先住民族関連ニュース

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幕別・蝦夷文化考古館など アイヌ文化伝承へ展示充実 26年度改築オープン 民具1700点収蔵

2024-03-01 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年2月29日 21:35(2月29日 23:04更新)

「蝦夷文化考古館」や「千住生活館」の建て替え後の完成イメージ図(幕別町提供)

 【幕別】町教委は29日の総合教育会議で、アイヌ民族に関する資料を展示する「蝦夷文化考古館」、隣接する交流スペース「千住生活館」の2棟の建て替え後の詳細を明らかにした。展示スペースを充実させるほか、伝統儀式を執り行う「伝承室」を設ける。ハード面以外にも町営のアイヌ語教室を開催。町はアイヌ文化の保存や伝承の拠点施設に育てたい考えだ。

 いずれも鉄筋コンクリート造一部木造の平屋建てに建て替え、廊下でつなぐ。

 新しい展示館棟は延べ床面積を5.5倍の688平方メートルに拡充し、企画展示室を新設する。町内の白人(チロット)コタンでアイヌの指導者だった吉田菊太郎氏(1896~1965年)が保存していたイナウ(木幣)など民具1700点以上を収蔵する計画だ。

 新しい生活館棟も延べ床面積を3.6倍の715平方メートルに広げる。炉を囲んだチセ(伝統家屋)を再現した「伝承室」を設け、幕別アイヌ協会が伝統儀式「イチャルパ」を行う。調理場や研修室でアイヌ料理教室や刺しゅうの体験教室、講演会も開催する予定だ。

 また、町の学芸員が講師となり、町営の「アイヌ語教室」も行う。町によると、自治体によるアイヌ語教室は全国でも初めてだという。

 2棟とは別に、吉田氏が建てた資料室「宝物堂」は「歴史的価値が高い」として改修して保存する。

・・・・・

☆イチャルパのルは小さい字

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/981540/


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楽器名の由来など解説 6日、小樽史談会が講演会

2024-03-01 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年2月29日 18:48

 北海道や小樽などの歴史文化を研究する市民らでつくる「小樽史談会」は6日午後2時から、シベリアや極東地域で演奏されている伝統楽器の名前の語源を探る講演会を市立小樽美術館(色内1)の研修室で開く。

 元北見工業大教授の下村五三夫氏(言語学)が、アイヌ民族の「トンコリ」や・・・・・

 参加無料。先着20人で5日までに申し込む。申し込み、問い合わせは担当の樋口さん、電話0134・34・1810へ。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/981367/


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「黙っていたらうそも本当に」アイヌ差別実態訴え市民団体が抗議集会 自民党杉田議員の差別的言動を危惧

2024-03-01 | アイヌ民族関連

HTB2024年 2月29日 11:18 掲載

自民党の杉田水脈衆議院議員がアイヌ民族に対する差別的な言

動をした問題で、札幌の市民団体が抗議集会を開きました。
集会では札幌アイヌ協会の多原良子さんがアイヌ差別の実態を訴えるスピーチを行いました。そのなかで杉田議員が2016年にブログでアイヌ民族の衣装などを中傷する投稿をした際にネット上に658件ものヘイトスピーチが書き込まれた例を紹介しました。
札幌アイヌ協会・多原良子さん)
「黙っていたらうそも本当になってしまうし、黙っていたらアイヌ女性は一生おとしめられたまま。私はそういうふうにはなりたくない」。
杉田議員は投稿をめぐり札幌法務局に人権侵犯を認定されています。

https://www.htb.co.jp/news/archives_25016.html


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北海道大学 循環バスにアイヌ語の車内アナウンス導入

2024-03-01 | アイヌ民族関連

NHK02月29日 12時30分

北海道大学でアイヌ文化に触れる機会を増やそうと、キャンパス内を走る循環バスにアイヌ語による車内アナウンスが導入されました。
札幌市北区にある北海道大学では広大なキャンパス内を循環するバスを運行していて、年間、延べ19万人が利用しています。
これまで車内では停留所を知らせるアナウンスを日本語と英語で放送していましたが、アイヌ文化に触れる機会を増やそうと、このたび新たにアイヌ語が追加されました。
このうち、「工学部前」の停留所に近づくと日本語と英語に続いて、「イカラ カンピヌイエ ウシ コッチャケ」とアイヌ語で表現したアナウンスが流れていました。
また、それぞれの座席にはバスのルート図とともに、各停留所の名前のアイヌ語訳がカタカナで紹介されています。
北海道大学アイヌ共生推進本部の岡田真弓さんは、「アイヌにルーツを持つ人たちはもちろん、それ以外の人たちにもアイヌ語に触れてもらうことで、その文化や歴史について理解を深めるきっかけにしてほしい」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20240229/7000065214.html


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北海道八雲町とTOPPAN、アイヌ文化・歴史を学ぶ教育コンテンツを製作

2024-03-01 | アイヌ民族関連

小学生向け教育コンテンツを共同で製作。教材と連動した地域観光ガイドコンテンツと合わせて、アイヌ文化・歴史の理解醸成に貢。

TOPPANホールディングス株式会社2024年2月29日 13時05分

 北海道二海郡八雲町(町長:岩村 克詔)と、TOPPAN ホールディングスのグループ会社である TOPPAN 株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 TOPPAN)は、八雲町が保有するアイヌ文化財や歴史について、クイズやストーリー形式で楽しく学ぶことができる教育コンテンツ「アイヌモシリとふたつのうみ 学習デジタルガイドブック」を共同で製作しました。

