前回からの続きです。
オーディオでスピーカーいじりほど深遠なものはないといつも思う。なぜなら、ほんのちょっとした改造でも音の変化が著しいから~。言い換えると、どこまでも気を抜けないのがスピーカーの分野でもある。
もちろん、いっさい「メーカー任せ」の方は別ですよ~(笑)。
で、「北国の真空管博士」からヒントをいただいたのでさっそく箱の改造に取り掛かった。いや、「改造」とは大袈裟なので「工作」の方が正解かな(笑)。
前回述べたように「トライアクショム」を取り付けているバッフルの下側の隙間をさらに広げて背圧(逆相の音)を逃がしやすくしようという算段である。
スピーカー回りの作業は比較的簡単だが肝心のユニットを傷つけると元も子もなくなるのでかなり神経を使う。
まずは予備のバッフルを倉庫から出してきて鋸で隙間が「3cm」になるようにカットした。バッフルにはすでにユニット用の穴(口径30cm)を開けているので楽勝だ。これで左右2枚のバッフルが無事完成。
次に本体の作業に移ってバッフルのネジを緩めて箱から取り外し、それから専用の金具でバッフルからユニットを取り外し、予備のバッフルへと取り付けて最後に箱に取り付けてネジ締め。いつものように電気式ドライバーが大活躍。
言葉にすると簡単だが、実際の作業となるとゆうに2時間くらいはかかっただろうか。
夕飯直前になって完成したが、いつものようにワクワクしながら音出し。
すると思わず息を呑んだ!
まるでSPユニットそのものが変わったみたいに開放的な音が鳴り響く。とても抜けが良くて軽々と音が出てくる感じ。音響空間にふわっと漂う音の表情がことのほか麗しい。
背圧の逃げ道をちょっと広げただけでこんなに音が変わるんだからと、オーディオの奥深さに恐れおののき、そして打ちのめされた。
こんな基本的なことに気が付かなかったとは、いったい何年オーディオをやってんだと自分の頭を小突きたくなったほど。
まあ、うれしい悲鳴ですけどね(笑)。
それにしても爽やかな弦の美しさは相変わらずでいつまでも聴いていたいと思わせる魅力的な音にさすがはグッドマンと感嘆!
同社はタンノイのようにそれぞれのユニットに応じた専用の箱をつくらなかったが、それだけに工夫次第でその可能性は無限大ともいえる。
言い換えると、しょぼい箱だと無限小となる危険性もある(笑)。
そして、じっと耳を澄ますうちにふと「ブリティッシュ・サウンド」という言葉を連想した。
「ブリティッシュ・サウンド」って?
イギリス人はヨーロッパ大陸人に比べて独特の翳りのある気質を持っており、それがサウンドにも微妙に反映されているという。
で、ずっと以前のブログで書いたように、
「音の微妙な陰影を表現でき、人の心に寄り添ってくれる音に尽きる。一聴するだけではとても地味だし、けっして大向こうを唸らせる音ではないが、聴けば聴くほどに琴線に触れてくるものがあって音楽&オーディオを心から愛する人にだけ通じる何かがある。」
とまあ、偉そうに言わせてもらおう(笑)。
「音楽と音質」に何を求めるか、こればかりは人それぞれだが自分の場合はどちらかといえば「下降旋律」が好きだし、しんみりとした心情をもたらしてくれる音質が好き・・。
いわば「滅びゆく者の美しさ」が好きなのかな。
以下、続く。(やたらに引っ張るようだが長くなるので悪しからず~笑)
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