「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

図々しいお願い

2019年06月09日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

我が家からクルマでわずか10分ほどの所にお住いのOさんが持参された「6098差動型アンプ」。

「差動型」っていったいどういう音がするんだろう?すこぶる興味津々である。

   

初めにOさんが無音状態でのハム音をチェックされていたので、自分も真似してスピーカーに耳をくっつけたが見事なまでにウンともスンとも言わない。SN比が抜群だ!

とても15年前に製作されたアンプとは思えない。

さらに「6098」を4本使ってあるだけあって(出力は8ワット前後)パワー感は十分だし、懸念していたTR臭さを微塵も感じさせない音に感心した。

しかも、タンノイの大型スピーカー独特のあの低音域には好きと嫌いに大きく二分されるが、自分はもちろん改造したぐらいだから後者に属しているが、その甲斐あってか見事に分解能と量感が両立していることに心から満足した!

とまあ、いいことづくめ(笑)。

そこで、評価の成り行きとしてシングルと差動型の両方のアンプの違いに集約されるわけだが「音の鮮度と緻密さ」では「シングル」に、「パワー感と重量感」ではさすがに出力の余裕がある「差動型」かな・・・。

「ワーグナー」を聴くには必須のアンプになりそうな不吉な(?)予感がしてきた(笑)。


大いに気に入ったので、図々しくも「しばらくお借りできるとありがたいのですが~」と、恐る恐る切り出すと「ハイ、現在使っていないのでいいですよ~」とご快諾をいただいた。


初対面なのに信用していただき、たいへんありがとうございます(笑)。


「いい耳の保養になりました」
と、Oさんが1時間半ほどでお帰りになった後で、ふとこのアンプの初段管の「6DJ8」(東芝製)の代わりになる「6922」を持っていたことを思い出した。

先日の「6SL7」といい、「6922」といい何気なく保管していた真空管がまったく思いもかけぬ時に役に立つ。これだから真空管はうかつに処分できないのだ(笑)。

  

左が「6DJ8」の高信頼管「6922」(AMPEREX金足:(Made in Holland)で、右が当初から付けてあった「東芝」製。

何だか音の抜けが一段と良くなった気がするのは気のせいかな(笑)。

万一この2台のアンプが我が家の戦列に加わったとすると凄いことになりそうだ。シングルは「AXIOM80」へ、差動型の方は「ウェストミンスター」(改)向けへと綺麗に振り分けできる。

すると既存の「300Bアンプ」や「PX25アンプ」の存在価値はどうなるの?

いみじくもOさんが試聴中に「6098差動型アンプと300Bアンプの違いって何でしょうか?」とストレートにお尋ねになられたので「ウ~ン、とても難しい質問ですね。強いて言えば(音の)色気があるかないかではないでしょうか」とお答えしておいた。

好きな音の表現として、咄嗟に「色気がある」とか「品がいい」とか、いかにも情動的な言葉しか出てこないのがちと情けない(笑)。

実を言うと自分の目指す音の一端は「色気があって振るいつきたくなるような音!」なのだ。

「音に淫する」状態じゃないとこういう言葉は咄嗟に出てこない気がして、「女性に淫する」のは穏やかではないが相手は「音」だから許されますよね(笑)。

ただ、今回のシリーズを通じていろいろ思うことがあった。

それは、有名ではなくても音のいい真空管が使い方次第でいろいろあること、このことを実体験しているだけでWE300BやPX25などの名管に対する見方がまるっきり違ってくること。

「これじゃないと絶対ダメとか、真空管の神格化は止めましょうよ、柔軟性が大切です」と、まあ偉そうに言う資格はないが(笑)。

最後に、ご了解を得たのでOさんのブログ「Taka’s Club」(クリック可)をご紹介しておこう。

海外旅行記、そして製作された各種真空管アンプの詳しい回路図など個性豊かな記事が満載ですよ。

この内容に共感された方は積極的にクリック →    

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする