前回からの続きです。
始めてから12年と馬齢を重ねているブログだが、いまだに現役として未練がましく稼いでいる家内から折にふれ「時間をかけている割には1円の得にもならないブログですね」と、苦笑されている。
実際にその通りだから反論のしようがないが、こうしてこまめに情報発信を続けていると、お金には換えられないものがあるんですよねえ(笑)。
それは同じ趣味を通じての「交流」である。人間は一人では生きていけない動物だから、出来るだけ大勢の人と知り合いになれるのはたいへんありがたいこと。
見ず知らずのまったくの赤の他人がたった一つの接点で交錯出来るんだからブログの効果は今さらながら測り知れないと思う。
そして、このほど新しい「6098」アンプの件を登載したところ、すぐにメールをいただいたのが同じ別府市内在住のOさんだった。
同種の真空管アンプを持っているので持参してテスト試聴してみたいとのことで、すぐに連絡を取りあいご訪問日程が確定。
我が家からクルマでわずか10分ほどの所にお住いで、小雨降りしきる中、自作の真空管アンプとともにご来訪いただいた。
いやあ、どうも、どうも、初めまして~。
同じ趣味を持つ人間同士、初めから「百年の知己」のごとく話しが通じやすいのはいつものことである(笑)。
ご挨拶もそこそこに、さっそく今回の焦点である「6098」アンプの比較試聴に移った。
初めに「チューブ・オーディオ・ラボ」さん(新潟県)からお預かりしている「6098シングルアンプ」を試聴した。
テストスピーカーは「ウェストミンスター」(改)。
試聴盤はワーグナーの「ワルキューレ」(ショルティ指揮)である。
鮮度とパワーが売り物の「6098」アンプには最適のテスト盤だろう。
「6098シングル」アンプの前段管は「ECC35」(英国ムラード)に差し替えているが相変わらずケチのつけようがない音だった。
これまで「AXIOM80」ばかりでテストしてきたので大型スピーカーの「ウェストミンスター」(改)で聴くのは初めてだったが、まったく力負けしておらず大善戦。
30分ほど聴いてから次にOさんが持参された「6098差動型アンプ」に切り替えて試聴に入った。
回路の要所にFETやダイオードを使っておられ、トランス類は「タンゴ」、初段管は「6DJ8」だった。電源トランスの大きさがひときわ目を引く。
「6098」を4本使ってあり、パワーは8ワット程度とのことで前述のシングルのおよそ2倍。
ここで「差動型」という聞き慣れない言葉がとても興味を惹く。
真空管アンプの駆動方式は周知のとおり大きく分けてシングル、プッシュプルに大別でき、それぞれに長所、短所があるようだが「差動型」はこれらとは違う「第三の回路」のようですよ~。
まあ、自分のような素人には理屈はどうでもよろし(笑)。
中国の改革開放の父「鄧小平」さんは「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫はいい猫だ」と言い放ったが、それと同じで「シングル、プッシュプル、差動でもなんでも構わない、音が良ければそれはいい回路だ」。
出てくる音が”すべて”なので一心不乱に耳を澄ました。