「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「オルトフォン社のイヤフォン」~

2010年10月05日 | オーディオ談義

「オルトフォン」(デンマーク)。

往年のレコードファンならこの言葉を聞いただけで思わず胸が震えるに違いあるまい。

少なくともこの自分がそうで、フォノ・カートリッジの遍歴ではグレースのFー8L,デンオンのDLー103,エラックのSTSー455Eそして最後に行き着いたのがオルトフォンのSPUーGEだった。

とにかく低域から高域まで過不足なく再生できる「グッドバランス」の上に音楽性が抜群だった。五味康祐さんの著書の中にも作家の「安岡章太郎」さんが
「五味よ、オルトフォンはええなあ~」という行(くだり)があったほどで巷でも評判が良かったことを覚えている。

現在ではレコード・プレーヤーは既に処分して手元に無いが、このSPUーGEだけはあまりにも印象が強烈で、愛着があっただけにいまだに手放す気になれず、まったく使う機会がないものの常に目に触れるところにおいている。

                

この堅牢かつ優美なカートリッジを見ていると、ついフルトヴェングラーが指揮する「第九」、オイストラフ・トリオの「大公トリオ」、ワルター指揮の「田園」といった名曲たちが次から次に髣髴〔ほうふつ〕として蘇ってくる。

あの20~30代当時の音楽に深く傾倒した「感性」がつくづく懐かしい。
今にして言えると思うが、どんなに高級なオーディオ装置だってこの「瑞々しい感性」にはとても太刀打ちできない!

さて、そんな印象を持つ「オルトフォン社」から高級イヤフォンが発売されているという情報が入った。

教えてくれたのは高校時代の同窓のメール友だち。

イヤフォンといえばオーディオ愛好家にとっては無縁な存在だと思うが自分の場合、毎日運動ジムに通ってエアロバイクを使用する際にポピュラー、歌謡曲を30分ほど「iPodクラシック」(160GB)で聴いている。

もちろん使用しているイヤフォンはiPodを購入したときに付属していたヤツで価格にすると1,200円前後だろうか 。

まあ、所詮は「iPod」なので手軽さにメリットがあるだけで音質にそれほど期待しているわけでもなし、別段不満を抱いていたわけでもないが、こうやってオルトフォン社のイヤフォンがあると聞かされると、やっぱりオーディオ・マインドが刺激される。

毎日のように行く運動ジムが今以上に楽しみになればそれに越したことはない。

イヤフォンの型番は
「eーQ7」で標準価格29,400円なり。ネットの最安値価格は22,800円で現在使っているイヤフォンのおよそ20倍の価格だが、さてそれだけの値打ちがあるかどうか、こればかりは聴いてみなくては分からない。

オーディオには常に博打が欠かせないのはよ~く分かっている。思い切って注文することにした。              

到着したのは10月3日〔日)の午後4時ごろ。

なかなか洒落たパッケージに感心していると目に飛び込んでくるのがイヤフォン本体。
非常にスタイリッシュなデザインはさすがにオルトフォン。アルミ削り出しによる筐体は先端ほど太くなっており渋いレッドの光沢が高級感を醸し出す。

                       

早速、日本語と英語の両方で書かれた取り説に目を通した。まあイヤフォンだから取立てて難しい操作も無いわけだが、各人の耳の大きさに応じてL、M、Sとシリコンラバーのイヤーチップが準備されているのは助かる。

ここで、「eーQ7」の基本スペックを確認しておこう。

新設計の一磁極型の大型ドライバー(バランスド・アーマーチュア)が採用されている。

ケーブルには、同社が高品位オーディオケーブル製造で培った技術が投入され、線材に高級銀メッキ4N無酸素銅、編糸シースを取り入れたダブルシールドによりノイズを抑えているという。

広い周波数特性の実現と優れたノイズ対策の両方に、力を入れており、高級機でもなかなか珍しい交換式の耳垢防止フィルターが搭載されているとのこと。

さて、肝心の試聴結果に移ろう。

いつものボリュームで何の気なしに聴き出したところ大音量が耳の中で炸裂してびっくり仰天。このまま聴くと間違いなく鼓膜がどうかなりそうで、あわててボリュームを抑えた。このイヤフォンは物凄く能率がいいので要注意。

音質のほうは、高域が伸びすぎてややうるさく感じるほどですぐにエージングが必要だと感じたが、1時間ほど連続して聴いていると随分聴きやすくなった。それにイヤチップによっても音質が変わり、自分にはMサイズよりもSサイズのほうが良かった。

これまでのイヤフォンと比較すると、平面的な音だったのが明らかに高い透明感と奥行き感のある音になり、空間の表現力にも秀で、たしかに楽器の音色も違っていて向上したのは間違いなし。

とはいえ、この”ハイ上がりの音質”は何とかならないものか。

もっとも、すべてのイヤフォンに共通する中域から低域にかけての量感不足については期待するほうがおかしいのかもしれない。

やっぱり、ジャズもクラシックも本格的に鑑賞するにはイマイチで歌謡曲、ポピュラー向きと心得ていたほうが良さそう。

イヤフォンの限界を感じたが、これからのエージングにちょっぴり期待したいところ。

ところで話は変わるが、ネットで注文するオーデイオ製品は常に月曜日に注文して”カミさん”が不在の平日に届くようにしている。長年の経験でなるべく刺激しないに越したことはない。

今回もわざわざ月曜日に注文したのに在庫不足のせいか自宅に着いたのは何と最悪の日曜日の午後。

「代引き」購入なので事前にお金をきっちり準備して玄関先で時間をおかずに素早く処理したのに目ざとい”カミさん”が早速気付いた。


「何か買ったん?」「ウン、小荷物さ」「フ~ン、小荷物か大荷物か知らないけど」「いや、安物のイヤフォンだから小荷物さ」

結構、これでも気苦労してるんですよねえ~!



 

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