 本教育コンテンツは、八雲町の歴史として残っているカパラミㇷ゚(着物)や絵図などを題材にして、アイヌ文化財や歴史について学ぶことができる教育コンテンツです。八雲町の小学校で活用される社会科教科書副読本「わたしたちの町八雲(八雲町教育委員会発行)」に掲載され、八雲町立小学校の児童一人ひとりに配布されているPC端末などを利用し、社会科授業で活用される予定です。

 なお本教育コンテンツは、八雲町が運営する八雲町のアイヌ文化・歴史をまとめたWebサイト「アイヌモシリとふたつのうみ」にも2024年2月29日(木)より掲載されます。

「アイヌモシリとふたつのうみ 学習デジタルガイドブック」

■ 背景

 八雲町は、2005年に日本海側の熊石町と合併し、太平洋と日本海の両方に面する日本で唯一の町となりました。現在では、豊かな自然の中で営まれる農業と漁業を基幹産業として、北海道渡島北部の中心都市として栄えています。江戸時代には蝦夷地と和人地を分ける境目にあたる唯一の場所で、アイヌと和人の交流の歴史や、アイヌの伝説や地名などが残されています。しかし、それらを紹介する媒体が少なく、八雲町のアイヌ文化を子どもたちはもちろん、幅広く周知していく必要がありました。

 そのような中で八雲町とTOPPANは、TOPPANがもつデジタル教材製作の知見や文化財アーカイブのノウハウを活かして、学校向けのアイヌの歴史・文化を伝える教育コンテンツを製作。また、その教育コンテンツと連動した、様々な観光ツールも製作することで、八雲町の住民はもちろん、観光客が八雲町に訪れる契機となるようなコンテンツとすることを目指します。

■ 教育コンテンツ「アイヌモシリとふたつのうみ 学習デジタルガイドブック」概要

① 八雲町の小学生を対象にした、教育コンテンツとして副読本に掲載

 八雲町の社会科教科書副読本「わたしたちの町八雲(八雲町教育委員会発行)」は、小学校配布の端末で閲覧できるコンテンツです。本副読本内に「アイヌモシリとふたつのうみ 学習デジタルガイドブック」へ推移するボタンが設けられます。これにより、八雲町立小学校の社会科の授業で活用されます。

② クイズ形式で楽しく八雲町のアイヌ文化を学べる

 教育コンテンツの内容は、先住民族アイヌの基本的な知識、八雲町のアイヌの歴史紹介に始まり、江戸時代/明治時代の絵図やアイヌの着物/儀式を題材にしたクイズも出題されます。解答欄の解説を通して、八雲町のアイヌ文化/歴史を学ぶことができます。クイズに付随した「もっと詳しく」ボタンを押すと、さらに詳しい解説を見ることができます。

③ 子供から大人まで幅広い層が楽しめる

 八雲町の社会科教科書副読本だけでなく、八雲町が運営するWebサイト「アイヌモシリとふたつのうみ」にも本教育コンテンツの内容が掲載され、八雲町の子ども達だけでなく、幅広い年齢層の人に向けてアイヌの文化/歴史を発信します。Webサイトでは、教育コンテンツ以上に詳しく八雲町のアイヌの文化/歴史/ゆかりの地等を紹介。地域の人たちはもちろん、八雲町を訪れたくなるコンテンツになっています。

・Webサイト「アイヌモシリとふたつのうみ」

https://www.town.yakumo.lg.jp/html-contents/ainuhistory/

■ 今後の目標

 両者は今後も八雲地域の文化・歴史等の発信や、教育やまちづくりの分野でも共創を進めていきます。両者の持つ知見や技術を融合させ、住民の暮らしやすさの向上に貢献していきます。

* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。

* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001349.000033034.html


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カンボジア:先住民族の権利を侵害するカーボンオフセット・プロジェクト

2024-03-01 | 先住民族関連

先住民族にとって不十分な協議、強制立ち退き、生計手段の損失

ヒューマンライトウオッチ2024年 02月 28日 7:00PM EST

Community members harvest rice in one of the villages included in the Southern Cardamom REDD+ Project in Koh Kong province, Cambodia, June 25, 2022. © 2022 Human Rights Watch

  • カンボジアの大規模なカーボンオフセット・プロジェクトは、コミュニティの実質的な参加と同意が確保されない場合、こうした取り組みが先住民族に負の影響をもたらしうることを示している。
  • グローバルな環境危機の対策をうたっていても、先住民族を排除し、苦痛を与える保護戦略は容認できるものではなく、逆効果をもたらす。
  • このプロジェクトがカーボンクレジットを発行できるようにした基準設定機関であるVerraは、被害を受けた人びとへの補償を確実に実施すべきである。カンボジア政府は先住民族チョン族のテリトリーに権利を認め、彼らの権利を守るべきだ。

(バンコク)カンボジアの大規模なカーボンオフセット・プロジェクトは、コミュニティの実質的な参加と同意が確保されない場合、こうした取り組みが先住民族に負の影響をもたらしうることを示していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で述べた。

