「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

部屋の広いは七難隠す

2017年11月28日 | オーディオ談義

前回のブログ「オークション情報」で話題にした古典管「PA40」の落札価格だが、結局「433,100円」(1本)で決着をみた。

出品者様によると「WE300A」と交換して「PA40」を手に入れられたとのことで、ご自身でも想像以上の高額ぶりに驚かれていた。

こうした希少な古典管に対する激しい情熱の迸りを目の当たりにすると、自分ごときの熱意はとうてい足元にも及ばないことを痛感した。もちろん豊かな軍資金にも縁遠いわけだが(笑)。

閑話休題

さかのぼること、およそ7年前ぐらいの出来事になるだろうか。

季節は冬で、当時、狭心症のため心臓にステントを入れたばかりで、事後のリハビリのためにクルマで15分ほどの体育館の天井近くに設けられている一周440mのランニングコースを黙々とウォーキングしていた。

すると、あるとき1階の広いフロアーで一組の中年とおぼしき男女が身のこなしも優雅にダンスの練習をしていた。

伴奏の音楽がとても「いい音」に聴こえたので、いったいどういうシステムなんだろうと遠方から目を凝らしてうかがってみるとなんと小さな「ラジカセ」だった!(笑)

会場が広いとラジカセ程度でも「いい音」がするんだと、そのときにくっきりと脳裡に刻み込んだことだった。

そこで、このたび知人が所有する広さ80坪ほどのホールの話に移ろう。

このブログの読者ならご承知のことだと思うので詳細な経緯は省略するが、先日、口径30センチのフィリップスのユニットをグッドマンの指定箱に容れてこのホールに設置したまではよかったが、それ以降どうも低音がボンつき気味なのが気になって仕方がない。

    

そこで、冒頭に述べた記憶がふと蘇ってきて、大きなホールにはむしろ小さなユニットの方が合うかもしれないと、思い立った。

ちょうど手頃のリチャード・アレン(イギリス)の「ニューゴールデンエイト」(口径20センチ)を持っているので、これをフィリップスの代わりに納めてみようか。

    

このユニットに補助バッフルを取り付けて交換しようという算段である。

ここで、ちょっと寄り道になるが、このユニットの裏側にある端子はプラス、マイナスの表示がないので二つのうちどちらがプラスなのか非常に困ってしまう。そういうときの見分け方としては、すでにご承知の方も多いと思うが単3の乾電池(1個)を使うといい。

(ユニットの端子に)ハンダ付けしたSPコードの片方を乾電池のマイナス面に接触させ、片方のコードを乾電池のプラスの突起面に接触させる。瞬間的にコーン紙が軽く前方に出るときは正相になっているのでその接続は正しい。逆にコーン紙が後ろに引っ込むときはその接続はプラス、マイナスが逆になっている(逆相)ので正しくない。

話は再び戻って、一昨日(26日)に我が家にお見えになった近隣のYさんともどもこの地下室のホールを訪れた。一人では交換作業が大変なのでYさんに手伝ってもらおうという魂胆が見え見えである(笑)。

ホールの持ち主さんは不在だったが「出入り御免」の許可をいただいているので、専用の階段を降りて勝手に侵入しホールの照明をスイッチオン。

すると、スピーカーの間隔がやたらに広がっていることに気が付いた。目測だが3mぐらいから10mくらいに広がっているのだからとても玄人筋では考えられない感覚(間隔)だ(笑)。

それでも「オーディオは理論よりも実践の方が大切で、やってみなくちゃ分からん」ところが多々あるので各機器のスイッチをオンし、まずはYさんともども試聴に入った。

とてもいい音じゃないですか。そんなにボンついていませんよ。」とYさん。

「前回聴いたときはやたらにボンついていたんですがねえ。不思議ですねえ。」

前回と違うのはスピーカーの間隔だけだから設置場所を変えるだけでこんなに音が変わるのかと驚いた。

これならあえてSPユニットを換える必要はあるまい。というか、むしろ換えない方がいいかもしれない。

というのは、ホールの持ち主さんがとても現状の音に満足されているから。

「オーディオがこんなに楽しいとは夢にも思いませんでした。毎日気持ちよく聴かせてもらっています。」と、毎日のように電話がかかってくるほどの手放しの喜びようで、機器の周りにはジャズを中心にかなりのCDが積まれている。

もともと持ち主さんはたいへんな音楽好きだったご様子。

こういう例を実際に見聞すると、巷には「音楽は好きだけどオーディオといってもそれほど音が変わるわけでもあるまいし、少々変わったとしても大したことはなかろう。」という、「食わず嫌い」がいかに多いかがわかる(笑)。

こういう人たちに「いい音で音楽を聴く楽しみ」を味わってもらうことは、オーディオ愛好家にできる唯一の社会貢献かもしれない。

そこで、昨日(27日)持ち主さんに、こう提案した。

「民謡でも演歌でも構いません。どなたでも家庭に好きなCDの1枚や2枚はあるはずです。広く呼び掛けてそういうCDを持ち寄ってもらい、このホールで定期的に音楽鑑賞会をして交流の場にしましょうよ。」

「それは大賛成です。さっそく企画を練ってみましょう。」
とご快諾。

先日の日本経済新聞(2017.11.24)に、「社会的なつながりが多い高齢者は認知症の発症リスクが46%低下する。」との記事があったが、もともと認知症とは縁遠い高齢者が社会的なつながりを持つケースが多いので、この数字を鵜呑みにはできないが見知らぬ方々との交流がリスク軽減につながることはたしかなので、自分のボケ防止にもきっと役立つことだろう(笑)。

いずれにしても、ここ2週間あまりの間にオーディオ仲間を4名、近所の方をお一人、このホールにお連れしているが皆さん大喜びだった。

スピーカーの間隔が狭いときのことだったが、それにもかかわらず
「いい音ですねえ。伸び伸びとしてとても豊かなサウンドです。それに音量を大きくしても、ちっともうるさく感じないですね。」

「(女性の)色の白いは七難隠す」という言葉があるが、「部屋の広いは七難隠す」(笑)。

部屋が広いと「アンプとスピーカーのバランス」さえよければ、少々難ありのシステムでも立派な音を出してくれるようだ。

最後に、今回の件を通じて自分のことばかりじゃなく、もっと社会のお役に立つことも考えなければと思った次第。

ちょっと大げさだし、我田引水かもしれませんがね(笑)。


 


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