「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

真空管「6SL7」の球転がし

2019年06月02日 | オーディオ談義

忘れもしない先月の5月20日に我が家にやってきた「6AR6」アンプ。

  

詳細は以前のブログ「地震情報が取り持った新しい真空管アンプ」(2019・5・21)に記載した通りで、試聴用としてお借りしたアンプだが早くも2週間が経った。

じっくりと腰を据えて聴かせてもらっているが、何よりも音の鮮度が高いのが魅力的。

「真空管式のパワーアンプはインターステージトランスが入ったものじゃないとダメ」というのがこれまでのポリシーだったが、このアンプならむしろ音の鮮度が落ちそうなので現状通りの無い方がいい。

「音がいいことで知られる名管「PX4」(英国)の特性にそっくりです」という麻薬みたいな台詞(北国の真空管博士)も相当効いているのもたしかだ(笑)。

今のところ、どこといって欠点が見当たらないアンプなのがどうも”癪”に障るので耳が変われば違った意見が聞けるかもと近くのオーディオ仲間に来てもらった。

スピーカーを「AXIOM80」にしていろんなCDを聴いてもらったが、これがまあ絶賛また絶賛。

「既存のアンプでは出せない音質です。AXIOM80を鳴らすのならこのアンプがベストじゃないでしょうか」。

やっぱり誰が聴いても同じですかねえ・・・。

現在、貸し出し中を含めて8台のパワーアンプを持っているが、そろそろ整理して財源を捻出しようかという切実感がふつふつと湧き起こってきた(笑)。

それはさておき、このアンプには初段管として「6SL7」(電圧増幅管)が使ってある。その昔、「6SL7」に凝った時期があるのでこの球に関してはいろんなブランドを所持しているので「球転がし」をやってみた。

   

左から「CV569」(英国STC)、「ECC35」(英国ムラード)、「6SL7」(シルヴァニア)、「6SL7」(GE)、「6SL7」(RCA)

これら5本を差し換えながらブランドでどう音質が変わるか、これはもう真空管アンプの醍醐味ですよね。

「初段管でこんなに音が変わるんですか!」とは仲間の率直な驚きの言葉だった。

クラシック好きの観点からすると、自分の心の中ではテストする前からイギリス系の「CV569」「ECC35」が優勢だが、仲間の意見も大いに参考にしたい。

それでは、こまめに差し換えた結果は次のとおり。仲間と自分の意見を総合したものである。

☆「ECC35」(ZAREX:ザイレックス) 

「ZAREX」ブランドだがこれは商社の名前なので、おそらくムラード製ではないかと思う。ネクタイを締めた紳士のような「かしこまった音」だが品の良さは流石に英国製だ。

「品って何?」と問われても困るが「奥ゆかしくて想像力というかロマンを掻き立てるような音」といえばいいのだろうか。

音楽を鑑賞するうえで「ロマン」がとても重要な要素になるのはもう「言わずもがな」ですよね。

☆「6SL7」(シルヴァニア)

一言でいえば「あっけらかんとした」音としか言いようがない。いかにも陽気なアメリカ人といったところだがもっと深みが欲しいなあ。

☆ 「6SL7」(GE)

「μ(ミュー)=増幅率」がひときわ高いようで元気がいい。鮮度も高いしはつらつとした音だがやや腰高になる。「AXIOM80」にサブウーファーが欲しくなったのはこの球だけだった。

☆ 「6SL7」(RCA)

GEの後で聴いたせいかとてもバランスが取れている気がした。ボーカルでは艶があるし音の切れや鮮度も申し分なし。ジャズだけ聴くならこれで十分。

☆ 「CV569」(STC)

「ホールトーンの響きはこれが一番ですね」とは仲間の言葉だが、とにかく「品がいい」に尽きる。さすがはSTC(ロンドン・ウェスタン)。

ただ、STCブランドの球の共通点は中高音域の比類ない美しさに比べて低音域がどうも薄目のような気がして仕方がない。今回もその例に漏れなかった。

以前、北国の真空管博士にこの疑問を率直にぶつけてみたところ「いいえ、規格通りの設定をきちんとしてあげればそういうことはありませんよ。STCはウェスタンと互角、あるいはそれ以上のメーカーですからね」とのことだったので自分に限っての現象だろう。

いずれにしても、以上のことから自分なりにベスト3を上げると、「ECC35」、「6SL7」(RCA)、「CV569」(STC)となる。

とにかく、このアンプは回路がシンプルなので真空管の個性がもろに出るところが楽しいし、音もたいへん魅力的だし、まったく手放す気になれない(笑)。

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