前回からの続きです。
去る5月2日(金)の試聴会を通じて、新しい発見がいろいろあったので項目ごとに振り分けてみた。
☆ テスト盤
他家での試聴や自宅のシステムで機器を入れ替えたときなどに使用するテスト盤については、日頃聴き慣れているCDがはたしてどんな音で鳴るのだろうかというわけで、「テスト盤=愛聴盤」というのがおおかたの相場といってよかろう。
この日(2日)の試聴会でKさんが持参されたのは、かってソプラノ歌手として一世を風靡したシュワルツコップの「オペレッタ・アリア」、そして村田英雄と加藤登紀子の「ベスト盤」。
「エッ、村田英雄ですか!」と、Kさんのレパートリーの広さに驚いたがヒット曲「夫婦春秋」(第2トラック)をきかせてもらったところ「ドスの利いた声」が実にいいし、メロディにも惚れ惚れしてしまった!歌謡曲にはやはり日本人の琴線に触れるものがある。
爾来、クルマに乗っているときなどにも、つい「つ~いて、来いと~は・・・」と、自然に”くちずさむ”有りさまで影響力は多大。これこそ後に尾を引く音楽!加藤登紀子の「黒の舟歌」もよかった。
とにかく「AXIOM80」できくボーカルはどうしてこうもうまく鳴るのだろう~(笑)。
また、Kさんが「レコード盤のときは擦り切れるほど聴きました」と言われる「シュワルツコップ」だが、全盛期における声の伸びは類を見ないものがあって感嘆の一言。
しかし、「モーツァルトの歌曲集に収録されている“老婆”ではもっと凄い歌唱力を発揮しますよ」という話になって、我が家にある「老婆」を一緒に聴いたところ、音が出たとたんに「アツ、これは国内プレスですね。シュワルツコップの歌唱力が台無しです。」と、一刀両断。
以前からこの国内盤には録音に不満があったのだが、たちどころにきき分けるKさんの耳には驚いた。次回のご来訪のときに別のプレス盤を持ってきてもらうことになったが、音質次第で歌手の芸術性が左右されるのだからCD盤の選択にはくれぐれも要注意。
それにしてもオーディオ・システムには可能な範囲で万全を期しているつもりだが、そもそもCDの選択にまで配慮しなければいけないのだから自宅でまともに音楽鑑賞をしようと思ったらたいへん(笑)。
☆ CDトランンスポートの聴き比べ
結論から言えば、先日購入した「ラ・スカラ」(dCS)がこれまで使用してきた「270」(ワディア)を軽く一蹴した。Kさんによると「音の開放感が違います」。
これにはちょっとした“わけ”があって、「ラ・スカラ」とDAコンバーター「ワディア27ixVer3.0」との接続を当初「AES」(バランス・デジタルコード)にしていたところどうも位相に問題があるようでしっくりこないので、仕方なくBNC接続に切り替えたところようやく不自然感が収まった。
両機種とも同じ「2番ホット」であることを確認して接続したのだが、どうも不思議。去る4月13日の試聴会でも「AES」接続だったため「ラ・スカラ」がイマイチで、主に「270」できいてもらったのもそういう理由だった。
デジタル機器同士の接続は通常では、1位がAES(バランス)接続、2位がBNC接続、3位がRCA接続とされており、トスリンク(光)接続ともなるとまったくの論外だが、我が家の場合はBNC接続がベストだった。AES接続も万能ではないことを心に刻んだが、おそらくdCSのDAコンバーターとの純正組み合わせとなると話が違ってくるのだろう。
こうなると早くdCSのDAコンバーターを手に入れたいが、何といっても先立つものが・・・(笑)。
それにしても「ラ・スカラ」をきかれていたKさんが「我が家の音に比べるとCDシステムの差を痛感します」との、何気なく洩らされた言葉がいまだに耳に残っている。
これまで1年以上にも及ぶワディア「270」の試聴のときにはCDシステムの違いについては“これっぽっち”も言及されなかったので、どうやら「ラ・スカラ」の実力は抜きんでているようだ。
購入して正解だった(笑)。
なお、ほかに二題ほど残っているが長くなるので次回へ持ち越し~。