受しているカルチャーのルーツを知るための入り口は充分すぎるほど開かれているのだから。
『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』は2020年8月7日(金)より渋谷ホワイト シネクイントほか全国順次公開。公開初日にはピーター・バラカン氏、野口久美子氏(アメリカ先住民研究家)によるトークイベントを実施。
『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』
インディアン・ミュージックの素晴らしさや影響を語るために集結したのは、自らも先住民の血を引く元ザ・バンドのロビー・ロバートソンや、ブラック・アイド・ピーズのタブーをはじめ、バディ・ガイ、クインシー・ジョーンズ、トニー・ベネット、スティーヴン・タイラー(エアロスミス)、ジャクソン・ブラウン、ジョージ・クリントン、イギー・ポップ、マーキー・ラモーン(ラモーンズ)、スラッシュ、マーティン・スコセッシ監督ら豪華な面々。そしてジミ・ヘンドリックス、チャーリー・パットン、バフィ・セントマリーといったインディアン・アーティストのほか、ハウリン・ウルフ、ザ・フー、ボブ・ディランらの秘蔵映像もふんだんに使用。アパッチ族のギタリスト、スティーヴィー・サラスがプロデューサーを務め、“失われた歴史”を巡る壮大な旅が描かれる。
制作年:2017
監督:キャサリン・ベインブリッジ
出演:
バディ・ガイ
スティーヴン・ヴァン・ザント
トニー・ベネット
タージ・マハール
マーティン・スコセッシ
クインシー・ジョーンズ
スティーヴン・タイラー
タブー
デレク・トラックス
コリー・ハリス
ガイ・デイヴィス
ジョージ・クリントン
ジャクソン・ブラウン
イギー・ポップ
ウェイン・クレイマー
マーキー・ラモーン
スラッシュ
テイラー・ホーキンス
マット・ソーラム
ロバート・トゥルージロ
チャーリー・セクストン
リアノン・ギデンズ
ロビー・ロバートソン
バフィ・セント=マリー
スティーヴィー・サラス
2020年8月7日(金)より渋谷ホワイト シネクイントほか全国順次公開
http://rumblethemovie-japan.com/
https://www.banger.jp/movie/39984/