報告書『カーボンオフセットの犠牲者:カンボジア南部「カルダモンREDD+プロジェクト」が先住民族チョン族にもたらす人権侵害』(118ページ)は、カンボジア環境省と自然保護団体Wildlife Allianceが実施するプロジェクトへの懸念を示したものだ。このプロジェクトはカルダモン山脈(クラバン山脈)の50万ヘクタールに及ぶ。この熱帯雨林地域では、先住民族のチョン族が何世紀にもわたり暮らしてきた。プロジェクトは2年以上もチョン族の意向を聞かないままに実施されていた。チョン族は自分たちが暮らしてきた伝統的なテリトリー内で立ち退きを強いられるとともに、農耕を行ったり、家畜に草を食べさせたりしたことを理由に起訴されている。

「グローバルな環境危機の対策をうたっていても、先住民族を排除し、苦痛を与える保護戦略は容認できるものではなく、逆効果をもたらす」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのシニア環境リサーチャーのルシアナ・テレス・チャベスは述べる。「この『南部カルダモンREDD+プロジェクト』には見直しが求められる。重要な決定へのチョン族の実質的な関与、先住民族共有地への権利の認定、そしてテリトリーに貯蔵された炭素をチョン族の所有と認める利益配分協定をチョン族と締結することが必要だ」。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2年にわたり、プロジェクトが対象とする29ヵ村のうち23ヵ村に住む90人以上と政府当局者3人にインタビューを実施した。このほか衛星画像、地形図、マスコミ報道、ソーシャルメディアの分析も行った。2022年9月以降、ヒューマン・ライツ・ウォッチは環境省、Wildlife Allianceのほか、プロジェクトに関わる主要な民間アクターと面会し、やりとりを重ねた。

この「REDD+プロジェクト」がチョン族との協議を始めたのは、開始から31ヵ月後の2017年8月だった。この間、環境省とWildlife Allianceは、先住民族チョン族の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC: free, prior, and informed consent)なしで対象地域の管理に関する核心的な決定を行っていた。両者はチョン族の8ヵ村を国立公園に編入し、慣習地と森林に対するチョン族の権利を侵害した。

チョン族のコミュニティメンバーは、熱帯雨林保護という目標は共有するが、REDD+プロジェクトには自分たちをパートナーとして扱ってほしいのであり、Wildlife Allianceとは関係なく、自分たちが主導する保護活動を行いたいと述べている。

「彼ら(Wildlife Alliance)は私たち先住民のアイデンティティにまったく関心がない」と、Chumnoab町(コミューン)のチョン族のある住民は述べた。「許可を求めてきたことは一度だってない。向こうからすれば、政府とはすでに協定を結んである、ということなんだろう」。

影響を受けるコミュニティへの相談なしになされたプロジェクト関連の決定によって、チョン族はいまも被害を受けていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。チョン族の男性2人は、2018年と2021年に環境省のレンジャー、憲兵、Wildlife Allianceのスタッフからなるパトロール隊によって、保護区内での(持続可能な活動である)樹脂採取を理由に身柄を拘束され、虐待されたと話す。

「彼らはキャンプに押し入ると、銃座で背中を殴りつけた」とO'Som町(コミューン)の男性は述べた。「彼らは私が持っていたものをことごとく壊した。背中の衣服すら剥がされた」。チョン族の6世帯は、レンジャーと憲兵、Wildlife Allianceスタッフによって、慣習的に耕作してきた土地から無理矢理に立ち退かされたと述べた。公文書によると、当局者は立ち退きをさせた後、コミュニティメンバー3人を逮捕し、裁判なしで数ヵ月勾留した。「私たちは事件が起きてからも助けを求めたり、苦情を申し立てたりはしていない」と、Pralay村に住む男性は言う。「我々はただの村人だ。そんなことはできない」。

世界の自主的な炭素市場でプロジェクトの約半数を認証するVerraは、2018年にREDD+プロジェクトを認証した。多国籍企業はカーボンクレジットを購入し、自社の炭素排出量と相殺している。いわゆるカーボンオフセット取引だ。2023年6月、ヒューマン・ライツ・ウォッチから調査結果を示す書簡を受け取った後、Verraはこのプロジェクトへのクレジットの発行を停止し、レビューを行うと述べた。Verraは、レビュー中であるとしてヒューマン・ライツ・ウォッチの調査結果について追加のコメントは出さないと回答している。

チョン族住民が提起した問題のいくつかは、2018年から2023年にかけてVerraにアセスメントを提出した監査法人に何度も伝えられていた。2018年に提出された最初の監査報告書によれば、プロジェクト開始日は2015年1月1日だが、コミュニティとの最初の協議がようやく始まったのは2017年8月のことだった。

2021年に提出された監査報告書には次のような記述がある。「複数のコミュニティがREDD+プロジェクトのことをまったく知らない人が多いと回答した」だけでなく、「こうした人びとの多くが、REDD+がどういったものであり、何をするのか、またREDD+の利益や基金のコミュニティへの配分割合がどうなっているのか、(そして)REDD+と自分たちの農地との境界がどうなっているのかをわかっていない」。

環境省の報道官はヒューマン・ライツ・ウォッチに「カーボンクレジットの販売は、天然資源の保護と保全に携わるコミュニティに利益をもたらしている」と書面で回答した。Wildlife Allianceは書面で、住民とは幅広い協議を行っており、自分たちの活動は合法的な環境施行であって、プロジェクトは地域コミュニティに利益をもたらしていると主張した。また、プロジェクトは井戸やトイレ、ラテライト道路1本、学校2校、保健所1ヵ所を建設し、若者5人に大学進学の奨学金を与え、小規模土地所有者に農業訓練を提供し、地元住民に利益をもたらすエコツーリズム・イニシアチブを2ヵ所で運営しているとも記した。

