オーディオの華といえば「姿かたち」といい、その機能からいって「スピーカーに尽きる」ことに誰も異論はあるまい。野球でいえばエースであり4番バッターである。
ここがしっかりしていないと組織的にガタガタになる(笑)。
たとえば「しょぼいアンプに豪華なスピーカー」 VS 「豪華なアンプにしょぼいスピーカー」のいったいどちらが絵になるのか、もう言わずもがなだろう。
これまで、SPユニットに対してああでもない、こうでもないと長いこと彷徨ってきたが、事(こと)ここに至ってようやく二つに収斂してきた。
一つは「昔のJBLサウンド」であり、もう一つは「古き良きブリティッシュサウンド」だ。両極端のようだが、実は音質に似通ったところがあると思うのは自分だけだろうか。
さて、ずっと愛でてきた口径30センチのユニットのうち「D123」(JBL)、「AXIOM150マークⅡ」(グッドマン)、そして「フィリップス」の花の3姉妹のうち、ご承知のようにフィリップスを嫁に出したので何だかポッカリと心に隙間ができてしまった。
その空白を埋めるかのようにオークションで目に入ったのが「ワーフェデール」(イギリス)のユニット(口径30センチ)だった。
「ブリティッシュサウンド」ファンにとって「ワーフェデール」と聞いただけで胸がときめく。
先年亡くなられた音楽評論家の「宇野功芳」氏が3ウェイシステムのうちウーファーにワーフェデールを、中音域にAXIOM80を使っておられたことを思い出す。
そのブリティッシュサウンドの代表格ともいえるワーフェデールだが、出品タイトルには「水彩画のような気品あるイングランド・トーン 英Wharfedale12インチ~希少なアルニコ赤バンのフルレンジタイプ~」とあった。
解説文にはこうある。ちょっと長いが引用させてもらおう。
イギリス Wharfedale社の12インチ ( 30cm )、フルレンジ (ウーハ-)、Super12系のユニット。前期の赤帯のアルニコ・マグネットを背負った希少なユニットです。pair での出品になります。
ただ、もともとの作りがフルレンジであるだけに、このサイズとしては、高域も比較的よく伸びています。(アメリカ系によく見受けられるワイドレンジ・ウーハ-といった感じです。)したがいまして、クロスもかなり広範囲で選ぶことができますので、2way構成も可能だと思います。
また、ツイーターについても、Super 3やSuper 5が一般的でしょうが、その他、広い範囲から選ぶことができると思います。(フルレンジに近い作りですので、一般的なフルレンジ+ツイーターといった使い方もできます。)
音質的には、水彩画的といいいますか、ウェットでありながらさらっとした音質が魅力的だといえます。自らをあまり主張し過ぎない、当時の、気品あるイングランド・トーンといえるかもしれません。
後期のフェライト・マグネットのユニット(Super12系)と比較すると、切れ味では及びませんが、アルニコ特有の中域の充実とともに、音の柔らかさ、しなやかさでは優れているように感じました。(ツイーターをSuper 3にすると、こちらは強い音質のツイーターですので、また印象が変わるかもしれませんが。)
以上のとおりだが、これだけ熱の入った解説文を記載されるほどだから出品者は相当の愛好家だとお見受けした。
何といってもAXIOM80に代表されるように「赤帯マグネットに駄作なし」で、とてもいい音がしそうですねえ。
実は1年半ほど前にワーフェデールのツィーター(口径10センチ)を手に入れて今でも愛用中である。これも赤帯マグネットだが、図体に似合わぬ大きなマグネットが付いている。
周知のとおり、音の切れ味はマグネット(磁束の量)で決まる。
通常のツィーター(金属のダイヤフラム)にはとうてい望めない弦の響きが大いに気に入って、わが家ではダントツの存在感を示しているが、今回のユニット(口径30センチ)を購入して2ウェイにすると「ワーフェデールの純正の組み合わせ」が期待できる。
そう思うと「矢も楯もたまらず」即決欄をポチッ(笑)。
以下続く~。