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音楽の源であるインディアンたちの音楽ドキュメンタリー。

2020-08-08 | 先住民族関連
madameFIGARO August 6, 2020
『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』は、その副題が示すように、ミュージックシーンにしっかりと爪痕を残してきたインディアン(ネイティブ・アメリカン)のミュージシャンたちを取り上げた映画である。
先住民族のボーカルグループ、ウラリ。©︎Rezolution Pictures
コメントを寄せるために登場した豪華な顔ぶれから、インディアンの音楽がどれほど影響を与えてきたかがわかるだろう。映画監督のマーティン・スコセッシにはじまり、クインシー・ジョーンズやジョージ・クリントン、トニー・ベネット、バディ・ガイ、スティーヴン・タイラー(エアロスミス)やスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)……、ほかにも歴史研究者や詩人など、数多登場する。それだけではない。ジミ・ヘンドリックスの祖母や妹といったミュージシャンの家族が貴重な証言をしたり、レアな映像も次々と流れたりするなど、引き出しをテンポ良く開ける毎に、個性的な音楽家が紹介されていく。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=5&v=k_GuURIHqB8&feature=emb_logo
■自分たちの存在意義を音楽に託したインディアン
アメリカと呼ばれる広大な大陸に入植してきた白人による、アフリカから奴隷として連れてきた黒人に対する扱いの酷さは言うまでもなく、先住民に対する扱いにも酷いものがあった。歴史家/遺伝学者のマリック・ジャーヴィスが説明しているが、「先住民は狩猟民族ゆえ、逃げる方法も反撃する方法も知っている。そこで、先住民は女性を残して男性はアフリカへ送られ、また、アフリカから運ばれた奴隷の9割は男性だったため、南北戦争以前のアフリカ系アメリカ人は先住民の先祖を持つ人が多いのだ」という。明治学院大学の野口久美子准教授の記事によれば、入植当時、200以上の言語を話す、500以上のインディアン部族がいたという。
19世紀を代表する作家ナサニエル・ホーソーンの小説に代表されるように、当時のインディアンは邪悪なものとされていた。先住民が土地の所有権を主張すると射殺されるのは当たり前のことで、19世紀末のアメリカ軍は、女性や子どもを中心とした300人を超すダンサーを殺害し、文化や音楽さえも弾圧しようとしていた。
https://www.youtube.com/watch?v=fHEmDLQKrrk&feature=emb_logo
キンクス、ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)、ピート・タウンゼント(ザ・フー)らに大きな影響を与えたリンク・レイ。
しかし、そのような境遇の中で生き長らえ、引き継がれてきたインディアンたちのメロディやリズム、音楽のアイデアは、肌の色を超えたミュージシャンたちの心を震わせ、音楽の未来を創っていく。音を思い切り歪ませ(ディストーション)、いままで聞いたこともないようなフィードバックされたノイズで圧倒したリンク・レイ(ショーニー族)による楽曲「ランブル」(1958年)を皮切りに、この映画では歴史を遡りながら、その存在意義を託した音楽の魅力を伝えていくのである。
演奏のセンスを絶賛されたギタリスト、ジェシ・エド・デイヴィス。ジャクソン・ブラウンの曲「Doctor My Eyes」でのギターが特に評判を集めた。photo : Getty Images
■アメリカ南部の生活や祭り、昔の貴重な映像も紹介
この映画は、インディアンの血を引くミュージシャン側からの視点で語られるいっぽうで、音楽の影響に加え、インディアンの衣装がヒッピーに好まれたことなど、文化面での影響も取り上げられていて興味深い。
祭りから演奏風景まで印象的なシーンは多く、なかでも1965年のアメリカのTV番組にザ・ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズとミック・ジャガーが出演し、ブルーズを愛する2人がハウリン・ウルフ(チョクトー族)を紹介する場面は衝撃的だ。ウルフは、若い女の子たちがキャーキャー熱狂する場面で登場すると、「いったいあと何年、俺をこんな目にあわせるんだ?」と歌い始めるが、腰を振って歌うからだろうか、若者たちはそれを笑顔で手拍子するのである。なお、ストーンズやビートルズなどイギリスのバンドを通じて、ブルーズがアメリカの白人に知らされたというのは周知の事実とされている。近年白人の若者の間でも人気の高いヒップホップの現状にも、アフリカン・アメリカン等による歌が生まれる背景と白人の理解とのギャップは確実に存在している。
そしてアイヴァン・ネヴィル(チョクトー族/ザ・ネヴィル・ブラザーズ)は、ニュー・オーリーンズの名物料理であるガンボを例にあげ、「いろんな味が混ざっておいしくなる」としながら、自分には先住民とハイチ人とフランス人とイタリア人の血が入っていると説明する。現在まで多様化している人種同様に、音楽も先住民の4つ打ちリズムとアフリカから渡ってきたポリリズムが融合し、それをアメリカの音楽の基本としながら、さらに多彩になっているのである。
■インディアンの血を引く著名ミュージシャンが続々登場
この映画の制作の総指揮を担当したのは、スティーヴィー・サラス(アパッチ族)。私が彼の音楽に夢中になったのは彼がジミヘンの再来といわれていたアルバム『Stevie Salas Colorcode』(1990)の頃だけれど(それ以前はPファンク系やロッド・スチュワートのツアーギタリスト等で活躍)、最近は日本でもB’zの稲葉浩志との共演などで新たなファンを増やしている。
ほかにもロビー・ロバートソン(モーホーク族)、ジェシ・エド・デイヴィス(カイオワ族/ジャクソン・ブラウンやロッド・スチュワート等のギタリストとして活躍)、ランディ・カスティーヨ(イスレタ・プエブロ、アパッチ族/オジー・オズボーンのバンドでドラムス担当)、タブー(ショショーニ族/ブラック・アイド・ピーズ)など、世界的に活躍してきたミュージシャンや注目されてきた楽曲が多数登場する。
過酷な歴史の中でインディアンが引き継いできた音楽や文化を知り、そこからさらなる発展を遂げた音楽の素晴らしさを再認識できる。加えて、出自を大切にするメッセージにより、「生きる意味を再考しよう」と観る側にも問いかけるような貴重なドキュメンタリー映画である。
『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』
●監督/キャサリン・ベインブリッジ 
●共同監督/アルフォンソ・マイオラナ
●出演/リンク・レイ、チャーリー・パトン、ジミ・ヘンドリクス、ロビー・ロバートソン、ジェシ・エド・デイヴィス、タブー(ブラック・アイド・ピーズ)、マーティン・スコセッシほか
●2017年、カナダ映画
●102分
●配給/マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム 
●8/7(金)より渋谷ホワイト シネクイントにて公開、ほか全国順次ロードショー
http://rumblethemovie-japan.com
※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。
伊藤なつみ
音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
Twitter:@natsumiitoh
https://madamefigaro.jp/culture/series/music-sketch/200806-rumble.html

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(私の描くグッとムービー)是恒さくらさん「サーミの血」

2020-08-08 | 先住民族関連
朝日新聞 2020年8月7日 16時30分
 ■先住民族の少女、葛藤と成長
 映画館へ行くと、気になったポスターをチェックしています。これはポスターに写る女の子の、目の力にひかれて見た作品。
 トナカイの放牧をして暮らす北欧の先住民族サーミ人、エレ・マリャの成長物語です。分離政策によってサーミの子どもは寄宿学校へ送られていた1930年代。エレ・マリャはサーミ人だから進学できないことを知り、スウェーデン人のふりをして街で生きようとします。私は10代で故郷を離れてアラスカ大へ進学しましたが、ひどい差別を受けながら、生まれ育った場所を飛び出すことは、比較にならないほど困難だったでしょう。
 遠い土地の話ですが、日本の同世代の女の子にも共感できる場面もある。エレ・マリャが夏祭りに行く途中、引き返して湖で体を洗うんです。周りから差別を受けていた彼女は自分の臭いが気になったんですね。背伸びしておしゃれな場所に行く時、自分のことが他人の視点で見える感覚は思春期の色々な経験にも通じます。
 今は東北大学東北アジア研究センターで人類学の研究に関わりながら、美術家として作品も発表しています。学術的な視点で文化を見ると、物事を俯瞰(ふかん)して捉えてしまいがち。一方でアートは作るのも、見るのも、個人を掘り下げていくことにつながります。この作品が素晴らしいのは、歴史の暗部を扱いながら、生まれた場所を離れて生きた女の子の葛藤や成長に焦点を当てたところ。イラストでもそれをイメージしました。一人一人の物語を伝えることが、文化の深層を伝えることだと改めて思いました。(聞き手・伊藤めぐみ)
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 これつね・さくら 美術家 9月5日~27日、オンラインで開催される山形ビエンナーレに出展。リトルプレス「ありふれたくじら」Vol.6を9月に刊行。
 ■「サーミの血」(2016年)
 監督・脚本=アマンダ・シェーネル△製作=スウェーデン・ノルウェー・デンマーク△出演=レーネセシリア・スパルロクほか
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14579620.html?_requesturl=articles%2FDA3S14579620.html&pn=4

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