しかし、REDD+プロジェクトは、プロジェクト対象地域内のコミュニティのどれ一つとも利益配分協定を結んでいない。利益配分協定は法的強制力のある契約で、プロジェクトの収益についてコミュニティへの支払率を定めるものだ。Wildlife Allianceのウェブサイトによると、プロジェクトの収支の配分(Wildlife Alliance、環境省、及びココン州政府)は既存の合意で定められている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査結果には同意しないとしながらも、Wildlife Allianceは2023年11月に次のことを約束した。「先住民コミュニティの土地権利付与」への「技術と財政面での支援の提供」、「先住民の『コミュニティ・パトロール』チームの設置、訓練、支援」、「カンボジア政府レンジャー隊とWildlife Allianceのスタッフ全員への正式な人権トレーニングの実施」、「正式な『人権方針』」の策定である。

こうした公約が仮に実行されれば、よい影響が生じるだろう。しかし、Wildlife Allianceの対応は、これまでのところ、プロジェクトが引き起こした人権侵害の認知と救済には至っていない。Wildlife Allianceは、被害を受けたコミュニティと協議した上で包括的な救済計画を策定し、強制立ち退きや恣意的拘束、不当な投獄によって被害を受けた全員への補償を実施すべきだ。またWildlife Allianceは、人権侵害行為に関与したプロジェクト・スタッフ全員の責任を追及すべきである。

Verraはプロジェクト再認証の条件として、プロジェクトの被害を受けた個人やコミュニティへの包括的な(金銭を含む)補償と、チョン族側がREDD+プロジェクトの既存の設計や境界、活動内容、プロジェクト実施者を再検討できる新たな協議プロセスの開始、および利益配分協定の締結を求めるべきだ。カンボジア政府は、先住民族チョン族の伝統的なテリトリーに権利を与えるとともに、先住民族はみずからの土地に貯蔵された炭素の所有者であることを認めるべきである。

「Verraは警告を何度も無視し、何年も手をこまねいてきた。彼らの監督とアカウンタビリティのメカニズムは果たして機能しているのだろうか」と、前出のテレス・チャベス・シニアリサーチャーは指摘する。「一連の調査結果を踏まえれば、Verraが認証した世界中のカーボンオフセット・プロジェクトで、森林に大きく依存するコミュニティが被害を受けているのではないかと懸念せざるをえない」。

What are Carbon Credits and How Do They Work?

https://www.youtube.com/watch?v=n30rj0--SgU&t=5s

https://www.hrw.org/ja/news/2024/02/28/cambodia-carbon-offsetting-project-violates-indigenous-groups-rights


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台湾先住民アミ族の特産品ラッキョウ 関係機関の協力で生産量拡大へ

2024-03-01 | 先住民族関連

中央フォーカス台湾2024/02/29 11:04

台湾先住民族アミ族の集落で生産されるラッキョウ

東部・花蓮県寿富郷にある台湾先住民(原住民)族アミ族の集落では、台湾では希少なラッキョウが生産されている。農業部(農業処)花蓮区農業改良場は県内の主要な産地の月眉村で、集落の人々と共にラッキョウの生産量拡大に取り組んでいる。

産地の一つ、上月眉集落の頭目によると、ラッキョウの栽培には酸性で水はけが良い土壌が必要。高齢者の間では、ラッキョウには殺菌効果があり、免疫力増加の助けになると言い伝えられている。旬は1月から3月にかけてで、集落から出て行った人々も帰省の際には必ず食べる「ふるさとの味」になっているという。

農業改良場の楊大吉場長は、ラッキョウは同郷の先住民集落の重要で特色ある農作物だとした上で、近年、天気の影響でラッキョウの管理に問題が起きており、生産が需要に追い付いていないとの声が住民から寄せられたと話した。その上で、同場は農業技術の研究開発に協力したり、健康な球根を選別して集落に提供して栽培を支援したりした他、農会(農協)とも手を組んで種を保存するための畑を作ったと説明した。

また、地域や小学校とも連携してラッキョウに関する「食農教育」を進め、集落の伝統的な農作物や食文化を次の世代に伝承していきたいとした。

(李先鳳/編集:田中宏樹)

https://japan.focustaiwan.tw/photos/202402295001


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システムチェンジを目指して――COP28とこれから

2024-03-01 | 先住民族関連

東京大学2024年2月29日

2023年11月30日から12月13日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイにてCOP28(第28回国連気候変動枠組条約締約国会議)が開催されました。COP28の成果と今後の課題について、グローバル・コモンズ・センター・ダイレクターの石井菜穂子教授に聞きました。

気候変動とネイチャー・ポジティブに関するラウンドテーブル(左から4人目が石井理事)2023年12月11日 ©Global Commons Alliance

気候変動と自然システム

―― COP28の主眼である「カーボン・ニュートラル」について、進展はあったのでしょうか?

