「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

肝心なことは目に見えないんだよ!

2019年06月24日 | オーディオ談義

フランス人の作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの代表作に「星の王子さま」という小説がある。

日本でもアニメやミュージカルになったりして人気があるが、何といってもその秘密は心を打つ名言が作品の中に沢山散りばめられていることにある。


そのうち代表的な名句としてよく知られているのが
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。肝心なことは、目に見えないんだよ!」

「肝心なことは目に見えない」とは、おそらく「人間の奥深い心理」のことも含まれているのだろうが、オーディオだって負けてはいない。

そもそも「音」ってのは空気の振動なので目には見えないんだから(笑)。

それは冗談としても音質に大きな影響を与えるのに(目に見えないので)意外に無視されているのが「磁界と振動」である。

まあ、振動の場合は適度に有った方が音がいい、たとえば真空管のガラス管がスピーカーから出る音圧によって適度に振動した方が音が良くなるという例もあって、ケースバイケースで上手くハモらせれば一概に「悪」とは言えないようだが、「磁界」ばかりは百害あって一利なし。

まったく目に見えないだけにこれほど始末の悪い物はない。なぜ悪いのか、一口で言えば「磁界によって迷走電流が起きてそれが音声回路に悪さをする」ということらしい。

電気のことは門外漢だが、大学で機械工学を専門にしたオーディオ仲間がそう言ってた。

鉄は磁気を帯びる磁性体なので迷走電流が起きやすく、「微小電流を扱うプリアンプのシャーシには鉄を使わない」をポリシーにしているアンプビルダーもいるほどでたしかに一理あると思う。

このような振動や磁界を別にしてもオーディはどうも「つかみどころのない迷宮」のような気がして仕方がない。

何かの本に「学問の目的の一つは分かっていることと、分かっていないことの境界線をはっきりさせることにある」と、書いてあったがオーディオを研究対象(「音響物理学」)としてみた時にこの境界線なるものがサッパリ分からないし、おそらく皆さんだってそうだと思う。

あまりにも変数が多すぎるのだ。

たとえば音響に及ぼす要素として大雑把に上げてみても「音楽ソースの録音状況」に始まって「部屋の大きさと形状」「レコードプレイヤーやCD機器の性能」「プリアンプ」「パワーアンプ」「スピーカー」「ケーブル類」そして「各家庭ごとの電源の供給事情」など、枚挙にいとまがないほど。

さらに小さく細分化していくと真空管やエンクロージャーなどに及び、それぞれの相性まで考え合わせるともうエンドレスだ。

しかも、どれも1か所でも手を抜くとそのレベルに落ち着いてしまうという怖さがある。

そして、忘れてはならないのがスピーカー絡みの要素の一つとして縁の下の力持ち的存在の「ネットワーク」。

今回、そのネットワークによる音の違いを実感したので述べてみよう。

先日のこと、オーディオの大先達が試聴にお見えになった後の反省として「もっといい音を出せたはずなのに」とある種の後悔が残った。この種の試聴会ではいつもそうだが、今回は特にそうだった。

ブログではそれなりにカッコつけていたものの、内心ではどうも質感がイマイチだったかなあ(笑)。

そこで思いついたのが「ウェストミンスター」(改)のネットワークの交換だった。

  

画像の上部がJBLの「LX80」(クロスオーバー:800ヘルツ)、下部がテクニクスの「20N100」(クロスオーバー:1200ヘルツ)で、それぞれバナナプラグが挿せるように改造しているが、当日はテクニクスを使っていた。

定価からすると「13万円」と「4万円」の違いがあるが、やっぱり上質のコイルとコンデンサーが使われている「LX80」の方が上だったかもしれないと、久しぶりに交換してみた。

付属の中高音域ボリュームの感度が低いのでユニットの方も能率の高い「175ドライバー」(109db)に交換した。もう「夏向きの音とか冬向き」とか悠長なことは言ってられない。必死である(笑)。

  

駆動するアンプは300Bアンプ(モノ×2台)。

  

前段管は「MH4」(メッシュプレート)、出力管「WE300Bもどき」、整流管「CV378」(ムラード)、インプット&インターステージトランスは国産、出力トランスは「タムラ」(特注品)。

これで聴いてみると、もう一度「U」さんに聴いていただきたいと思うほどの変わりようだった。ほんとうに残念、時間よ戻れ!(笑)

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