「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「オーディオの醍醐味」♯2~

2011年02月08日 | オーディオ談義

(前回からの続きです。)

メル友の奈良県のMさんから前回のブログで話題にした差動方式のプリアンプの回路図を「見せていただけないか」とメールが入った。

「お安い御用です」とすぐに郵送したが、そのときに「改造後のプリアンプがどんな音になるか、胸がわくわくします」と書いておいたところ
「そういうときこそがオーディオの醍醐味ですね」と折り返しご返事があった


やはり持つべきものはオーディオマニアの友だちで、言葉を尽くしなくてもお互いの心情が手に取るように分かり合えるのがいい。

とにかく機器を追加したり入れ替えたりして最初の音出しのときがオーディオをやってて一番楽しい瞬間。

まさにスリル満点の緊張の一瞬で、「いい音」が出たときにはまさに至上の喜びとなる。

「これからはこんなにいい音で音楽が聴けるのか」と天にも昇る気持ちでこれは何物にも代えがたい。

(とはいえ、ものの2~3ヶ月も経つといつも幻想に過ぎなくなるのだが果たして今回は・・・)。

また高価な機器を導入したときは、いい音が出ても「当たり前」であまりうれしくもないが、安物の機器で効果が出たときにうれしさが倍増する。

まあ、貧乏人根性というヤツで悲しいかな、こういうときにどうしても「育ち」というものが出るらしい!

さあ、その醍醐味の瞬間が刻々と近づいてくる。

予定の時刻は4日の金曜日の14時。

当日は朝からソワソワして何だか落ち着かない。まるで入試を控えた受験生の気分。

まず病院に行って1か月分の薬を受け取って老母〔94歳〕のいる介護施設に届けると、そのまま体育館に立ち寄って術後のリハビリ・ウォーキングを1時間ほどやって時間をつぶした。

こちらの心理を見透かしたようにMさんが改造後のプリアンプを携えてお見えになったのは予定の時刻よりも随分と早い13時20分頃。

「このプリアンプは10分程エージングが必要だよ」とのことで、まず電源を入れておいてとりあえず比較する意味で従来のシステムで試聴。

テスト盤はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲(グリュミオー演奏)。あの霊妙な美しさを湛えた5番の第二楽章で、古今東西、名曲中の名曲とされるものである。

「ちょっとハイが上ずり気味だね。それにヴァイオリンの胴鳴り部分が不足してる。録音が古いのを割引してもこれではやはり長時間聴くと疲れるはず」とMさんの第一声。

そこでいよいよ改造後のプリアンプの出番。

名称のつけようが無いのでとりあえず「プリアンプ」としておくが、接続ケーブルを挿し込んで何度も左右の信号の差込口をチェック。試聴盤は同じ。

静まり返った広い空間の彼方からスッと音が湧いてくる感じといえばいいのだろうか。これは上質のプリアンプだけが持つ特質である。

「これはいい!想像以上に素晴らしい仕上がりです。」

「高域がまろやかになって明らかに聴きやすくなったね~。ゲインは結局ワディアの出力レベルに対して1/2に落としたよ。通常ゲインを上げるのがプリアンプの役目だからこんなものを作っても絶対売れないね。」

「出力電圧が4V(ボルト)前後もあるワディアのDACだけに通用する代物だが、その代わりボリュームやセレクターがないので接点による音の劣化や接触不良は心配なし、消耗品は2本の真空管(6FQ7)だけなのでメンテはたいへん楽だよ。」

ゲインが減ったといってもこれまでワディアのデジタルボリュームを60/100あたりで聴いていたのが、今回のプリアンプの導入により80/100あたりとなったのでまったくの適正レベル。

結局、増幅しない代わりにSN比を稼いだというわけで、ノイズが完璧にゼロなのでプリアンプの存在をまったく意識させない空気のような感覚が実に好ましい。

それだけシステムの中にうまく溶け込んでいる証拠だが自己主張の過ぎる目立ちたがり屋の機器はオーディオに限ってはとかく要注意。

ワディア特有の高域の鋭さが消えて失くなったが、若い人はこの鋭さがいいのだろうが、歳を取るとひたすら「穏やかに」がモットーでこういう鋭さは疲れを増す一方。

それにしてもオーディオをいじった場合、必ず得るものと失うものの両面があるのだが今回は、鮮度を若干失ったが、それを補って余りある音楽性豊かな音。

試聴結果がOKだったので、Mさんが「これからは音楽に専念できるね」と警句(?)を残されて1時間ほどで帰宅された後、次から次に愛聴盤の試聴開始。

まず一番気になるのは朝晩、まるで「お経」代わりのように聴いているグレン・グールドのピアノの鳴り具合。

「グールド節」にいったん嵌ると、もう簡単には脱け出せない。「イギリス組曲」〔バッハ)、「ピアノ・ソナタ全集」(モーツァルト)を聴いてみたが見事に合格。

後は歌劇「マクベス」(ヴェルディ)、「ワルキューレ」(ワーグナー)などだが解像力と量感のバランスには満足できるものの、低域の伸びがもっと欲しい気もするが欲を言えばまあキリがないか。

今後は相性のいい接続ケーブルを2~3日かけて試してみなければと思いつつアンプの電源を落として午後のリハビリ・ウォーキングに出発。

低域用のトランジスター・アンプの電源を落としたところ、従来の「ボンッ」という大きなショック・ノイズが完全に無くなったのも非常にありがたい。

まったくいいこと尽くめで、ことオーディオに関しては今年はツイてる!

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