経済の脱炭素化を目指す「カーボン・ニュートラル」に関して最も注目されたのは、「化石燃料からのトランジット」が合意されたことです。石炭以外の化石燃料について初めて言及されたことを評価し、COP28主催国のアラブ首長国連邦(UAE)は、これを歴史的(historic)な合意であったと自賛しています。しかし、これは使う人によって全く違う意味を持つ外交的に工夫された文言で、“玉虫色”の合意と言えるでしょう。具体的な目標が提示されていないこの合意は、産油国をはじめとして、石炭・石油、天然ガスを使ってこれから発展していきたいと思っている国々、化石燃料の削減にあまり積極的でない国々にとっては、都合の良いものでした。一方で、小島嶼国や気候変動の影響に脆弱な途上国にとって、この結論は壊滅的(devastating)でした。

科学者たちは、「どのようにトランジットしていくのか」という明確な目標設定が示されなかったこの合意を悲劇と受け止め、警鐘を鳴らしています。2050年に温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「ネットゼロ」を実現するために、今後数年間が正念場と言われています。これを意味のある合意としていくために、それぞれの国、地域、産業が、自分たちはどう転換(transition)すべきかについて、科学的に根拠のある具体的な道筋を描き、それに必要な政策を打ち出し、国際的にも協調していくことが求められます。

――COP28では、どのような成果があったのでしょうか?

自然や生物多様性の損失を食い止め回復基調に乗せることを意味する「ネイチャー・ポジティブ」に関して、気候変動と自然システムの相互作用について共通の理解が促進されたことが大きな成果と言えるでしょう。今回のCOPでは、これまでエネルギー問題と比べると周縁的であった水、健康、都市、貿易など、あらゆる分野に焦点があたりました。

COP28初日に、食料が生産され消費されるまでを包摂する食料システムの転換を図るフードシステムトランスフォーメーションについての宣言が出され、会期中に200ヵ国以上の国、大企業や小農代表が署名して賛同しました。他にも、自然の保護および環境の復元にむけた合意が複数ありました。

地球上には、気候の他にも重要なシステムがあり、なかでも自然システムは大きな割合を占めています。地球の安定性を守るために必要なカーボン削減量の3分の1は、「ネイチャー・ポジティブ」を達成することで実現できると言われています。つまり、気候変動への対策を講じるために、「ネイチャー・ポジティブ」は欠かせません。今回のCOPで、エネルギー転換だけではなく、「ネイチャー・ポジティブ」を実現してはじめて人々が平和に暮らせる地球を守れる、という知見が浸透してきたことが顕著に示されたと思います。

 南北問題の解決にむけて

―― “玉虫色”の合意の背景にある格差を埋めるためには、何が重要でしょうか?

気候変動と自然崩壊の問題の背景には、根深い南北問題があります。これまで、北の国々は、南の国々から自然資源を際限なく搾取し、それを大量消費する経済システムのもとに発展してきました。サステナブルに生産されたものであるからといって、必ずしも高い対価は支払われてきませんでした。結果、乱獲や伐採が進み、自然は崩壊する一方でした。

格差の問題を根本的に解決するためには、基本的な値付けのシステム、ひいてはファイナンスの仕組み自体を見直す必要があります。COP28では、南の国々が発展していくために北の国々からどのように資金を流すかについて、議論や提言がなされました。東京大学グローバル・コモンズ・センター(CGC)は、ネイチャー・ファイナンスのペーパーを共同執筆し、自然資本を持続可能に使っていくために資金を動員する金融の在り方を提案しました。国際開発金融機関(MDBs)を改革して国際金融の流れの中心にしていくと共に、貿易の仕組み全体を変えていくために大きな工夫が求められます。乱開発により安く多く生産されたものが取引されてきたこれまでの貿易を見直し、サステナブルな生産と消費のための貿易に転換することが必要です。

国を超えた複数の関係者が連帯する「マルチステークホルダー・コアリション」(複数の利害関係者による提携)も引き続き重要な役割を担っていくでしょう。私が以前から注目しているのは、産業界の脱炭素化を目指す「ファースト・ムーバーズ・コアリション」(略称FMC)です。企業活動において価値が創造される過程に着目し、よりグリーンな製品を購買することのできる層を生み出すための整備は既に始まっており、「ファースト・ムーバーズ・コアリション」はそれなりの成果を収めています。

こういった取り組みを、温室効果ガス排出量の30%以上を占めている食料システムにおいても促すため、世界経済フォーラムは12月1日、新たなコアリション(First movers coalition for food system)を発足させました。ネスレ、ペプシ、カーギル、ダノンなどの大企業が参画しています。各国政府・企業に働きかけるため、CGCもコアリションのデザインパートナーを務めます。他にも、COP28開催期間中に数多くのコアリションが作られ、参加者が知見を寄せ集めて勉強し、次に繋げていく姿勢が見られました。

このように、随所に“小さな勝利”が生まれてきています。しかし根本的な格差を埋めるためには、国や政府をも巻き込んだ大きなシステムチェンジが必要です。“小さな勝利”が、産業革命以降に構築され200年ほどの歴史を持つファイナンスや貿易を根本的に変えるところまで力を持てるのかについては、まだまだ楽観視できる状況ではありません。2050年に人類が直面する状況は、既存のシステムをどのように転換できるのかによって、大きく左右されると思います。

包括的な連帯と協力

―― システムチェンジのために、これから期待されることはありますか?

