首相を酷評した東大名誉教授
2019年11月18日
月刊文芸春秋の最新号(12月号)がなかなか充実しています。力作をそろえたラインナップです。7月号は「大ニュースで誤報を次々」でした。「33年ぶりに衆参同日選挙」「欧州勢による日産統合」という大きなテーマで、誤報同然の記事を掲載し、恥をかきました。今回は健闘しています。
オーラル・ヒストリー(口述歴史)の第一人者である御厨貴・東 . . . 本文を読む
朝日の破格の扱いのなぜ
2019年11月12日
天皇陛下の即位を祝う祭典、パレードは秋晴れの中、無事に終わりました。2日にわたる式典のテレビ中継をみていて、ハイライトは「雅子妃殿下の涙」だと思いました。終始、満面に笑みを浮かべ、何度も涙ぐみました。精神的な心の病(適応障害)がもうウソのようでした。
長い間、適応障害で苦しみ、そのような状態で皇后としての務めを果たせるのかと、懸念 . . . 本文を読む
ネットは2時間が2割
秋の新聞週間に合わせて行った全国世論調査を、読売新聞が大きく掲載(10/14)しました。朝日新聞による慰安婦、原発のねつ造、誤報批判がもう収まったとの判断も手伝ったのか、新聞報道が最も信頼が高く正確で、インターネットには偽の情報(フェークニュース)がよく流されるとし、新聞の存在価値を強調する形になっています。
新聞の部数減が激しくなるにつれ、ネットは偽情報を . . . 本文を読む
高所得層ほど得する矛盾
2019年10月1日
消費税の税率が1日、10%に上がりました。混乱を招いている軽減税率(8%)の導入は、公明党と新聞業界が固執し、安倍政権を動かしたからです。ですから、軽減税率に関する報道は、流通現場の混乱、消費者の戸惑いがもっぱらで、本当に軽減税率が国民のためになるのかという問題提起がありません。
本体価格に掛ける税率10%は区切りのいい数字ですから . . . 本文を読む
人気と政策能力は別物
2019年9月15日
安倍政権の改造内閣で小泉進次郎氏(38)が環境相に抜擢されました。組閣後の世論調査(日経)で「次の首相にふさわしいのは誰」と聞くと、小泉氏が20%でトップ、安倍首相が16%で2位でした。8月末の調査では29%、安倍氏が18%でしたから、人気では断然、他を引き離しています。
私は首相候補に関する世論調査が幼稚だと思ってきました。調査する . . . 本文を読む
月刊誌編集の難しさ増す
2019年6月25日
月刊文芸春秋の7月号を読んでいましたら、2つの大ニュースで「誤報同然の記事」を載せていました。企画の決定、執筆のテンポが政治や経済の素早い動きに追いつかないのです。間違った情報を書いてしまった新聞などによる誤報と違うとはいえ、月刊誌編集は難しさが増しています。
一つは解散・総選挙が必至かどうかの読み間違い、もう一つは日産とルノーの企 . . . 本文を読む
他者の研究成果を棄損するな
2019年6月1日
池上彰氏は「フリージャーナリスト」として、多くのテレビ局に登場し、多数の出版社からおびただしい数の著作物を出版しています。分かりやすく要点をついた新書などはベストセラーになり、増刷(重版)を重ねています。単独で森羅万象に取り組む活躍には感心します。
その一方で、池上氏は他の著作者の成果に対する「フリーライダー」(タダ乗り)との指摘 . . . 本文を読む
スポンサー契約が足かせか
2019年3月23日
20年の東京五輪を控え、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田会長が6月に退任することを表明しました。大会招致に絡む不正疑惑でフランス司法当局の捜査を受けており、仏当局に拘束されかねないため、海外出張にも行けず、JOC会長の職責を果たせなくなっているからです。
主要紙は一斉に社説で取り上げました。「危機感欠如のJOC」(朝日)、「 . . . 本文を読む
空転する首脳外交の誇大報道
2019年3月2日
ベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談には、3000人の報道陣が駆け付け、最大級の注目を集めました。会談は早めに打ち切られ、共同声明も見送られました。内政の手詰まりから、外交面の政治ショーに目先を変えたい首脳たちの手法に、メディアは簡単に踊ってしまう。
政治はますます外交にはけ口を求め、外交はますます政治ショー化する。解決に至 . . . 本文を読む
「10分しか読まない」の意味
2018年10月15日
秋の新聞週間に合わせて、新聞に対する国民の意識調査(世論調査)を各紙が実施しています。新聞がメディアの主軸であった時代はともかく、情報社会が多様化したにもかかわらず「新聞の役割は何ですか」、「新聞は信頼できますか」などと、読者に尋ねるというのは、奇妙な慣行です。
たとえば、自動車メーカーが「車の役割は何ですか」、「車は信頼で . . . 本文を読む
出版の質を守れる休刊でよい
2018年9月27日
杉田水脈衆院議員の性的少数者(LGBT)に対する発言をめぐり、批判、そのまた批判と、議論が沸騰し、それに加わった月刊誌「新潮45」に社の内外から批判が起き、佐藤社長は休刊を決めました。私は数年間、傘下の出版社に出向していましたので、佐藤社長の経営判断の面から考えてみました。
結論から言えば、アジビラ(政治的な扇動を目的としたアジ . . . 本文を読む
視野を広げた政治論の不足
2018年9月21日
安倍首相が自民党総裁選で連続3選を果たし、主要紙は総裁選一本に絞った通称「一本社説」を掲げました。ほとんどが国内問題の視点から書いています。スペースをたっぷりとれる「一本社説」なのですから、もう少し視野を広げ、ありきたりの主張から脱皮してほしいですね。
各紙とも、安倍首相の政治手法に反省を迫っています。「異論を排除し、数の力で強引 . . . 本文を読む
金融緩和の出口はトンネルの入り口
2018年9月15日
自民党総裁選の討論会が14日、開かれました。安倍首相の圧勝が決まっているようなものです。従って見どころは、15日が国際金融市場を100年に1度という危機に陥れたリーマン・ショックからちょうど10年にあたり、今後、異次元緩和金融政策をどう考えるかです。安倍首相はタイミングよく「3年の総裁任期で、金融緩和の出口に道筋をつけたい」と、語 . . . 本文を読む
北朝鮮の非核化もポーズか
2018年8月26日
日本のメディアまでが、トランプ米大統領の支持率目当てのショーに振り回されるべきではありません。テレビの放映時間も新聞の紙面も無駄が多いのでは。米朝関係の分析は専門家任せにするとして、トランプ氏の宣伝にいいように使われているメディアの姿を考えてみました。
トランプ氏がまたやってくれました。ポンペオ国務長官の北朝鮮訪問(27日の予定) . . . 本文を読む
販売部数より投手寿命の尊重を
2018年8月23日
今夏の甲子園の高校野球は第100回に当たり、過酷な高校野球のやり方を考え直す節目の年でした。無名に近い金足農(秋田)が決勝に進み、大会ナンバーワンの吉田投手が一人でマウンドを背負い、最後は体力の限界から降板した場面は、そのことを訴えています。
朝日新聞一面最上段に、「主催者/朝日新聞社・日本高野連」と書いてあります . . . 本文を読む