「明日の午後にお伺いしたいのですがご都合はいかがでしょうか?」
「ハイ、結構ですよ~。どうぞいらしてください」
ご連絡があったのは県北部にお住いのUさんからだった。
Uさんといえば、およそ5か月前のブログ「大寒波の襲来~神様の思いやり~」(2019.1.30)を覚えておられるだろうか。
Uさんがせっかく我が家のシステムの試聴にお見えになる日に限って大寒波が襲来し、せっかくの試聴会が延期になったという不運な出来事だった。
しかし、後日になって電源対策などによって我が家のシステムが大いに改善したのでむしろ延期になってよかった、これは「神様の思いやり」だったという顛末を記したもの。
東南アジア地域の周遊などご多忙なUさんだが、ようやく5か月ぶりに再度のご訪問が実現することとなったが、いざお見えになるとなるとやはり緊張する。
何しろオーディオの大先達である。ご自宅のスピーカーは自分が若い頃に憧れの的だった「CN191コーナーホーン」(ヴァイタボックス)。
2年前に訪問したときの記事と画像を再現してみよう。
レコード・プレイヤーが「927ST」(EMT)。「930ST」ならよく見かけるが1ランク上の「927ST」となると極めて珍しい。中古の相場をググってみると450万円なり。なにも高けりゃいいというものでもないが(笑)。
そして駆動しているアンプはプリアンプがマッキントッシュの「MC22」で、パワーアンプが「MC275」。もちろん、いずれもオリジナル。
といった具合。
お見えになる前日に念入りに試行錯誤を繰り返した結果、最終的に2系統のシステムに集約してお迎えすることとなった。
第一系統
dCS(英国)のCDシステム → プリアンプ「クリスキットマークⅥ」 → パワーアンプ「6098シングル」 → スピーカー「ウェストミンスター」(改)
第二系統
CECのCDトラポ+フェーズメーションのDAC → プリアンプ「マランツ7型」 → パワーアンプ「300Bシングル」 → スピーカー「AXIOM80」
以前の訪問時に聴かせていただいたときに、マッキンのアンプとCN191のコンビの物凄い低音が脳裏に焼きついていたので今回の試聴会のポイントは「低音域にあり」と踏んだ。
そこで「ウェストミンスター」(改)の低音を一番うまく引き出せるアンプを実験したところ意外にも小振りの「6098シングル」が出色だった。
低音といってもボワ~ンとした緩い低音から制動力の利いた締まった低音までいろいろだ。
こればかりは各人ごとの好みなのでいいも悪いもないが、自分は明らかに後者に属している。すると「6098シングル」がベストだったというわけ。
当日は絶好の好天で5か月前の「大寒波」のイメージが完全に払拭された。
きっかり13時にお見えになったのでさあ、いよいよ一騎打ちの始まり~(笑)。
本命の「低音勝負」は後半ということで、まずは「AXIOM80」から。
「こういう繊細な音を聴くたびにAXIOM80がぜひ欲しくなりますねえ」と非常に気に入られたご様子。
「音楽鑑賞用にもテスト用にも使えますし一家に一セットは必須だと思いますよ。ただし、ワーグナーは聴けませんので所詮はセカンド・システムになりますが・・・」と、つい調子に乗って申し上げた(笑)。
ちなみに、試聴の途中で300B真空管を「スヴェトラーナ」から先日オークションで手に入れた「WE300Bもどき」に切り替えたところ「かなり変わりますね。ヴァイオリンの艶が見事です。私はこちらの音の方が好きです」と断定された。「やはりそうですか。私も同じです」。
この球が手に入ったのはほんとうに僥倖だったが、日ごろ聴くのは「スヴェトラーナ」で十分だろう(笑)。
1時間ほど小編成やボーカルを愉しんでから、いよいよ「ウェストミンスター」(改)の出番となった。
音楽ソースはまずワーグナーの「ワルキューレ」(ショルティ指揮)、次にゲリー・カーのコントラバスとハーモン・ルイスのオルガンによる「祈り」。
低音域の仕上がりをテストするには絶好の試聴盤だろう。
どうか「CN191コーナーホーン」に負けない低音が出ますようにと、まさに「祈る」ような気持だった。
「オルガンの音が凄くいいですね。地を這ってくるような低音が出ています。30ヘルツは軽く出ているでしょう。とても口径30センチの音とは思えません。やはり最後はエンクロージャーに尽きますね。」と、Uさん。
「そうですね。どうしてもオーディオの行く着く先はエンクロージャーになりますかね」と、自分。
5か月遅れの試聴会だったが、どうやらそれなりの効果があったようで「神様の思いやり」に改めて感謝したことだった(笑)。
この内容に共感された方は積極的にクリック →