民族コミュニティの参画が期待されます。COP28は、女性の参加者が多くジェンダーバランスのとれた会議であったことはもちろん、民族衣装で参加する先住民族の人々で会場がとても華やかでした。日本にいると、先住民族コミュニティが遠い存在に感じるかもしれませんが、今後ますますマイノリティを意識した包括的な取り組みが重要になるでしょう。世界有数の重要な森林資源であり、先住民族も暮らすアマゾンを抱えるブラジルが主催国となる2025年のCOP30への期待も高まっています。

日本としても、欧米の方ばかりに目線を向けるのではなく、これまで以上にアジア諸国とも協力していくことで、南北問題の解決やシステムチェンジに貢献できると考えています。2050年ネットゼロの目標は同じでも、国や地域によっておかれている状況が異なれば、脱炭素にいたるまでの道筋も変わってきます。欧米型の分類や体系に基づいた解決策が世界中の地域に適しているとは限りません。

例えば、CGCが事務局を務める産学連携プラットフォームETI-CGC(Energy Transition Initiative - Center for Global Commons)は、アジアの声も聴きつつ、ネットゼロに向けた道筋を描こうとしています。

日本にとって適切な道筋と、東南アジア諸国が想起する道筋には、多くの共通点が見いだせます。かといって、対中国、対インド、対アメリカといったような地政学的な理由でアジア諸国と連帯し、単純に“ブロック”を複数作ることにはあまり意味がありません。科学的根拠に基づいて、互いに知見や経験を共有しながらアジア諸国と協働し、それを世界のルール形成に繋げることが鍵になると考えています。

石井菜穂子
グローバル・コモンズ・センター ダイレクター
未来ビジョン研究センター教授
東京大学理事
東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学博士。財務省、国際通貨基金、ハーバード大学国際開発研究所、世界銀行などを経て、2012年より地球環境ファシリティCEOを務め、2020年8月より現職。Johan Rockström、Mattias KlumによるBig World Small Planet: Abundance within Planetary Boundaries (Yale University Press, 2015) の邦訳『小さな地球の大きな世界』(丸善出版、2018)を共同監修。
取材日:2023年12月20日

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0405_00027.html


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「包括的反差別法制定のための実践ガイド」日本語版

2024-03-01 | 先住民族関連

IMADR2024.02.29

すべての国そして社会における平等と無差別の普遍的な実現には包括的な反差別法が必要であるという信念のもと、国連は『包括的反差別法制定のための実践ガイド』を作成しました。すべての人に向けて作られたこの実践ガイドの日本語版を、IMADRは国連の許諾をえて作成をしました。

実践ガイドは、表紙の画像をクリックすると閲覧・ダウンロードが可能です

実践ガイド表紙(画像のクリックで、閲覧・ダウンロードが可能です)

(以下のURLから)

https://imadr.net/guide_antidiscrimination_japanese/


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芸術と科学よ、ヒューマニティが必要だ。NY気候美術館「化石燃料の終焉」展

2024-03-01 | 先住民族関連

アイデアスフォーグッド2 29, 2024 by Kei Okamoto

ニューヨークのNPO団体の人権弁護士として、ミランダ・マッシーは20年を訴訟活動に費やした。そして特定のコミュニティが受ける環境汚染の被害と、原因を加速させている人間の問題意識の低さを目の当たりにした。

2012年のハリケーン・サンディーによる未曽有の自然災害をきっかけに、マッシーは弁護士のキャリアを捨てた。アメリカ初の、環境の美術館を始めることを決意したからだ。

感情こそが問題を解決へ導くと確信し、2014年にNPO法人として「The Climate Museum(気候美術館)」を設立する。恒久的な場所はまだないが、各地で8つの展示、300以上のイベントや教育プログラムを実施し、10万人以上を動員してきた。

その最新展「The End of Fossil Fuel(化石燃料の終焉)」が、ニューヨークのソーホーで2024年4月28日まで開催されている。高級ブランド街の一角で異彩を放ち、会期が延長になるほど話題だ。

化石燃料産業は、住民の政治参加が積極的ではないエリアなど、被害者が出てもリスクが低いと判断した地域を拠点とし、利益を得てきた。そういった犠牲地帯には黒人など有色人種が多く、公害により、住人はがんや呼吸器などの病気で死んでいく。がんのリスクが他の地域に比べて、50倍も高い地域もあるという(※1)。政治と企業の利権は根強く、マッシーはこれを「植民地主義の究極の表現」であると話す。

本展はそのような社会的な不平等から生じる犠牲地帯と、改善を求める動きである環境正義を主要テーマとした展示である。

Photo: Sari Goodfriend

ギャラリー入り口には、「Two Worlds(二つの世界)」というタイトルの世界地図がある。

右側から見た地図と左側から見た地図ではその見え方が変わり、両側から見ると、炭素排出量が多い国(産業革命以降の総排出量)と、気候危機による被害が大きい国(対応能力も含む)が一致しない矛盾に気がつく。アメリカは排出最大国だが、実害は少ない。日本も例外ではない。同美術館の理事であり、NASAゴダード宇宙科学研究所のローゼンツヴァイク博士は、気候危機問題の70%は化石燃料であると指摘する(※2)。

その後も、国と地域、集団と個人、科学とアートの視点をシフトさせながら、各地の犠牲地帯の現状を突きつける。例えば1930年代のマンハッタンにおいては、行政は地区の人種構成に基づき環境投資額を決定していた。見捨てられた地区の歴史は、現在の住人の健康にも影を落としている。

展示の中心には、絵本「ハーレムの闘う本屋」などで知られるアーティストのR.グレゴリー・クリスティによる壁画「Making Tomorrow(明日をつくる)」がある。壁画は社会の共通の目標を表現する手法だ。モノクロの化石燃料の世界から、自然と一体化した巨人が大きな手で種を蒔く世界へ変容するビジョンは、気候危機はヒューマニティの問題であることを示唆する。

クリスティはマザー・ジョーンズ誌で、“「アートはもはや生きていない人々の代弁者であり、表現者である」”と語った。そして、これから生まれてくる人間を想い、絵本を描くという。この世界を引き受ける人間へ、どのようなメッセージを残せるのか。クリスティにとってアートはそのような美しく神聖な手段であり、エリートやオークションの世界から、人間に取り戻したいと願っている。

ギャラリー内では、化石燃料の歴史、偽の解決策、環境・気候正義など、最新の情報に触れることができる。来場者は、改善策のマニフェストを作るワークショップに参加したり、ステッカーを壁に貼ったり、政治家にはがきを送ることもできる。国内外の誰に送ってもよく、美術館が送料を負担し発送する。

注目すべきは、展示内で紹介されているさまざまな成功例だ。

ニューヨーク州の環境団体連合NY Renewsは行政へ働きかけ、2050年までにニューヨークを化石燃料から完全に脱却させ、州の気候関連予算の40%を環境正義に割り当てる法案を可決させた(※3)。また、先住民の連合NDN Collectiveにより、西洋科学だけでは補えない視点を環境に生かすため、先住民が何千年をかけ土地と触れ合い獲得したTraditional Ecological Knowledge(伝統の生態学的知識)の活用も進められている。この連合は政府からの一部土地の譲渡にも成功し、昔は不可能と思われたことも、今は実現できることを示している。

70年代まではソーホーはアートが生まれる街であった。そしてジェントリフィケーションが起こり、今は物買いの街だ。クリスティがアートに望むことは環境問題と似ている。そして自国の負の歴史や困難な問題に向き合うことは、誰にとっても心理的に過酷である。しかし壁画の横に掲示された小説家ジェイムズ・ボールドウィンの言葉が来場者に語りかける。

「If you don’t look at it, you can’t change it. You’ve got to look at it. (直視しなければ変化は起こせない。直視するんだ。)」

優しい巨人がいる世界をイメージしながら。

※1 First slavery, then a chemical plant and cancer deaths: one town’s brutal history
※2 Climate Museum Pops Up in SoHo, Capital of Buying Stuff
※3 Climate Leadership and Community Protection Act (2019)
【参照サイト】The Climate Museum公式サイト
【参照サイト】This new Climate Museum pop-up in NYC aims to replace climate despair with action
【参照サイト】Picturing the End of Fossil Fuels: Inside the First Climate Museum
【関連記事】小さな瞳が捉える気候危機の最前線。先住民族の子どもたちにカメラを渡してみたら?
【関連記事】気候変動を食い止めるカギは女性?ジェンダーと環境問題の深すぎる関係

Edited by Erika Tomiyama

https://ideasforgood.jp/2024/02/29/the-climate-museum/


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インド、離島開発計画に暗雲 環境への影響で反発も

2024-03-01 | 先住民族関連

日本経済新聞2024年2月29日 14:25 (2024年2月29日 15:04更新) [会員限定記事]

インドの大規模な離島開発プロジェクトの先行きが不透明だ。政府は離島を海運や観光の拠点とし、経済成長やインド洋で存在感が増す中国への対抗手段としたい考えだが、自然環境や先住民族への影響を懸念し一部活動家が反発を強めている。

スリランカの東約1300kmに浮かぶアンダマン・ニコバル諸島は東南アジア諸国にも近い。島の一部では90億ドル(約1兆3500億円)規模のプロジェクトが計画されている。国際空港や...

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB290XK0Z20C24A2000000/


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先住民、脱植民地化、権力と規範、クィア、エンパワーメントなど、世界の「いま」を舞台芸術の実践から読み解く。

2024-03-01 | 先住民族関連

セゾン・アーティスト・イン・レジデンスのトークイベントのアーカイブ動画をYouTubeで配信。

公益財団法人セゾン文化財団2024年2月29日 17時00分

セゾン文化財団では、2023年度に3名のアーティストとドラマトゥルクを招へいし、トークイベントを開催。先住民、脱植民地化、権力と規範、クィア、エンパワーメントなど、世界の「いま」を読み解くトピックから、海外で実践を行うアーティストやドラマトゥルクの考えや活動を紹介しました。

  • 「コンテンポラリーダンスを脱植民地化する」ナヨカ・ブンダ・ヒース(オーストラリア)
  • 「空想上の生き物辞典」キム・キド(フランス/韓国)
  • 「ダンスの/ための未来:新しいクィアでエンパワーメントなアプローチ」ルーシー・オートマン(ドイツ)

セゾン文化財団 YouTubeチャンネル

URL: https://www.youtube.com/@thesaisonfoundation894

「コンテンポラリーダンスを脱植民地化する」ナヨカ・ブンダ・ヒース(オーストラリア)

オーストラリアの先住民、Wakka Wakka、Ngugi(クイーンズランド)とBirrpai(ニュー・サウス・ウェールズ)のルーツを持つダンス・アーティスト、ナヨカ・ブンダ・ヒースによるトークイベント。

ナヨカ・ブンダ・ヒースはアボリジナル・センター・オブ・ザ・パフォーミング・アーツでディプロマを取得後、ビクトリア芸術大学でダンスを学びました。卒業後、オーストラリアを代表するダンスカンパニー、バンガラ・ダンス・シアターの研修生として青少年教育プログラムの指導に関わり、現在、先住民のダンスカンパニー、チャンキー・ムーブのコーディネーターを務めています。

自身の振付作品としては、2019年、オーストラリアでの政府当局によるアボリジニの若者の強制移住に関する家族の歴史を語るレクチャー・パフォーマンス、『Blood Quantum(血の含有率)』を発表。自身の母方の祖父母の幼少期の出来事を出発点に、3世代にわたる「盗まれた世代」のトラウマとその制度の影響を描く作品として注目を集めました。また、『Blood Quantum』に次ぐ、『Birrpai』(2021年)では植民地時代にアマチュアの写真家、トーマス・ディック(1877-1927)が捉えたBirrpaiの写真をもとに父方の先祖の歴史を取り上げ、メルボルンのグリーンルーム・アワードで、ダンス・ベスト・デュオ/アンサンブル賞を受賞しています。

本トークでは、ナヨカ・ブンダ・ヒースが代表作『Blood Quantum』、『Birrpai』、『Bridge』を事例に、「脱植民地化」をもとにした創作のアイデアやアプローチを明らかにします。ゲストにアーティストのマユンキキを迎え、ディスカッションを行いました。

映像URL:https://youtu.be/qXXlD-yfOio

イベント概要

・タイトル:「コンテンポラリーダンスを脱植民地化する」

・日時:2023年8月17日(木)19:00-20:30

・会場:森下スタジオ(江東区森下3-5-6)

・登壇者:ナヨカ・ブンダ・ヒース、マユンキキ

・通訳:田村かのこ

・主催:公益財団法人セゾン文化財団

 ・助成:令和5年度文化庁「アーティスト・イン・レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業」

「空想上の生き物辞典」キム・キド(フランス/韓国)

韓国出身で、現在、パリとブリュッセルを拠点とする振付家、パフォーマーのキム・キドによるトーク・イベント。

キム・キドはグラフィックデザインとパントマイムを学んだ後、アンジェ国立現代舞踊センター(CNDC)を経て、モンペリエ国立振付センター(ICI-CCN)でChristian Rizzoの指導のもとMaster Exerceで研究を行いました。これまでに「空想上の生き物辞典」という考えから、2021年に第1章『FUNKENSTEIN』 、2023年に第2章『CUTTING MUSHROOMS』を発表。「空想上の生き物辞典」は社会の規範に疑問を投げかけ、集合的無意識の支配的な観念を解体することで、そこに現れる怪物性を探求するプロジェクトです。個人的、社会的、政治的な経験から、具象と抽象の間をさまよう有機的で曖昧なパフォーマティブな形式を掘り起こす方法論を発展させることに取り組んでいます。

日本での滞在では、第3章『HIGH GEAR』の創作のために日本のマンガ文化のフィールドリサーチを実施。権力、規範、支配との関係を想起させるマンガからイメージを探し、その振付における言語とは何か、模索しました。

本トークでは、キム・キドがこれまでに発表した作品のもととなる「空想上の生き物辞典」のアイデアや実践を紹介するとともに、新作『HIGH GEAR』の構想とそのための滞在中のリサーチを共有。同時滞在アーティストとして、キム・キドのフィールド・リサーチを伴走する振付家でダンサーの藤田一樹とともに登壇しました。

映像URL:https://youtu.be/uKzUf-Ja8NI

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000126473.html


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釧路駅前なつかし館・蔵 支えたい ボランティアグループ発足

2024-03-01 | アイヌ民族関連

釧路新聞2024.02.29

 古い物の価値や大切さを後世に―との思いで収集した貴重なコレクションを展示している資料館「釧路駅前なつかし館・蔵」(釧路市北大通14、中野吉次社長)を応援するボランティアグループが発足した。(石川直樹)

 中野さんが手掛けている「なつかし館」は、釧路駅前や北大通、材木町など数カ所あり、どこも古い雑誌や写真、映画ポスター、生活雑貨から古道具、骨董(こっとう)品などがびっしりと並ぶ。 中でも「釧路駅前なつかし館」は、収集品の集大成として2020年1月にオープン。1階はアイヌ文化関連の資料を展示、2階は「昭和ロマン」として展示レイアウトが整備され、市民をはじめ多くの旅行客が見学に訪れている。

 新型コロナウイルスの5類移行などを受け、同館は毎週日曜日の午後1時から同5時まで資料館の営業を再開。ボランティアグループは、80歳になろうとする高齢の中野さんが、ますます同館の運営に注力しようとする姿に、「中野さんを少しでも支えたい」との思いを共有する市民が結束しこのほど発足した。

 グループ会員は現在10人。リーダーの川上裕子さんは「私たちの役目は、毎週日曜日に一人で資料館を運営する中野さんの手足となって応援すること」とし「私たちがしゃしゃり出ずあくまでも中野さんの意向や、やりたいことをサポートする役回り。もうすぐ春になり市民の活動も活発化する。みんなでその活動を支えていきたい」と語る。 中野さんは「皆さんの考えを聞いて心強く思う。アイデアも広がりそうでワクワクするね」とさらなる意欲を示している。

 ボランティアグループの問い合わせは竹内さん090(8709)3451へ。

中野さん(右)とボランティアグループのメンバー

https://hokkaido-nl.jp/article/32999


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